ベリルのおしゃべり:ハッピーエンドの舞台裏
気象予報士第1部の後。
蒼羽の部屋からいちゃつく2人をこっそり覗いていたベリルとマロウの会話。
「うわっ、本当手早いですね」
隣で声を上げるマロウと同じように。自分にもかなりの驚きを与えた、目の先の映像。遠目にも、蒼羽の腕の中で緋天が真っ赤になっているのが、手に取るように判った。
この上もなく、大事なものに。
唇を落とした蒼羽の、その空気が。
自分では一度も与えられなかった柔らかさをたたえていて。誰もが当たり前のように、大切な家族や友人や恋人にする、その行為。けれども、今の蒼羽のそれは、もっと重くて特別のものなのだと。そう判っている自分には、大きな意味を持っていて、ある種の感動を煽る。決して溶かすことのできない冷たくて硬いものから、今の瞬間、蒼羽は解放されたのだから。
「さて、と。ここら辺にしとこうか」
少し照れくさそうにする門番に声をかけて、窓を閉める。
「ベリルさん、嬉しそうですね」
部屋を出たところで、後ろを歩く彼に声をかけられた。
救われた。蒼羽も自分も。
それを実感して、浮かぶはずの笑顔より先に目の奥が熱くなる。
「今日はごちそうだよ」
「いいですね」
何とか出した明るい声に、静かに、それでいて嬉しさを含んで答えた彼の気遣いが暖かかった。




