可笑しなキルレリアとそれから私
私の言動はひどく突飛だとキルレリアは言っていた。
「なんといえばいいのかしらね? アナタっていつもいつもお話しがとびとびであっちへきたりこっちへきたり……、身振り手振りが大袈裟で見るに堪えるし正直言うと目に痛いのよね」
と、言われたところで私のそれらが変わることなんてないことで(だって習慣と言動はすぐには変えられないって言うじゃない?)、キルレリアの入れる甘ったるい紅茶のほうこそ入れすぎたシュガーをスプーンで全部掬い上げて中身を捨ててしまえばいいのに、(そう!目障りなんだもの!)と、思ってしまった。
お茶会がティータイムに開かれるとは限らなくって、私が飲む甘い紅茶も起床してすぐのもの。朝食は甘くておいしいケーキばかりで、角砂糖は入れ物から飛び出して、テーブルに収まりきらないものが地面に落ちてしまい、それらは蟻たちに運ばれていく。
「嫌ねいじきたない」
キルレリアはお茶会を壊されるのが大層嫌いなもので、招かざれる客人の行列は無残にも踏みつぶされてにじり潰された。いくら100倍の力を持つ彼らでも……、可哀想に。
蟻たちに向けて同情を浮かべていると、私ははたと気が付いた。はて、どうしてキルレリアはそんなに目に余る私をお茶会に誘うのだろうか、と。
あれあれ?と悩んでいればキルレリアは呆れてティーカップを投げ出した。
「馬鹿ね、ワタクシは何度もアナタに上手く遠慮させるように言っていたというのに、社交辞令をそれまた素直に受け取ってきたでしょう? それから、ワタクシ、アナタには直球で言わないと皺も少ないその頭じゃ考えもつかないって気づいたの。でもね、なんだかんだいってアナタもそれまた馬鹿正直なものだから、いろんなことが面倒臭くなっちゃって。……それと! 独りっきりのティータイムは成立しないから呼んでいる、ただそれだけのことよ」
シュガーをまた入れてゲロ甘の最早紅茶と呼べないそれをおいしそうに飲んで、キルレリアは私に言った。
私は、あら、この紅茶塩が入ってるだなんて傑作ね、と地面に紅茶をぶちまけた。