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第3話 喪失からの当惑

寒ッ!

どれぐらい気を失っていたのだろう…。

俺は寒気で目が覚めた。そして身体を起こそうとしたが思い通りに起きれない。


なるほど。それもその筈、両手、両足が縄で拘束されていた。

この緊縛プレイのオプション料金、幾ら払わないといけないんだろう…。


「あ…やっと起きた…。」


声のする方へ眼をやると、そこにはリュックサックと思われる荷物の整理をしている化け物…嫌、俺をKOした女の子がジト目でこちらを見ていた。


俺は改めて周囲を見回す。

岩肌が全方位に露出している所を見るとここはどうやらどこかの洞窟内部の様に思える。


簡易テーブルの上にランタンが一つ灯っている所をみると既に陽は落ち、夜の帳が下りている様だ。

全裸だった筈の俺の体には、布で出来たポンチョ状の衣服が着せられていた。

そりゃ寒い筈だわ…。


衣服とは言っても勿論下着など着用していない…。やだ…恥ずかしい。何この羞恥プレイ…。AV物でよくある乳首周辺だけ切り取るあれと同じか感覚か!?


「個人的にはあれ嫌いなんだけどね‥。全く興奮しないと言うか…。」


そんなくだらない事を考えているとその化け物が口を開いた。


「早速だけど、あんた、あんな場所で何をしていたのよ!この露出狂の変態!!」

そう厳しい口調で化け物(女の子)は覚醒したばかりの俺をいきなり問い詰めて来た。


「いやッ、決して露出狂な訳ではないぞ!俺は!!」

そう、俺自身もあの状況…と言うか、まだ現状さえも理解しないまま今に至るのだから答えようがないのが正直な所だ。

そう答えると化け物は更に質問してくる。


「じゃあ何であのマゾン魔物草原の真っただ中…しかも真っ裸でうろちょろしてたのよ!!変態でしょ完全に!」

「真っ裸だったのは確かだけど変態じゃない…筈…完全には言いきれないけど…。」


確かに全裸でうろちょろしていれば普通に変態・変質者と思うよな‥。

しかし苦しい言い訳だが実際、俺自身も訳が分からないのだから仕方がない。

考えてみて欲しい。


普通の生活をしていていきなり光に包まれ気を失い、気が付いたと思ったら真っ裸で大草原にいて走り回っていたら女の子にボコボコにされてまた気を失う気持ち…。

完結に纏めると2行ちょっとだ。うん、わからん。今でもわかりません。はい。


ここはこの化け物(女の子?)から情報を引き出して少しでも状況確認をしよう。

幸い、この化け物と言葉は通じる様だし。食われるって事もなさそう…食われないよね?


俺は話しかける前に、この化け物(女の子?)を観察してみた。あぁ…男の性なのか頭の先から足の先まで舐める様に尚且つ気づかれない様に観察した。この間僅か1秒。


よく女の子は「胸をチラ見されたら気づくんだからね!ぷんすか!」なんて言っているが俺の固有スキル魔眼「眼見巣琉(ガンミスル―)」スキル(思い込み)を持ってすれば女性にチラ見を気づかれる事なく瞬時に自分判定を行う事が可能なのだ。ふふ。

ちなみにA>B>C>D>E>Fのランク付けでAが最高となる。


魔眼!眼見巣琉!!発動!!


ふむ…頭に獣の耳?らしきものが付いている。薄い赤みがかったピンクっぽいポニーテール、後ろに纏めているな。目元はキリっとつりあがっているが瞳は大きい。中々カワイイなぁ。Aランク!!……0.2秒


胸は…ほほぅ…こちらも中々の物をお持ちの様ですね。革の鎧っぽい物を装備している様だが、それでも隠せない山脈が確認出来る!確実にEカップ以上はある!!EカップだけどAランク!!……0.7秒


そしてくびれもあり腹筋も程よく鍛えられていてスタイルグンバツですよ!グンバツ!!はい!文句なくAランク!!……0.8秒


しかしあの獣耳…コスプレ?ピョコピョコ動いてカワイイなぁ。

フフ…実家の「玉之浦のたまのうらのすけ」元気かなぁ…。


俺はふと実家で飼っていた愛猫の事を思い出しこんな状況でも自然と頬が緩みニヤニヤしてしまった。……0.9秒


はい!鑑定終了!そして時は動き出す!!…1秒


ビクッ!

「な、何?何でいきなりニヤニヤしてるの?

気持ち悪い…この状況でニヤニヤするってやっぱ変態でしょ!!!」

女の子は胸を隠す様に後ずさりした。


あれ?バレチャッタ?

おかしい…。俺のスキルが破られるなんて…。

「貴様!何者だ!!」キリッ!

俺はついそう口走ってしまった。


「あんたこそ何者よ!この変態!!」ボコー

はい。殴られました。


「全く、マゾン魔物草原で真っ裸でうろちょろして尚且ついきなりソフィに襲い掛かるなんて…あんた人族っぽいけどほんとは魔族なんじゃなの?」


そうAランクの女の子は帯剣していた剣を抜刀して剣先を俺の顎に付きつけながらジト目で詰め寄ってきた。


「いやいや違う違う!決して魔族とかじゃないから!!人間だよ!!ぼく、わるいにんげんじゃないよ!!」

どこかのRPGゲームのスライムさんの様なセリフだが、友好的に行こうじゃないか…ね、スラ●ン。


「お姉ちゃーん、飲み物の用意が出来たよー。」

そんな尋問を受けている所に、一人の少女がやって来た。

あの草原で最初に目があったあの少女だ。


俺は咄嗟にアレを発動させた!!

魔眼!眼見巣琉!発動!!


ふむ…この子には獣耳はないなぁ?ショートレイヤーな感じで髪色は白?銀髪?って言うか耳が長い…。

髪からはみ出してるじゃないですか。これは、ファンタジー鉄板のエルフって奴ですかい!?


でも耳が長いと夏場とか蚊に集られると眠れなさそうだよね。耳元でブ~ンブ~ンって。

耳の先とか吸われたら…痒みが半端ないだろうな…。

瞳はパッチリ眼でこの子もカワイイなぁ。Aランク!!……0.5秒


胸は…こちらはまだまだ発育途上なのかな?ローブを羽織っているが全く膨らみがない。エルフってスレンダーなイメージだからそんなもんなのか?将来に期待!!推定Aカップ!カワイイから総合でAランク!!……0.8秒


ローブを羽織っているので全体的なスタイルは分からないけどカワイイからAランク!!……0.9秒


男の教義で「カワイイは正義」これは間違いないのだ!!

はい!鑑定終了!そして時は動き出す!!…1秒


ビクッ!

その少女は、入って来た瞬間に俺と目が合ってしまい顔を赤くし咄嗟に目を逸らして俺を尋問している女の子の後ろに隠れてしまった。


「ほら!あんたのせいで完全にソフィが怯えちゃってる!!」


あれ?またバレチャッタ?ソンナバカナ…。

「ちッ!!貴様!何者だ!!」キリッ!

ボコー


問答無用で殴られた…。ヒドイ…。

これ尋問じゃなくて拷問だよね…。

カワイイから許すけどさぁ…。その手の方々ならご褒美状態ですよ?これ。


あのエルフ少女はソフィちゃんって言うらしい。

よしよし、すこしずつ情報を引き出さねば。って顔立ちからしても気付いてたけど、この二人、絶対日本人じゃないよね…と言うか人間じゃない‥?


「目を思いっきり見開いて10秒近くジロジロあたし達の事を見てニヤニヤしてるんだから…やっぱり変態…。やっぱり衛兵に付きだした方がいいかな…。」


ご褒美鉄拳を繰り出して来る女ご主人様はそう呟いた。


(笑)?え?10秒?1秒だと思っていたのに…。おかしいなぁ…。

そりゃ10秒もガン見してたらバレマスヨネー。って…付きだす?え?どこに?Kの察ですか?それはマズイ!!まだ何も分かってないのに今、付き出されたら確実に逮捕ですよ!牢獄行きで仕事をクビになって無職になってしまーぅ!!


「ちょ、ちょっと待って!その後ろにいる女の子に聞いてくれないかなぁ!

俺は本当に何もやってないから!少し意思疎通をしようとしただけなんだって!」


俺は女の子の後ろに隠れてしまったソフィちゃん(神)に縋る様に話しかけた。

今、俺を救えるのはソフィ様だけなんだ。

ソフィ様(神)が俺の冤罪の釈明してくれなければこのままお縄と言う事にもなり兼ねん…。


「ソフィに話しかけない…で!?」

そう言いながらご主人様が再び俺に御褒美鉄拳の拳を振り上げた時…

ご主人様の袖口をくいくいと引っ張る手が…。


「アイルお姉ちゃん…してない…。」

「え?」

「何もしてないよ…その人。」

ソフィ様は弱々しくもはっきりとした声でそうご主人様にそう伝えた。

やった!俺の潔白は晴れたんだ!!(涙)


「え?え?そんな訳…あの状況で何もしてない訳が‥え?」

アイルと呼ばれたご主人様は豆鉄砲を食らった様な顔で戸惑っている。


「ほーら言っただろ!俺は何もしちゃいない!!(俺のジャイアントソーセージ(仮)を見られた事はこの際黙ってよう…)」


俺がソフィ様から弁護されてもこのアイルと言う女の子はまだ俺の変態疑惑についてまだ信じられない様子でオロオロしている。そりゃそうだ。無実の人間をボコボコにしてるんだからな。(笑)


二人は俺に背を向けて少しの間、コソコソと話した後、アイルと呼ばれた女の子は顎に手を添えて暫く考えた後、俺に頭を下げて謝罪してきた。

恐らくソフィが俺との顛末を説明してくれたのだろう。


「その…ごめん…なさい…。私も少し頭に血が上ってしまって…。ソフィが嘘言う筈ないから信じます…。それよりもあなた、何の装備も付けず…と言うか真っ裸で何をしてたの?」


アイルと呼ばれた女の子はソフィ少女の事を信用している様で、どうやら誤解が解けた?みたいだ。

もうご褒美鉄拳が受けれなくなって少し残念に思った事は秘密だ。

しかし手足を縄で拘束されている事に変わりはない為、解いてくれないかお願いしてみる。


「あの、その……なぁ…その前にこの手足の縄、解いてくれない?なんか変な性癖に目覚めちゃう前にさ…モシ゛モシ゛…チラ…ホ゜ッ///」

「やっぱり変態じゃないかぁーーー!!!」

「いやいやだから目覚めちゃう「前に」って言ったじゃん!?」

「前も後もあるかぁ!!やっぱり変態だぁぁぁあ!!」


ボコー…また気を失いそう…と言うか殺される…。(笑)

真面目に交渉する時はふざけちゃ駄目ですね‥。


「おい!アイル!!何をしてるんだ!!」

俺がボコボコにされている所に、一人の男が洞窟内に入ってきてアイルを羽交い絞めにして俺から引き離した。

この女の子2人だけじゃなかったんだ…。助かった…。(殺されなくて)


殴られ過ぎですね(笑)

本編に入る前に死にそうです。

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