街の広場に飾りを、
日の光に照らされて少し暖かくなった教会の扉。しかし確かにあの扉だ。蘇るあの瞬間、あの絶望した日々、そしてあの彼女の瞳。
ぎぃと音を立てて扉を開けると俺の予想を鮮やかに裏返し祭りの準備で賑やかにシスター達が右へ左へと慌ただしく飾りを運んでいる。
「ちょっとそこの君」
目を真ん丸に開けけてぽかーんとしている俺に一人の女性がこちらに向かってくる。あの時のシスターだ。
「なんだい、ぼーっとして。さあ運んだ運んだ」
「ええと…」
「どうした。具合でも悪いのか?」
俺は少し戸惑ったが今来た所だと言うと飾りを馬車に詰め込むのを手伝ってくれと言われ俺は面倒だと思ったがシスターの説得されてなくなく手伝うことにした。俺はかなりの頑固者だというのにシスターはまったくよく説得したものだ。ちなみにその作業は正直つまらなかったのだが一つだけ面白かった事あった。それは俺が大箱三個を持っていたところを見た青年が真似しようと顔を真っ赤にしながら小箱三個を持とうとしていたところ。かわいいもんだ。
街の広場に飾りを、そして闇夜に負けてたまるかと言わんばかりの沢山の灯りをともし、祭りは始まる。賑やかで優雅なアコーディオンの演奏と共に踊る。灯りは人々を幻想へと導く。鮮やかな装飾の施されたキャンドルから焚き火に小さなランプまでーそれら一つ一つが欠けてはならない街の大切な一部だった。