再会
外では、立っているヒトは見当たらなかった。
そして、大きな異変があった。大きな渦巻きが空にできていて、意識のある人は、それを怯えた顔で見ている。
「何だ、あれは」
大きさはよくわからない。というのも、距離がはっきりしないからだ。色は鉛色を主体としたマーブル状で、ほぼ円に近い形をしていて、揺れている。
行ってみないとわからないようだ。篁文はその近くへ向かった。つまり、研究所屋上へ。
行ってよく見ると、それはトンネル状になっていた。次元の裂け目のように不安定な感じではないが、硬そうにも思えない。屋上の手すりからは2メートル程度か。
足元に転がっていた小石を拾い上げ、投げ込んでみる。
すると、小石はトンネルの中に入り、床の上に落ちて乗った。
待ってみたが、異常はない。
篁文はどうしようか迷ったが、行く事にした。
手すりの手前に休憩用に置いてあったベンチを移動させ、助走をつけてそのベンチを踏み台に手すりに飛び、手すりを踏み台にトンネル内へ着地する。
ふわふわして見えたが、踏みしめた感じはしっかりしていた。
篁文は銃を抜いて、奥へ進んだ。
どのくらい進んだか、広場のようになっている所に出た。そこには、今来たのと同じような通路が向こう側にもあり、どこかに続いている。
そして真ん中には、ひしゃげたような溶けて混じり合ったような金属の塊が平べったくなって広がっており、その上にサル型と虫型が湧いて、向こうの通路に移動していた。
「まずいな」
それがどこにつながっているかわからないが、とにかく篁文は仕留める為に追って行った。
紗希は籠城をやめ、学校には行ったが、面白くない事に変わりはなかった。
授業時間を学校で過ごしているが、ただそれだけだ。
「紗希、新しいスイーツの店に行こうよ」
「スイーツ……」
いやでも、果たされないままの約束を思い出す。
が、友人達に腕を取られ、内ポケットの集合写真の事を思い出しているうちに、歩き出していた。
その時、覚えのある眩暈が起こった。
「きゃっ」
「嫌だ、何?」
紗希だけでなく、周りの通行人も皆しゃがみ込んでいる。
「これ、次元震?」
知らず、予感に胸が躍る。
そして目の前に、はかったように次元の歪みができ、割れ目ができると、中から人が出て来た。
「篁文――じゃない!」
セレエとパセとドルメが笑っていた。
「紗希ぃ!」
「パセ!元気になったの?それにドルメも、大丈夫なの?」
「メルベレに戻ったら治ったわ」
「見ろ。ラクシー程度の技術、デルザが応用できない筈がない!」
「篁文はトレーニングであるか?」
「……」
「紗希?」
「篁文を助けて」
紗希は簡単にあれからの事を話した。
「篁文を迎えに行きたい!」
セレエは難しい顔をした。
「デルザの技術で、行けるんでしょ?あれ?」
セレエは忌々しそうに言った。
「燃料の問題だよ。
まずデルザ残っていた次元震のデータをもとにアクシルに引き返したら、なぜかメルベレになってた。大きな次元接触というか次元移動があったらしい。
そうしたらパセがいて、魔法で集合写真に残った各人の痕跡を追えばそこへ出られると言うんで、プラットホームを残して次はドルメの所に行った。篁文と紗希はデート中かも知れないとパセが言うから」
「だってぇ」
「そこにもプラットホームを残して、今度は紗希の所に来たというわけさ」
「篁文は廃病院で走っている最中かも知れないじゃないの」
一応パセは色々考えたらしい。
ドルメはがははと笑ってから、
「では、篁文の所に行くとしようか」
と言ってから、思い出した。
「燃料であるか?」
「そう。一旦デルザに戻らないと」
「じゃあ、ここにもプラットホームを残して」
「そうだな。どこに置こうか。メルベレもコベニクスもいい意味で大らかだったけど、流石に地球は勝手に設置はまずいよな」
「地球で一番偉い人は誰なの、紗希」
「え、誰かな。日本では首相?いや、決定に時間がかかるのは確実だし……どうしよう」
「じゃあ、とりあえず手頃な広場にでもしとけばいいよね、セレエ」
キョロキョロしていたドルメとパセは、一点を指さして
「ああ!」
と声を上げた。
街路を、サル型敵性生物が走っていた。
走り出す紗希達4人を、膝をついた姿勢であっけに取られて周りの者達は見送った。おかしな眩暈がして、変な亀裂が空間に入ったら中から人が――1人は猫耳だ――出て来て、わからない言葉で会話をしていたと思ったら走り出した。
「何?ていうか、あれって写真の?」
「合成じゃないの?」
友人達は、顔を見合わせた。
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