運命的なメル友
連絡がなくなるメル友、新しく出来るメル友の繰り返しの中、一人のメル友は長期に続いていたのである
しかも、同県に住むメル友…
通ってる映画館も一緒で、ニアミスを良くしていたらしい
「私、その日午後から行きましたよ」
「あ、俺朝一で映画館観たよ」
ヘタレ浩一でも興味が湧いてきた
そんなある日、浩一は「平成の歌姫」の超プレミアムコンサートチケットを手に入れたのだった…カウントダウンのリハーサルコンサートチケットを
「友達でも誘うか…この際、ダメもとでメル友を誘ってみるか…」
パッと思い付いたメル友は、ニアミスをするメル友であった
沙理二十歳同じ歳の公務員であった
「「あゆ」のコンサートチケット当たったんだけど一緒にどう?」
と、満を持してメールをしたのである
帰ってきた答えは
「めっちゃいきたいけど私で良いの?」
まぁ~当然の答えであった
浩一は
「ん~沙理ちゃんと会ってみたいし…」
「ははは!だったら普通に食事か映画でも良かったのにそんな貴重なコンサートに私で良いの?」
「沙理ちゃん「あゆ」好きだって言ってたし」
「じゃ~行く前に、一度食事にでも行きましょうよ」
それも、そうだ…好みに合わない女性とコンサートとは考えたくない…
この時代、まだ携帯電話にはカメラは付いていなかったのである
「じゃか~次の金曜の夜にでも水戸で」
「あ!日立まで行きますよ」
日立が二人の中間地点であった
「あ~昼間、映画見たいから」
「だったら、大丈夫ですね」
「水戸のお店知らないから沙理ちゃんに任せるね」
「わかりました♪任せてください」
全て、メールで用件を済ませたのである
当日、俺は茨城県では少なくなっていた映画館で映画を二本連チャンで鑑賞して、待ち合わせ場所へと向かった
当時映画は、衰退していたのである
現在では茨城県はあり得ないシネコン数であるが
待ち合わせ場所には彼女はまだ来ていなくメールしても返事が来なかった
「あちゃー…すっぽかされたか?騙された?」
などと、思っていたら
「ごめんなさい、急な残業で遅れました
今、どこですか?」
の内容のメールと電話番号がメールに書かれていた
メールだけで、落ち合うには効率が悪かったので電話をしてみたのだ
「はじめまして、浩一です!今、待ち合わせの場所の駐車場ですよ」
「どんな、車ですか?私そっちに行きますよ」
「えっと、やたら平べったい白いスポーツカーです RX-7ですがわかりますか?」
「ん~車は詳しくないので…平べったい白いスポーツカー…平べったい白いスポーツカー…あ!見つけました♪今行きます」
近づいてくる女の子は意外にも小柄で年下に見える可愛らしい娘だった
なんか一安心をしてしまうのだった
窓をあけ
「沙理ちゃん?」「浩一君?」と、声を掛け合ったのである
二人はメル友から友達に変わった時だろう
助手席に座る沙理…ほのかに香る優しい香水の匂い…
「ん~と、改めまして初めまして」
と、挨拶をするとなんか二人で笑いだしてしまった
「ははは!なんか変ですよね(笑)」
「だよね(笑)」
「とりあえず、お店行こうか?」
「お腹ペコペコで行きましょ♪」
沙理に案内されたのはお洒落な鉄板焼き屋であった
お肉を食べながら、趣味の映画の話で盛り上がる二人
「車、凄いですね~」
車の話に変わった
「あ~あの車、エンジンが珍しくて世界に一車種だけなんだよ」
「へ~、じゃ~今度はドライブに連れてて下さいよ」
お!良い感じじゃん♪
「せっかくのプレミアムコンサート私で平気ですか?
」
「もちろん、話が合えば待ち時間とか気にならないしね」
「じゃ~お願いします♪」
こうして二人は出会った