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蒼羽のつぶやき:安寧を望む
気象予報士第2部、5話の夜中。
両頬に涙のあとを残したまま、眠りに入った緋天を上から見下ろす。
時計の針は午前3時を示していた。暗闇が彼女の恐怖を余計に煽るだろうと部屋の灯りは消していない。日付が変わる寸前に悪夢に目を覚ました緋天をなだめた後、再び1階に戻る事は愚行だと判断したが、それは正しかったようだ。またも泣きながら起きてしまったその細い体にすぐ手が伸ばせる、この距離が重要だった。
体を走った苦い感覚は、消えずに燻り続ける。
どうしてすぐに自分を認識しないのだと、怒鳴りつける事もできずにどこかに痛みを残した。それでも、落ち着いた後は安心しきった表情を自分へと見せる緋天が愛しくてどうしようもなかった。無理やりに組み伏せてしまうのは、いとも簡単な事だったが、それをしようとしない自分に多少驚く。
静かな眠りを妨げないように。
流れた涙のすじをぬぐって、頬に唇を落とした。
今はまだそれだけでいい。




