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お茶会を開くキルレリアとそれから私

 お返しが三倍返しとはとっても人間らしくて大好きな台詞だけど、貰ってもいないものを押し付けられて、あまつさえ勝手に贈られたものへのお返事を要求するのは心底呆れ返るもの。

 かわってキルレリアのお茶会にはそんな面倒な決まりもないところが、私がくだらなくも楽しい朝のお茶会にかかさず出席している理由だったりする。


「ここ最近はなんでもない日がなくて詰まらないと思わない? ねえ、キルレリア?」

「アナタってば、どんな日でも同じ調子なのによくそう言えるわね」

「あら、そうかな! そんなことがないとも言いきれないけど、そんなことがあるとも言いきれないけどな」

「どちらにせよ――アナタの性根の悪さが際立つことにかわりはないでしょうに」

 ため息をついてお馴染みの砂糖を入れすぎたゲロ甘紅茶をすするキルレリアに、内心吐きそうだと思いながらも表情では笑顔を作り上げた。


 キルレリアの開くお茶会は毎朝きっかり同じ時間から始まり終わる。私は基本途中退室だから彼女が此処を片付ける様を見届けたことは一度もない。とはいっても果たしてキルレリアが片付けを行うことができるのか?という疑問がふと浮かんだ。


「考えてみたこともなかったんだけど、このお茶会ってキルレリアが全部取り締まって開いているの? お茶から、ケーキから、盛り付けから運んできてから、最後の片付けまで全部」

 私の問いかけにため息をつくキルレリアに、私はにっこりと笑顔になった。彼女のため息はたいていわかりきっている事実をぐずな私に教えてくれるためのものだから。


「アナタがいない時にワタクシのかわいいメイドとシツジが準備から片付けまでしてくれるのよ。お茶だけは別としてね」

 そう、と私は彼女からの答えに満足げに頷いた。

「ねえ、それで……そのメイドと執事はもしかしなくても羊なの?」

「……そうよ。アナタが思っている通りのツマラナイ答えね」

「つまらない? そんな! とっても可笑しいジョークだと思うわ!!」

「……そう」



 かちゃかちゃ、食器がぶつかり合う中でキルレリアはいつもより砂糖が多めの紅茶を飲んでいる。私はミルクティーが好きだから、元の物よりもミルクを入れすぎてはこぼしてしまう。こぼれたミルクティーは美味しそうには見えなくて遠くにほうりなげることにした。


「片付けるのは誰だと思っているの!」

「いいじゃないキルレリアの手は汚れないんだし」

 そう言うとキルレリアは黙りこんで、またため息をはいた。



 お返しをせがみに来る王女さまがこないのは、きっと青色の小鳥が教えないからなんだろうなあ、と私は笑顔でお菓子に手を伸ばす。おいしいお菓子だけがここのお茶会で褒められる点だと私は思うのだった。

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