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狐面で舞いながら旅をしているのに、剣の腕がめっぽう強い、(義)姉弟妹のお話。

作者: のんちゃ

旅をする三人衆がいた。

道端で舞い、日銭を稼ぎながら、道行く者達。

色の付いた狐面。



赤狐、茜という名の姉。

黒狐、宵丸という名の、弟。

灰狐、渚という名の、末妹。



赤狐と黒狐は舞踊に長けており。

灰狐は、二人が舞う側で控えて守り、時折剣舞を披露し。


何より三人共、めっぽう剣の腕が強かった。



赤狐は背の高い、華やかな女。

狐面の下から覗く、紅が塗られた唇。妖艶な笑み。


指先が弧を描けば、ふわりと風を纏ったよう。

揺蕩う花のような気配に、観る人は気づけば引き込まれる。



黒狐は、きりりと芯の通った、男。

時に鋭く、だが、しなやかな動きは、人々の目を釘付けにする。




灰狐は、凛とした、女。

赤狐や黒狐と舞う事はないが。灰狐は、鮮やかな剣舞を舞う。

取り巻く邪気を斬り裂き、清らかな気で満たすような。




彼らを、月夜の狐党、と呼んだ。






終われば、弟と末妹は、ご機嫌だ。


「姉御ーっ!」


「今日も稼いだね〜〜、姉御〜」



「……あんた達。もうちょっと静かにおし!

まったく、そんなにはしゃがないの!」



「姉御〜っ!」

宵丸が茜の腕に引っ付けば

「姉御っ!」

渚が反対の腕にひっつく。




「もう、おまえ達、何してんだよぉ」

戯れ付く二人に、何だかんだ言って楽しそうに笑う茜。



そんな中。



不意に、宵丸が動きを止める。


「しっ!………招かざる客のようだ」


低く呟いた宵丸の反応に、茜も渚も、すぐに辺りを警戒する。


「……相手は、ひとり、ふたり……五人か」

「あぁもう、面倒だなあ!」

敵の数を気配で数える茜に、鬱陶しいと嘆く渚。






三人は懐から出した狐面を、すっ、と付ける。


赤狐、黒狐、灰狐。みっつの狐の顔が、夜の闇に浮かび上がる。



灰狐が、ふっと灯りを吹き消せば。

辺りは、夜の闇。






旅の芸人、相手は三人。と侮り近づいた賊は五人。



にたにたと笑いながら近づいた賊達は、急に灯りが消えたことに驚き、辺りを見回す。





「……襲うに容易い獲物と思ったかい?

残念だったね。ここは狐の巣さ」


灰狐が口を開く。



「狩るのは俺たちの方だ。逃げられると思うなよ?」



賊達の背後で、黒狐が低く囁く。



「さあ、覚悟しな!おまえ達が侮った、狐の本当の恐ろしさ、想い知れ!!!」



両手を大きく広げた赤狐。

その言葉と共に、狐の狩りが、始まった。






灰狐が強く真っ直ぐ、素早い助走で鋭く敵を突けば。



黒狐が激しく躍動し、獲物を翻弄し、斬り裂く。



赤狐は優雅に踊るように、刀を振り、しかし、一度狙った獲物は逃さない。




あっという間に、五人の賊は、倒れ伏した。

月夜に、熱気を覚ますような、風が一筋吹いた。








翌朝は、街道をてくてくと歩く、旅の姉、弟、妹。



先程寄った茶店でも、弟妹喧嘩を披露し。

「あらまあ、仲がいい兄弟だこと」

と女将さんに笑われたところだ。




呆れた姉、茜がからりと笑う。

「兄弟だってさ!良かったな!!」



「ええー!俺は、姉御と兄弟なのがいいんであって、こいつとは別に」


「なによお!あたしだって、姉御と姉妹、がいいのに〜〜」



まだ歪みあってる宵丸と渚を。

後ろからまとめて肩を抱え込み。茜がからっと笑う。



「あたしは!…あんた達と三人できょうだい、だからいいんだ!……そうだろ?」



そう言ってそれぞれを覗き込めば、満更でもない様子。




「さあ、次の宿場へ行くよっ!」

「応っ!」

「あいよっ!」




笑いの絶えない三人に、血の繋がりはない。

それでも、もっと強固な絆で結ばれて。

旅から旅へ、流れ行く。




今度は何処へ、ゆくのやら。

読んでいただき、ありがとうございました!

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