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そして、次元震

 篁文達は待機当番に当たっているので、大人しく座っていた。

 ラクシーの世界戦争は終結することになり、特殊次元庁の武器も増やせる余裕ができたという。それで、日本も新たに自衛隊員から15人を特殊次元庁に出向させ、5人の班4つで、交代勤務に就く事になったのだ。

「戦争が終わって良かったね」

 紗希がのんびりと言う。

「でも、戦後補償とかは?」

 沢松が訊くと、ヨウゼはにこにことしながら言った。

「まあ、ぼちぼちと。次元移動の研究、開発、所持を、敗戦国側には禁じましてね、平和利用以外に使用したら、国際会議での多数決で、その国を飛ばす事に決定しました」

「飛ばす?どこへ?」

「さあ?どこへ飛ぶかは運任せ。わかりませんねえ」

「……怖……」

 セレエがブルッと震えて肩を抱く。

「それより、テグシナの人達元気かな」

 紗希が呑気に言う。

「しぶといやつらだし、どうにかやってるんじゃないか」

 篁文はそう言い、キヨは顔をしかめた。

「偶然に次元接触するとかないだろうな」

「気にはなるが、また戦いをしかけられるのは遠慮したいであるなあ」

 ドルメが苦笑する。

「そう言えばドルメ、一族の幹部になったんだって?」

 パセが言うと、ドルメは嬉しそうに笑った。

「うむ、そうなのである。面倒は増えるであるが、名誉であるよ」

「そういうパセも、学校を作ったんでしょ」

 紗希が言うと、パセはもじもじとしながら言った。

「うふふ。夢だったのよねえ。誰でも入れる学校。計算や読み書きができれば仕事にもつける。そうしたら犯罪や危険な魔物狩りで子供が命を落とさなくて済む。

 紗希はどうなの。夢は叶いそう?」

「私?私は……どうかなあ」

 紗希は短く嘆息した。

「紗希の夢って?フードファイター志望とか聞いたけど本当に?」

 ショウが真面目に訊くのに、紗希がガクッと肩を落とした。

「違います。記者よ。記者になって――まあ……色々世間の裏側をね、暴いたり」

「そう言えば篁文の夢は何なんだ?」

 キヨが訊く。

「俺は、昔の夢は叶いそうにないから、このままが望みかな」

 皆、「え!?」という顔を向けた。

「叶いそうにないとは、諦めるのであるか?」

「宇宙飛行士になりたかったんだが、目が悪くなって来てな。どうしても不利なんだよ」

 沢松とショウが気の毒そうな顔になる。

「手はないのか?」

 セレエが訊くが、

「サプリも飲んだ。好きな読書もセーブしたし、どんなに流行ってるテレビも我慢したが、だめだった。手術も考えたが、人によって効果の持続時間に差があると聞いて、それもどうかと思ってな。

 でも、いいんだ。宇宙飛行士にならなくてもこうしてここで異次元生物に会えるからな。似たようなものだ」

と篁文は淡々と答える。

「まあ言われてみれば、異次元生物も、宇宙人みたいなものだな」

 沢松が言って、皆、各々納得したらしい。

「そういうセレエはどうなんですか?」

 ヨウゼに訊かれ、セレエはフフンと笑った。

「たくさんの異次元人に会って、色んな異次元世界を訪れたいな!」

「おお。楽しそうですねえ」

 和気あいあいと楽しくしゃべっていると、サイレンが鳴り出す。その途端に、皆の顔は引き締まり、走り出す。

『次元震を感知しました』

「さあて。こんどはどんな異次元世界が現れるやら」

 そして装備を装着し、飛び出して行くのだった。









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