第12話 オーガアニキに見つかった……
その頃街では……。
「門番!! スタンピードがスタンピードが発生した!! 早くここから逃げた方がいい!! 私達は冒険者ギルドに行くから!!」
「俺たちを舐めてもらっちゃ困るぜ!! 俺らも前衛で頑張るよな!!」
「「お!!」」
門番の後ろの部屋で待機している方々もやる気に満ちすぐに万全の体制で出てくるのだが私シアはそんなものは見ずそのまま冒険者ギルドに直行した。
私はギルドにつくとすぐにいつもお世話になっている受付嬢のところに一目散で行く。
「シアさん!! そんなに慌ててどうされ」
「モンスタースタンピードが発生した!!」
「もっモンスタースタンピードですか?! 何故こんな場所で……。今まで一度も……。」
「おいおい、寝ぼけてんじゃねぇのか?」
酔っ払いみたいなおっさんが私たちに絡んできた。
あなたたちなんかに絡んでいる暇な時間は無い。早く武蔵を助けに行かなければ。そうしなければ私たちが遅れどこかあの森の中で殺されてしまう!!
「こっちは本気。お前みたいな冒険者なんかと一緒にされるだけで反吐が出る!!」
「ちっ。ふざけるなよ!!」
男は逆上し持っていた酒が入っているだろうタルのジョッキを床に投げるとタルが分解され飲み物がべっとりと床にこぼれる。
「お前らみたいな遊び半分でやってる冒険者を見ててイライラするんだよ!!」
そういいながら殴りかかってくるがこんな冒険者相手にならない。私が対処しようとしたがユイが私の前に入ってきてそのまま顎のラインを横から殴り気絶させた。
「ありがとう」
「そんなことよりも早く冒険者を呼ばないと行けないんじゃなーい。さすがに武蔵1人じゃ死んじゃうでしょー。」
「そうだった!! お願いします。ギルドで依頼を出してください!!」
「ギルマスに確認するので少々お待ちを!!」
そういいながら走ってギルドの裏側に行き数分もしないうちにギルマスが登場。
元Aランク冒険者にして光の速さで移動するなどと言われていた閃光刀と呼ばれていた人物だ。
「スタンピードが出たんだって? この近くにダンジョンはねぇはずだろ。」
「それが森から発生したしているのです!! 敵の数は100体以上。推測ではありますがゴブリンやオーガなど森に住んでいる魔物が敵の可能性が高いかと。それ以上の魔物も出る可能性も少し考慮すると私たちだけでは。」
「あああ。分かった、分かった。冒険者共聞いただろ!! 仕事の時間だ!! もし、スタンピードがやってきているのなら魔物の部位を持ってこい。いつもの価格の1.5倍で買い取ってやる!! 俺はこの街を守るために外には出ねぇ。お前ら気張って行けよ!!」
「「お!!!!!!」」
その声を聞いた冒険者たちは雄叫びのような声を上げ武器を片手に次々とギルドを後にした。その際先程のクソ野郎は何度か踏まれていたがこいつはしょうがないだろう。
「お前たちパーティーもさっさと行きな。助けたい奴がいるんだろ!!」
「「はい!!」」
私たちは急いで武蔵が待つ森へと走り出した。門番たちもいつも以上の防具を装備し武器を持って準備万端と言ったところだった。
私は、絶対に死なないで!! そう心で呟きながら武蔵が待つ森の中に入っていった。
そんな武蔵だが……。
スキル、ステータスの確認終了し、マップに見える魔物たちからただただ逃げ回っていた。近くに居そうだったら逆方向。これを何度か繰り返しているお陰で先程のゴブリンから一度も敵と会ってはいない。
今までの悪運は今敵から逃げるための前準備だったのではないか。と感じるほどに。
だが、ただ単に終わるということはありえない。そう、空腹と眠さ。木に寄りかかり少し目を閉じた瞬間俺は死ぬだろう。
魔物とのエンカウントも無くなり少しどこかで余裕が出てきているのでこの余裕故に苦しめられているとはね……。
?
マップに映る魔物レーダーだが、何故か森との境ぐらいにいる魔物が急激に減ってきている!!
もしかして、シア達が動いてくれたのか? この調子なら行ける!! 行けるぞ!!
今晩を乗り越えれば俺は街に帰って美味しいご飯のひとつでも食えるぞ!! それまでの辛抱だ!!
立ち上がりながらガッツポーズをつい繰り広げ喜んでいるとメキ!! メキ!! と音が聞こえ始める……。
おいおい、冗談だよな……。
後ろを振り消えると少し遠くにシア達が狩ってくれたオーガよりも大きいオーガの姿が目に浮かぶ……。
おいおいおいおい……。
唾を飲み、緊張した手でマップを見るとそこにはオーガとしか書かれていない。
いや待てよ。種族が出るってことは詳しい名前までは出ないってことだよな……。
「おおおおおおお!!」
「ひぃぃぃぃぃぃぃ!! ふざけんな!!」
俺は今まで以上のスピードで木々を通り越し何とか逃げるがオークアニキと思われる魔物は俺の何倍も足が早い上に木々を投げ倒すというゴリ押しパワー炸裂しているので距離が徐々に迫ってくる。
あれだけはわかる。絶対に勝てない。オーガでも感じたがそれ以上に感じる。
助けて、助けて、誰でもいいから、助けて!!
そう思いながら走るがオーガアニキの走る音が心臓に音を刻み恐怖を感じながらただただ逃げることしかできなかったのであった。




