表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気象予報士 【番外編】  作者: 235
+ONE
8/41

Epilogue

「司月、そんなに引っ張るなって」

 安定した天気が続いた、この一週間。

 相変わらずうるさい道路を横目に見ながら、暖かな日差しを受ける。

「はーやーくー。ひてんが、かぜひいちゃうもん」

 不機嫌そうな子供の声につられて。顔を右手に向けた。

「しーちゃん、ご機嫌ねぇ」

「君はどこをどう見て、これをご機嫌って言うの?」

 白壁の病院から出てきた彼らは、先週、同じようにこの歩道で見かけた親子で。父親らしき男が、真っ白な布にくるまれた塊を大事そうに持っていた。そのすぐ横を歩くのは、通常の体に戻った女性。どうやら、無事に子供が生まれたらしい。その下にいるのはまたしても跳ねるようにして歩く子供。今日はその小さな手で父親の上着の裾を引っ張っていて。

「だって、緋天ちゃんがいるのが嬉しいんでしょ?」

「え? じゃあ、なんでこんな膨れっ面してるの?」

「ふふ。裕一さんが抱っこしてる緋天ちゃんを早く車の中に連れていかないと、自分が見れないからよ」

「ああ、なるほど」


 笑いあう夫婦と、その長男。

 彼らを見て、ある考えが浮かぶ。

 もしかしたら、自分の息子も。兄弟ができれば、今の子供のようにそちらに夢中になって。親にべたべたしなくなるかもしれない。ついでに母親もそんなに手をかけないかもしれない。

 何だかとても良いアイデアを貰ったような気がして。

 心の中で彼らに感謝を捧げる。


 早速実践しよう、と。

 家へ帰る為に足を速めた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ