暴食Ⅰ
ライトなBL・GLあり。
テーマがテーマなので、全体的に作風&ストーリーはかなりダーク&ブラック傾向。
苦手な方はご注意ください。
夕日に包まれた校舎に流れるのはチャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番第一楽章。その優雅な音色が突如として止んだ。
「ん……瑠都お姉さま……そんなことしたらピアノが弾けなくな……あ……」
「チャイコフスキーなんかより、直美とこうしていたい」
瑠都は直美の小柄ながらもふうわりと豊満な身体を背後から突然抱きしめる。びくんと怯える小さな肩。高鳴る鼓動。瑠都はゆっくりと直美の形の良い小さな耳元に顏を近付け熱い吐息を吹きかける。
放課後の乙女の禁断の遊戯。かりそめの姉妹の契約。静まりかえった音楽室。
「やっと私だけのものになってくれた。誰もがみんな可愛い直美を狙っていて気が気じゃなくて……」
「本当ですの? 直美は入学してからずっとお綺麗な瑠都お姉さまに憧れていましたの。そのお姉さまからお声をかけていただいて……もう夢みたい……」
「夢じゃないわ。私もずっとずっと直美のことが好きだったのよ」
細く長い指が顎を捕え、直美の愛らしい顔を自分の方に向かせる。瑠都は慣れた風にほんのり薄桃色のすべらかな頬に指を伝わせると直美はくすぐったそうにくすくすと笑う。さらりと揺れる髪を撫でつけると狙っていたかのように瑠都の唇が直美の頬に押し当てられた。
「柔らかくて溶けてしまいそう」
熱い吐息を洩らしながら名残惜しげにそっと唇を離す。
「お姉さま……もっと……」
薄桃色の頬が瞬時に深紅に染まる。恥じらいながらも可愛くねだる直美。
「どこに何が欲しいのかきちんと言えたら、ね?」
羞恥で俯く下級生の反応を楽しむ瑠都。嗜虐的な笑みを湛えた横顔は凄絶な美しさだ。
「くちびるに……」
「なあに? よく聞こえなくてよ?」
今にも泣きそうな直美の声は消え入りそうだ。大きく息を吸い、恥かしさをかなぐり捨て決死の思いでただ一つの望みを口にした。
「私の唇にお姉さまの唇が欲しいの」
「よく言えました」
肩を小刻みに震わせる愛らしい直美をそっと抱いて、瑠都は遠慮することなく瑞々しいその果実を頂戴した。
まずは「暴食」。
淫乱少女・瑠都がこれからたくさんの人々を頂戴していきます。
ちょっと違った意味での「暴食」にしてみました。