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第6話


相棒の指示に従い、私達本隊グループは海岸側の迂回路に向けてハンドルをきって進んだ。ここからしばらくすれば戦闘にありつけると思うと、ワクワクが止まらないわ♪


ちなみにエリカは未だに盛大に騒いでいるのだが、本当に元気の良い子である。あんなに声を張り上げて、疲れたり喉が渇いたりしないのかしら?



「ねぇ!本当に戦闘しないで抜けれる道はないの!?バカにゃんこ、早く答えないさい!!」


『他のルートは難しいと思うっすよ。近くを通るハイウェイは逃げ場がないので、一般車両を巻き込めば封鎖も容易だし、他には街中を抜けるルートが考えられるっすけど、この時間は渋滞が予想されるっすからね。詰まったら即逃げ道が塞がるのでそこから銃撃戦の開始っすから、そんな状況喜ぶのはうちの姫っちくらいなもんっすよ。』


「なにそれ!そんな面白そうなルートがあったの!?」


『・・・ほらね?』


「そ・・・それじゃ。どこかに車を止めてやり過ごすとか!」


『敵さんもプロっすから、絶対衛星なんかを使って此方のだいたいの位置を特定しているはずっすから、そこに部隊を差し向けられて銃撃戦の開始っすかね。これでも、一通りの戦術予測はちゃんと立ててるっすよ。他に質問とかあるっすか?』


「えっと、・・・えっと!?」


「ちなみにふざけた格好しているけど、私の相棒はかなり優秀よ。彼女が立てた計画が外れることの方が稀だから、素人のエリカがいくら逆立ちしても勝てないと思うわよ?」


「で・・・でも!」


『不安なのはよ~く解るっすけど、どっしりその席に座っていればいいっすよ。それに、キミの隣に座ってるお姉さんはマジで強いっすから』


「シャルが・・・?」


『ただの戦闘狂じゃないから安心して欲しいっす。・・・・あっ!姫っちどうやら敵が現れたみたいっすよ!戦闘準備お願いするっす!』


「了解!やっと私の出番ね。シルキー、運転任せるわ。ついでに戦闘体型にモードチェンジよろしくね」


『了解しました。自動運転モードに移行。バトル形態に変形します』



シルキーからの返事が届くと、窓ガラス部分に突如下から厚い金属板がゆっくりと出現し、全ての窓を綺麗に塞いでしまった。その状況に驚き「このままじゃ前が見えない!」とエリカが叫んだのだが、次の瞬間フロントガラス部分に車両前方のリアルタイムの映像が映し出され、他の窓にも様々な情報の書かれた映像が表示された。さながらロボットアニメのコクピットの様なその状況にエリカも開いた口が塞がらないようであった。



「どう、驚いたかしら?これがシルキーのバトルモードよ。前周25mmの特殊合金でできた防御壁に加えて、フィルム型の特殊ディスプレーを全ての窓に標準完備。この防壁を貫くのは対物ライフルでも中々厳しいらしいわよ。なんでも、装甲の硬さに加えて特殊な傾斜も掛かってるせいで、弾が装甲の上を滑って本来の貫通力を発揮できないんですって」


「・・・これってロボットみたいに変身するの?」


『残念ながら、ロボット形態は難しくて断念したっす。一応頑張って同士諸君と計画を練ってみたんすけどね、態々車に偽装させるメリットが見出せなかったっすよ。それに二足歩行ってのも中々難しいっすから、アニメの様なロボット達に出会えるのはまだまだ先の話になりそうっす』


「たまに訳の解らない事に拘るわよね、あんたと開発チームって」


『変形機体はロマンの塊っすからね。アニメファンとしては、いつか実現させるぞってみんなで盛り上がってるんっすよ。あ、それより先頭の2台が交戦開始したっすよ』


「おっと、そうだった。シルキー天井を空けてもらえるかしら?」


『了解です。マスター』



次の瞬間、見た目には切れ目など存在しなかった天井の一部が突如下がりだし、サンルーフの様な空間がぽっかりと現れた。よし、これで私も銃撃戦に参加できるわね。さて、今回はどの武器を使おうかしら?



「なっ!せっかく装甲で固めたのに天井開けちゃうの!?」


「なに言ってるの、このままだと私が戦闘に参加できないじゃない」



そう言って、座席の後ろのカバーを外し、そこに用意してあった多くの銃器の中から今回は使い慣れてるアサルトライフルを選択し、サンルーフから上半身をさらけ出す。スピードもそこそこ出ているので、吹き込む風が中々強い。これは弾が曲がりやすいので注意が必要そうね。



スコープを覗き込むと敵の物と思われる装甲車2台と、仲間の車とですでに銃撃戦を開始されていた。試しにバーストモードで弾切れするまで敵の車体を撃ってはみたのだけれど、案の定装甲に阻まれて弾が貫通することはなかった。



「やっぱり中々硬いわね。ニーナ、相手の車両の情報とかある?」


『相手さんが使っている車は某国の払い下げの軍用車を改造した物みたいっすね。デフォルトで前周防弾仕様なので、普通の弾丸では貫くのは中々難しいと思うっすけど、確かその車にはARアサルトSRスナイパー用の硬芯徹甲弾がそれぞれ乗っていたと思うっすよ』


「へぇ、まさか戦艦や戦車の弾とか言わないわよね?」


『ちゃんと銃火器専用のっすよ。とにかく貫通することだけを考えて設計したっておやっさんが言ってったっすね。ARの弾が収納されているところにある先端に赤い塗装が塗られているのがそうっすよ。ただ、反動がバカ高いのでフルオートやバーストで使っちゃダメっす』



「へいへい」と適当な相槌をうちながら一旦車の中に退避して、教えてもらった弾を探すことにする。おぉ、あったあった。これの事ね。


弾を取りに車内へ一旦戻ったのだが、どうやらエリカがずっと私に話しかけたらしく、返事をしなかったことに対してお叱りを受けてしまった。ごめんなさい、風の音であなたの声は全く聞こえてなかったわ。



「やっと戻ってきた!!ちょっとどうなってるのよ。あなたの弾、全く敵に効いてないじゃない!」


「相手の車もどうやら防弾仕様だったみたいね。今からそれ専用の弾をつめて戦うから見ていなさい。きっと面白い物が見れるわよ」


「頼むから負けないでよ。って、きゃぁ!!!!撃ってきた、あっち撃ってきたわよ!?」


「そりゃ、敵だし。私が撃ったんだから、相手も撃ち返して来るでしょ?」


「なんでそんなに平然としてるの!?って、いやぁ!!!またビシビシって!!」


「大丈夫よ、あんな軽い弾じゃ絶対貫けないから。それじゃ、また撃ち合いに行ってくるわね!」



あんなにはしゃいじゃって、楽しそうに。そういえば、私も始めて戦場に立った時は興奮して夜も眠れなかったけ。それじゃ、もっと楽しんでもらえるよう、本気でお仕事を頑張るとしますかね。



銃弾の切れ間を狙ってもう一度天井から顔を出すと、どうやら一台は私の相手をするために此方に寄ってきたみたいである。態々獲物の方から自分に擦り寄ってくる光景にほくそ笑みながら、射撃モードをセミオートに切り替え、低く身構え狙撃手が顔を出すのをジッと待つ。


そうすると、横付けされた車の後部座席の窓が開き中から銃を構えた男が現れたので、すぐに構えてその眉間目掛けて躊躇なく引き金を引き絞った。撃ち出された弾丸は轟音を響かせ、先ほどの弾とは比べ物にならない反動の力と共に、弾丸は今まさに此方を撃とうとしている男の頭へと命中し、着弾とほぼ同時に後頭部へと弾が弾け飛び、その隣に座っていた男の頭部までも見事に穿った。なんて威力よ、身体を固定してなかったから反動で背中打ったじゃない!



『うひゃ、二枚抜きっすか!走ってる車の上からよくそんなことできるっすね』


「偶々よ。シルキー体当たりを狙ってるわ、前に出て回避」


『了解です。マスター』



返事と共に車が急加速し、体当たりをしようとした隣の車の攻撃は不発に終わった。仕掛けてきた彼はよほど腹が立ったのか、今度はスピードを上げて再度この車にぶつかろうと速度を上げて迫ってくる。運転席の兵隊さん、それは愚作ね。真っ直ぐ来るなら外さないわよ。


きっと、彼は防弾ガラスを過信していたのだろう。射撃体勢に入り私が彼に向って引き金を引く瞬間、彼の笑っている顔がスコープ越しに伺うことができた。再度発射された弾丸は防弾ガラスに仕事を一切させず、不敗神話を信じて笑っている彼の幻想ごと頭部を見事撃ち砕いた。


さて、ここでもっともついていなかったのは助手席に座っていた彼であろう。一緒に搭乗していた仲間が瞬く間に全員殺され、運転手を失った車はそのままのスピードでカーブを曲がらずに真っ直ぐ海岸の方向へと加速して行き、道路から外れた際に縁石に乗り上げ回転しながら崖下へと落下し大きな爆発音と共にその姿を消すことになった。生きながらにしてあの様な絶叫マシーンに乗る機会など滅多にないことなので、彼は先に向こうへ逝った仲間達への良い土産話ができたことであろう。



さて、こちらに来ていた車両は片付いたので、残るもう一台も私がいただく事にしますか!


相棒曰く、まだ敵さんの増援が来ているらしく、今は後方警戒をしてくれていた味方のチームがブロックして押さえつけてくれてる様だ。あんまり頑張り過ぎなくてもいいのよ!私の楽しみが減ってしまうからね!!


ちなみに、前を走る敵車両は、現在先頭を走っていた2台の車に挟まれ左右から滅多撃ちにされていた。どうやら左右から絶えず弾丸を浴びせられているせいで全く反撃できるチャンスを与えてもらっていないみたいだ。なんか、どっちが仕掛けてきたのか解らないくらいすでにボロボロなんだけど、私の取り分って残っているのかしら?


だが、一応腐っても装甲車であったため殆どの弾はその装甲に阻まれ、味方も決め手に欠けていた様だったので、取り敢えず運転席側のシート目掛けて数発発砲してみると、此方も吸い込まれるように運転席の兵隊目掛けて弾が素直に飛んで行き。後部座席に座っていた兵隊諸共穴だらけになって絶命したようで、先ほどの車と同じように急加速して海へとダイブしていった。


まだ夏には早いと思うのだけれど、本当に気の早い人達だこと。


ちなみに、仲間の2台には相棒から連絡が飛んでいた様で、特に巻き込まれずにも済んだようだ。


さて、残りは後方チームが抑えてくれている敵の車両ね。待ってて、今すぐ駆けつけるわよ!!

次回の投稿はGW最終日、5月6日日曜日を予定しています。


同時連載中【アルカディア ~転生職人奮闘記~】

ゲーム“ハイジン”の職人系主人公が異世界に転生するどうなるのか!

https://ncode.syosetu.com/n2971ei/

此方も是非読みに来てください!

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