第35話 留守番?!
「もちろん断る。炎帝には頼む話だったんだろ。それをより高ランク冒険者が現れたからと言ってそっちに頼むのは炎帝の立場的にどう思うか考えたか? もちろん俺が行った方が安全に終わるだろう。だから、俺は一般市民が襲われ次第手伝うということになるな。冒険者として一般市民を守る義務がおるからな。炎帝、お前はどう考えている?」
「そうですね……。たしかにその考えは分かります。しかし、今回は人質が取られている状況なので、私だけに頼るということはせず、一緒に倒す形が良いかと……。それに、魔族が5人となりますので、人質を殺すぞ!! とでも言われてしまえば何も出来ない状態になってしまいますので……。すみませんが、俺からもお願いします!!」
「めんどくせぇな。お前はさっさとパーティーでも組んでS級に上がって来いよ!! わかった、わかった。そんな顔するな。行ってやるから安心しろ。はぁ。めんどくせぇな。」
本当にめんどくさそうな顔をしながら、俺たちが食べるデザートの準備をしてくれている。
炎帝はなにか申し訳なさそうな顔をしていたが、とりあえず、2人に手伝って貰えるならタナも無事救出できるだろう。
俺の役目はここまでだな。
「はい、お待ち。白玉あんこスペシャルだ!!」
「やっぱりこれかー!!」
出てきたものは、白玉の上にあんこがたっぷりとかけられており、その上によく分からないフルーツのようなものがポチポチと乗せられている食べ物。
この世界に来て和を感じさせる食べ物を食べてこなかったせいか、すごい美味しそうに見える。
いやいや、あっちの世界では、あんこ自体ほぼ食べなかったじゃないか……
でも、なんだ。
心の底から食べたい欲がすごい。それに、唾液も勝手に出てくるし……。
とりあえず、一口……。
……?! うまっ!!
あんこってこんなに美味かったか?
このあんことフルーツ、そして白玉の相性が抜群!!
いや、抜群は知っていたけど、ここまでとはね……。
それにこの食感もいい。
あんこのつぶつぶ感を白玉の柔らかい感触が包み、そこにフルーツが現れる。
本当に美味いな……。
俺は出されたデザートを無我夢中で食べ、気づくとあっという間に食べ終わってしまった。
隣を見るといつも無表情なムイも嬉しそうな顔をしながら食べ、炎帝も俺と同様さっさと食べ終わってしまっていた。
冒険者として強く、こんなに美味しい料理も作れる……。これこそわ、最強と言うことなのか?
「んん!! お前ら食い終わったんだったら、さっさと領主の家にでも向かっとけ!! ムイが食い終わって片付けしたらそっちに向かうわ!!」
「わかりました!!」
「……。えっ。」
「えっ。ってなんだよ!! こんなに仲間がいるんだから、低ランク冒険者でも頑張れるよな!!」
「えっと……。」
そこで俺はステータスの数字を軽く教えたのだが、それを聞いた原物は徐々につまらなそうな顔をしてしまいにはため息まで突き出した。
「そんなに弱かったのか……。ムイといるから守れるぐらい強いと思ったが、期待はずれか。炎帝、お前はさっさと迎え。ムイ、さっさと食って領主の家に行くぞ!! お前はお留守番な」
「……。でも、少しは役に」
「邪魔だ。留守番な。」
凄い覇気で言われてしまい、ただはい。といか言えなかった……。
炎帝はさっさと出ていき、ムイと原物は少し遅れて出発して行ったのでただひとりぼっちになってしまった……。
留守番とは言われたが、外の様子も気になるし、シアたちの様子も気になるし、少しぐらいなら……。
俺は甘味処からでて、少し歩くが自分の不憫さを以前より感じてしまっていた。
S級冒険者でも呆れるぐらいだからな……。
はぁ。
悲しくなりながら小道を歩いていると、どこからか名前が呼ばれた気がしたので、周りを見たあとに振り返るとそこにはシア達がいた。
今までさんざん合わなかったのに、なんでこういう時によってすぐ会うんだよ……。
「武蔵発見。脱獄最高したみたい。」
「本当に良かった!! 心配したんだからね!! よし、あとはムイと合流して1時退散だよね。ムイったら色んな場所に行くからほんと、時間がかかりそうだね……。」
「本当にそれだよね!! よし、行くよ!!」
「待って!!」
「「?!」」
俺は先程の甘味処での話をしたら、私達も向かおう!! となった。
一応足手まといの俺は留守番を頼まれたことも話したが、気になるんだったら行かなくちゃ!! と言われ、私の足は勝手に前に進んでいた。
それに、こっちには女神パワーがあるんだぞ!!
ズン!!!!!
「「?!」」
走り出そうとしたその時、どこからか大きな音がした。
俺たちは家々に囲まれていてどうなっているのか分からないので、大通りに向かうがそこでも見えなかった。
住民は何があったのか全く理解できておらず、ただ驚いていて、その場で呆然した後、叫び声などを発しながら街の出口に向かって走り出した。
俺はシアたちと話されないように手を繋いだのだが、手を繋いだ相手がユイの手だったみたいで恥ずかしそうな顔をしながら一緒に逆方向に歩いて行った。
少し時間が経つと人気も少なくなり、そのうちシアたちだけになる。
「みんないるね……。よし、行くよ!!」
シアのその言葉を聞いた俺たちは、シアが先頭で領主の家を目指す。
手を繋いでることを思い出し、手を離すがユイは何やら悲しそうな表情をしていたが、今はそんなことを気にしてる時間は無い!!
ただただ走り、領主の家の場所に着いたのだが……。
「これが領主の場所? シア、間違えてない?」
「いや、間違えてないはずだけど……。」
「私もシアと一緒にムイ探しながら散策してたけど、ここであってる!!」
「おかしい。こんな破壊状態じゃなかったはず……。」
「……。」
領地が広く、黒色の長い柵に囲まれているのだが、中の建物が全壊していた。
それになにか焦げ臭い匂いがすると思ったら、領主亭の木々が火に見舞われている……。
これが炎帝と原物の仕業だと思うけど、さすがにやり過ぎだよね……。
キーン!!
「?!」
隣を見ると、シアの剣と何者かの爪がぶつかり合っている!!
人族と余り変わらなく細型で背中に黒い翼。そして、30cmぐらいある長い爪……。
もしかして、これが魔族……。
魔族は領主の屋敷の中にいるんじゃないのか?!
月水金更新予定




