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完成
ようやく完成した。
何もかもを捨てて、骨身を削って研究し続けたこの装置。
あり合わせの材料で作ったために、ずいぶんと不格好になってしまった。
がたがたした表面に、剥き出しのコード。そして目的のものが現われるであろう場所は、せま苦しそうだ。
それに、焼け野原のど真ん中での製作が、何かに影響を及ぼさないとも限らない機械は繊細なのだ。
でも、理論の上ではうまくいくはずだ。
「よし・・・。」
少女は、何のためらいもなく、小さな指で装置のスイッチを押した。
はじめは小さく、そしてだんだんと大きく唸りを上げる装置。
バチバチと火花が散り、少女は目を細める。
失敗したか、と半ばあきらめかけた時、濛々と煙が上がり、あたりの気温が下がった気がした。
「成功なの?」
白い煙は返事をしない。
ギュッとレポートを握りしめ、少女は待った。
「何だこれは。おれは死んだはずじゃなかったのか。」
低い男の声がした。
少女は思わず飛び上がりそうになる。
「やった!成功!わーい!」
遂に彼女は成し遂げた。
死と生の境界を破ることを。
幽霊を具象化させることを。