『別館』を探す★
図書館の入り口には、燦々と輝く書架がある。通称『ランキング棚』。この棚の作品は誰しもが認める人気書籍が納められている。
今日は、その『ランキング棚』の話……ではない、主があまりこの棚の書籍に興味を示さないのだ。
曰く「映像等になっているものを文章で読む必要をあまり感じない」と言うのだ。
「あの棚の書籍でよければ、私の仕事もだいぶ楽になるんだけどな~」
しかし、興味を示さないモノを送っても意味がない。私の仕事は主が興味を持ちそうな作品を送ることなのだから。
そんな事を思いながら『ランキング棚』を横目に図書館の入り口ではなく、近くにある扉を開く。
こちらの扉は『別館』へと続いている。
『別館』―――
こちらの『別館』に納められているのは書籍ではなく絵画関連だ。
絵画と言ってもただの絵画ではない、『夢の図書館』の『別館』に相応しく、ほとんどは書籍の挿絵等である。
今日は、この『別館』に荷物を届ける様に頼まれたのだ。
扉から進むとすぐにカウンターがあり、持ってきた荷物はここに預けて手続きする決まりになっていた。
包みを剥がし、中から『白い服青いリボンつけた少女の絵』を取り出す。
「可愛らしい格好ね、私にも似合うかしら?」
絵に描かれた少女と同じ格好をしている自分を想像してみる。
「こんな感じ?」
自分に似合っているかはわからないなと思いながら、カウンターに置かれた用紙に作品名等を記入しペンを置く。
しばらくしてペンと用紙は絵と共にスーッと虚空に消えた。
今日持ってきたのは実は主が戯れに描いた絵。
私が送った物語の中で気に入ったものがあると時々描きたくなるのだそうだ。今回の作品も、とある作者に贈ったもので『別館』を経由することしたのだ。
経由と言ってもさっき届けた絵を『別館』の職員が届けてくれるわけではない。
『別館』に寄贈された作品は『タグ』という魔法の文字を書き込むことで物語内に具現化できるとのことだった。
私が使う『魔法の栞』と同じような感じだろうか?
「頼まれていたお仕事はこれで終わりだけど、せっかくだから少し観ていこうかな?」
カウンターを後にして『別館』の散策を開始することにした。
様々な絵画が並ぶ回廊を歩きつつ、一つ一つ絵を眺めていくと不思議な一角で行き当たる。
「なんで、猫の写真がこんなに……?」
その一角では、辺り一面に猫の写真が飾られていた。
「猫の写真集でもあるのかしら?」
しばらく眺めてから先に進むと、先ほどカウンターで預けた絵が壁に掛けられていた。
「もう飾られてる……仕事が早いわね」
しばらく主の絵を鑑賞してからハッと本来の目的を思い出し、再び歩き始めた。
本来の目的―――
そう、私はこの『別館』でも本を探しているのだ。
ここには書籍はないけど、飾られているのは挿絵ばかり。
つまり、その印象から本の内容を大まかにイメージできるということなのだ。
タイトル等で判断しなくてはいけない図書館に比べると、よりわかりやすい気がしていた。
幸い、ほとんどの作品にはどの書籍で使われる物なのかが書いてあり、それを頼りいくつかメモを取ることができた。
内ポケットから懐中時計を取り出し時間を確かめ、手帳と一緒に内ポケットへしまう。
「うんっ、明日はこの作品を探してみようかな」
明日の仕事への目星が付いたこと満足すると、軽い足取りで『別館』を後にするのだった。
今回は小説家になろうの提携サイト「みてみん」から探してます。




