1/4
プロローグ
世界は荒廃している。
人間の驕りと欲望の犠牲となった。
そして、人々はこと切れるその時まで、戦い続ける。
この研究は、やめるわけにはいかない。
人々の夢のため、なんてたいそうなことを言うつもりはない。
たしかに、これが完成したら泣いて喜ぶ人はたくさんいるだろう。
しかし、彼女が研究を続けるのは、あくまで自分のため。
彼女は求め続ける。
神に仇なす、禁断の理論を。
薄暗い研究室で、彼女に光をもたらすのは、その研究の先にある希望だけ。
レポートの題は
「死者の蘇生」
はじめは純白だったであろう白衣も、今では焦げたり変色したりして、すっかり薄汚い灰色になってしまった。
今日も彼女は、理論をひも解き、フラスコと格闘する。
失ったものを、取り戻すために。