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第28話 ムイは謎の少女

 ……。


 ……。


 「あの……。ムイ。気づいてると思うけど後ろ……」


 「大丈夫ー。ほんと心配性なんだからー。何かあればすぐに巻き返せるー。楽しむよー」


 「……。うん」


 あまり表情に出ないので実際はどう思っているのか分からないが、本当にこんなことになっていいのか……。


 「ちょうどいいところにカフェー!! お腹すいたからあそこはいるよー」


 「でも、みんなにバレちゃうんじゃ」


 「気にしない、気にしないー。何食べよっかなー?」


 「……。」


 ということで、俺たちはカフェに入るがすぐ後ろの席にみんなが座っているというなんとも言えないシチュエーション。しかも、バレバレ……。

 それにしても、本当にムイは何を考えてるんだろうか……。

 謎が深まるばかりである。


 「悩んだ顔してどうしたー? 美味しいもの食べればすぐに治るー。早く注文して早く食べるよー。」


 「そっそうだね……。ハンバーグ定食は……。いや、ハンバーグ定食にしよう!!」


 「いいねー。私は卵パンとコーヒー。コーヒーは注文しなくて大丈夫ー?」


 「お金的にね……。」


 そう、俺が頼もうとしているハンバーグ定食は銀貨1枚ととても高いメニューなのだ。

 だが、人気ナンバーワンとお手製感溢れるメニュー表に書かれていたのだ。

 だから、どれぐらい美味しいのか気になって食べるつもりだ。


 「んー? ……。ここも私が奢る予定ー。武蔵は何も考えずに頼むべきー。」


 「えっ。さすがにさっきも出してもらったんだから、自分の分ぐらいは出すよ。本来ならここのお会計を持たないといけないぐらいなのに。」


 「もう、変なところで真面目なんだからー。でも、その気持ち嬉しいねー。とりあえず注文だけ済まして後で考えようー」


 「うん……。」


 全てムイの思うつぼのように思いながら待っていると、ピチピチと油がはねてる音、そしてなんともいい匂いが漂ってくる。

 ああ。お腹すいたな。と思っていると、後ろから俺が頼んだハンバーグ定食を持ってきてくれた。

 しかも、この世界にあると思っていなかった鉄板の上に乗っている俺が好きなハンバーグ定食!!

 これをもう一度食べれるなんて……。

 よし!! 食べるぞ!!


 「いただきます!!」


 「……。いただきますー。」


 とりあえず、フォークとナイフでハンバーグを一口にカットして口に運ぶが今までに食べたことの無いような味がする。

 ここまでの肉汁が出ていること自体が考えられない上に油っこすぎない。

 それに、噛めば噛むほどお肉の味が強くなり口いっぱいに美味しさが広がっていく。

 ここまで美味しいハンバーグを食べたことがない。


 おっと。

 デミグラスみたいなタレが小さい小皿に入ってるな。

 次は、ここにつけてっと。


 んんんん!!


 やっぱり美味い!!

 言葉で表す語彙力が足りないことをここで恨むことになるとはね……。

 とにかく美味い!!


 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

 一生食べていたい。


 「ふふ」


 「?」


 「武蔵は本当に美味しそうに食べるねー。もっと美味しいご飯を食べさせたくなるー。なんかユイが好きになった理由もわかった気がするー。なんかペットみたいな感覚?」


 「……。えっ。」


 口いっぱいに美味しさを閉じ込め感触を楽しんでいたが、ムイのその言葉で俺の口は止まった。

 色々あったからユイはかっこいい!! って思ってくれてると思ってたんだけど……。

 ムイは俺のことペットとしてら思ってると……。

 ……。

 なんか嫌だ!!


 「まぁ、実際にかっこいいところもあるからその差がまたいいってことじゃないー? 私は本心を見せてくれるのがすごい嬉しいー。本心を隠しながら近づく人が多かったからー。私も候補しちゃおうかなー?」


 「えっ。え!!」


 「ユイうるさいー。しかも隣からとか迷惑ー。」


 「だって!!」


 「食べ終わったら話し合いー。それまで静かに!!」


 「うん……。」


 俺が反応する以上に早くユイが反応してくれたお陰でご飯を口から飛ばさずに済んだ。

 そこからハンバーグの味を楽しもうよりも気になって、気になってあまり味は分からなくなってしまった。

 そのままお会計となったが、今までに見た事のないスピードでムイがお金を払ってしまったので結局払えず……。

 少しスンっとしたのを表情に出ていたのかムイからは、「表情豊かだねー。やっぱりいいねー。」となんとも言えない言葉を貰ってしまった。

 それで俺たちはカフェの外でユイ達を待っているのだが……。


 「これ、さっきの分の銀貨。貰ってくれないかな? このまま奢れっぱなしっていうのも心が苦しいからさ。」


 「だめー。絶対に貰わないー。もっとお金を自分のために使うべき。それなら、ギルドの借金を返し終わったらなにか奢ってもらうー。どうー?」


 「ムイがそれでいいならいいけど……。当分先だし、その時は一緒に」


 「絶対に一緒にいるから問題なしー。なんかそんな気がするー。それに見つからなくなったら見つけるから大丈夫ー。」


 「それはそれで怖いような……」


 「お待たせ!! それでどこで話し合いする?」


 「そうだねー。近くに公園があるからそこでゆっくり話そうー。ちょうど長い椅子があるらしいからー。」


 「分かった。」


 「俺もついて行った方がいいよね……」


 「「もちろん(ー)」」


 ……。

 2人とも少し真剣な目で俺に返答してきたので、少し圧倒された後ついて行くことになった。


 そもそも、あっちの世界では、自宅警備員で誰にもモテたこともなければ、好きと言われたことのない人生がこんなにも変化するとは……。

 お母さん、お父さんありがとう!!


 俺たちは歩きすぐ近くいある公園に到着したのであった。

 その間はただならぬ空気が漂っていたのであった。

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