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狂葬の鎮魂歌  作者: 鷹真
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支援者

彼女の手には、届けられた手紙。

彼女は、表情を曇らせる。

彼女を舞台に立たせるべく、熱心に綴られた、パトロンの申し出。

「お兄さま、これ・・・」

傍らに座る兄に視線を向ける。

「お前の好きにするといい。

お前は、舞台にまた、立ちたいだろう?」

今の私では、力不足だから。

些か自分の不甲斐なさを悔やんでいるような含みがある。

「でも・・・、今は、まだ。」

両親を相次いで亡くし、更には、先日の代役の死。

「では、お前の心の落ち着くのを待って貰えないか、話をしては?

何れにしても、先方には、ご挨拶しない訳にはいかないよ。」

手紙の署名が、権力のある貴族の名。

出向かない訳にもいかない。

「・・・はい。」

頷くと、静かに目を伏せる。


数日の後、

彼女の心は、更に痛めつけられる事となった。

手紙を下さった、某貴族の方が屋敷内で惨殺された。

彼の執事は、淡々と事を説明した。


またしても、死。

彼女の周りは、鎮魂歌が絶えなかった。


真っ暗な、闇の底までも堕ちて行く。

助けて・・・。

悲痛な叫び声は、漆黒の澱に呑み込まれ、消え失せる。

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