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異世界に転生した人の日記が見つかりった。名前も書いていない日記である。
ただ、後世にミレイ・カスミという転移者がいたことは伝わっている。
そのためこの日記はミレイが書いたものであろう。
書かれている言葉はこの世界の言葉ではない。そのため翻訳に時間かかかったことは否めない。
一部になるが、翻訳できた内容をここに発表する。
魔法研究ギルド第五代総帥 マルメ・フォン・ミレイミ
異世界0日目
始めまして私。
今日から、いえ実はこれは6日後に日記をつけています。
なぜならば、日記を書くための紙を作ったのが6日後になるのです。
実際は今を入れて7日後かな。まいいや。
そこから7日分まとめて日記を書いています。なんだかややこしい。
紙を作ったっておかしいですよね、そのことは異世界暦1月6日の日記に書きます。
多少の矛盾があってもこの日記が他者の手に渡って読まれるなんてことはないので何でもアリかな。
私はこれまで日記を書くことはありませんでしたが死んことで心機一転日記を書くことにしました。
死んだから日記をつける。変ですね。笑っちゃいますよね。
これは1日目に0日目として記しました。
異世界暦元年 1月0日です。まあ、0日というより死亡日というか転生日? ですね。
私は三十路を過ぎてまだまだ独身でありました。独身貴族うぇ~い!
仕事は出版社に運よく就職できました。
さほどメジャーな会社ではありませんでしたが、それなりに仕事は順調でした。忙しいときもありますがブラック企業の正反対に存在してました。
さまざまなグッズの紹介や新商品の説明を誌面に書き、それとは別に今では珍しい百科事典を作っている会社でした。
1人暮らしでしたので多少の料理は作れますし、仕事柄1人で小旅行やキャンプ、車中泊などはもとより最新工法のトンネルや建設現場などの工事現場に取材に行かされました。
それなりに充実していたと思います。百科事典を作るために知識を得るのも楽しいものでした。
ある日、校正チェックも終わり漸くお家に帰ろうとしたときそれが襲ってきました。
会社の裏口の窓口から守衛さんに挨拶をしたところで倒れてしまったようでした。
なぜ「倒れてしまったよう」という言い回しになったかと言いますと、挨拶した瞬間に意識が途切れてしまったのからです。
暫くして気が付きました。暫くとは言うもののどれくらい時間が経過したのかわかりません。
眩い光に包まれた部屋と言いますか、空間に私がいました。眩しくてもそれは分かりました。
何処からか声がして私の置かれた現状を語ってくださいました。
どうやら私は死んだようでした。ここはどうやら死後の世界のようです。
仕事は特に忙しいということもなく、校正時などは確かに帰るのは遅くなることもありました。でも一時的な事です。年がら年中忙しいわけではありません。
私自身、過労などとは程遠いくらい体調は良かったと自覚していました。
声は『過労で死んだのではない』とおっしゃいました。
では、なぜ突然死んでしまったのか不思議でした。
声によりますとどうやら『人違いで魂を呼び寄せてしまった』とのことです。
つまり、人違いで私は死んでしまったのでした? 怒ってもいいでしょうか?
けれど、死んだとと言われても、私はまだまだ考えることができました。
(吾輩は考える足、いえ、葦である、、、名前はまだない)能天気ですよね。死んだのですよ?
こんなことを考え、そして、(我思う故に我あり)そんなことも浮かんだので、死んだなんて信じられませんでした。
ただひとつ私は私を識別できませんでした。肉体的な識別ができなかったのです。
そして、声は眩い空間に倒れた後の私の状況を映像として見せてくださいました。眩しいはずなのに映像は認識できました。
守衛さんが救急車を呼んでくれました。蘇生作業が救急車内、病院内で行われています。医者が首を横に振りました。
場面は変わって、死亡原因は不明のようでした。会社が警察から事情を聞かれてるようでした。
再び場面は変わります。私の葬儀を会社が行なってくださっているようです。
私は一人身で親族は相当遠い親戚ならいると思いますが、一人っ子で親は既におりませんでした。
再び場面が変わります。ああ、私の肉体が焼かれていく……。
まるで走馬灯のように、私に関する倒れてからの映像が空間一杯に広がっていました。
走馬灯とは生きていた思い出などがみられるものと思っていましたが、どうやら死んだその後を見るもののようです。
声は申し訳ないとおっしゃいました。魂を呼びよせて、間違いに気が付くまでに肉体が焼却されてしまい、魂を元の体に戻すこともできなかった。と言われました。
なんでも、このまま私の魂を黄泉の世界へ送ると目覚めが悪いので別の世界での新たな人生を与えてくださるとのことでした。
私は別の事を考えていました。「光の人も夢を見るのかしら?」と。
『何か希望はあるか?』と聞かれました。
どうやら別の世界での生活は確定事項のようです。
私は、どんな世界での人生になるのかを伺いました。
『悪くない世界だよ』とおっしゃいました。
何となく誤魔化されたように感じました。でも、嫌な感じはしませんでした。
それならば、「丈夫で強い肉体と生きていくためのあらゆる最高の術と能力をお願いします」といいました。
『出血大サービスだよ』とおっしゃいまして、何やら呪文のようなものを私に投げかけました。
すると、右手中指と左手中指に指輪が現れました。
『右手の指輪はあなたがこれまでに得てきた知識が入っています。忘れてしまった知識、うろ覚えの知識が正確に』
『左手の指輪はこちらの世界の情報が入っています。言葉や文字、生活に必要な術が』
声からは楽しそうな雰囲気が感じ取れました。
『10日間は準備期間だから、それまでに必要な事を理解してね。準備OKと思えば準備期間は短縮できるよ』
そして再び気を失いました。最後に声が『がんばってね』とおっしゃたようでした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~1日目 ~異世界暦1年 1月1日~
おはようございます。
水の音が聞こえました。
私はぼんやりと目をさまし、まるで夢を見ていたかのようでした。
上半身を起き上がらせます。
まだ、頭がはっきりしませんでした。先ほどの事は夢かと思いました。
周りを見渡しました。驚きました。いつものようなベッドで目覚めたのではなく、芝のような短めの草が生えている場所で目覚めました。
空を見ました。青く透明な空でした。真っ白な綿の集まりのようなの雲が流れています。空の向こうには昼間にもかかわらず、星が見えました。それも2つ。輪のある星と、輪の無い星でした。とても幻想的な空でした。
足元を見ました。その先には、小川が流れていました。水の音はそこからしていました。
手を見ました。細長い指が付いている手でした。指輪がはまっています。
足を見ました。細く弱々しい足でした。足は紺色のソックスに靴を履いていました。ローファーの革靴です。
体を見ました。胸が邪魔にならないようほどほどにありました。
死ぬ前はもう少し胸はありました。
『死ぬ前?』
思い出しました。そうです私は死んでしまったのでした。あの声の主が私を別の世界に転生してくださったのです。
転生であれば、赤子の時期もあるはずでした。がその記憶はありませんでした。しかし転生前の記憶ははっきりありました。
少しだけ目がうるうるしてしまいました。
顔を見ました。もちろん鏡もないので見ることはできません。
私は立ち上がり川の側に行きました。目線の高さに違和感を覚えました。少し低いような。
前世では175cm近くあり、女性としてはそれなりに高かったとおもいます。中学の時も背は高かった方ですが、高校から大学に掛けてさらに背が伸びてました。
今の目線は中学の頃でしょうか? それでも、身長は転生前の世界では中学の女子としては大きい方で、ちょくちょく高校生と間違われました。
小川に近づくと川幅は3m位ありました。
その川を覗きこみました。
驚きました。そこに私がいませんでした。
川の中に私はいませんでした。
懐かしいメロディが聞こえてくるようでした。ただ、お墓の前ではありませんでしたが。
黒く肩を超える長さのセミロングの髪は、クリーム色のサラサラの髪に変わり、陽の角度によっては金色に見えました。長さは死ぬ直前と同じくらいです。
濃い茶色の瞳は明るい瑠璃色に変わっていました。
顔の形は卵型で目はパッチリと口は細く、八重歯と笑窪が初々しい姿に変わっていました。
ひとつ分かりました。眉毛やまつ毛もクリーム色だと、メリハリがなくのっぺらぼうの様な顔になるのだと。西洋人がメリハリのある顔つきなのは眉やまつ毛が薄い為、メリハリ(堀の深い)のある顔が必要だったからに違いありません。
一言言えることは、私が見てもかわいいのではないでしょうか? 唯我独尊転生美人?まあ、どうでもいいですね。
体つきはやはり中学の頃の私でした。13~15歳くらいの身長に戻っていました。それでも身長は160cm位ありました。中学生にしては高い身長です。
出血大サービスはこの体だったの事だったに違いありません。
一応服は着ていました。助かりました。ブレザーでした。
確か私の通っていた中学の制服です。ブラもショーツも。でも、着替えがありません。
出血大サービスはこの制服でしょうか?
周りを見わたしました。あるのは川、草原、木、林、森、山でした。
ここには、人が生活しているようには思えませんでした。近くに建物も見えませんでした。
見える範囲に動物の姿もありません。木には実が生っていて、足元には青々しい草が育っています。
川の水をいただきました。
それはもう美味しゅうございました。これまで生きてきた中で極上の水でした。
転生してからまだ半日しか生きていませんが。
約束通り転生していただけたようです。
それならば、これからの生活を何とかする必要があります。
たしか、10日は準備期間とおっしゃってました。
水は小川で確保できますが、問題は食べ物でした。
前世の知恵を絞りました。まずはコンビニを探……。この世界にあるはずがありません。
頭に浮かぶのは、デパート、飲食店、無人販売所などでした。前世の記憶が全く役に立ちませんでした。泣けてきました。
ですが伊達に一人でキャンプをしていたわけではありません。
野草についての知識もヨモギぐらいであれば判別できます。
ヨモギとトリカブトの違いぐらい判ります。
さっそく、周りの草に食べられるものもあるかと探しました。
不思議な事もあるものです。
まるで野草に詳しい岡本信○さん本人のように、食べられそうな草が頭に浮かびました。
草を注視すると食用か食用でないか、薬草か毒草かもわかってしまいました。
毒草はわかります。トリカブトなどですよね。薬草って何でしょうね。
子供の頃ドクダミの葉を擦り傷に貼りつけた記憶はあります。こういうのを薬草というのでしょうか?
それとも、何らかの効能があるもの全般に薬草というのでしょうか?
異世界の小説には薬草は薬草としてしか記述がないものもあります。
何故か、日記を書いて分かりましたが、草の名前をいちいち効能別に書いていたら、小説ではなく薬草百科事典が出来上がってしまうからかもしれません。
読む人も草の名前でいちいち覚えていられません。
私もそうです。しかも、小説毎に名前を付けられていたら、読む方は頭がパニックに陥ってしまいます。
まあ、これは日記ですから、備忘録も兼ねてよさそうな草は名前を書いた方がいいのですかねぇ。
でも、頭に草の名前と性質が浮かぶなら不要ですかねぇ。
そういえば右手の指輪はこれまでの知識、左手の指輪はこの世界の情報とおっしゃってました。
左手の指輪を外してから、同じように周りを見渡しました。何の情報も浮かびませんでした。
指輪の凄さがわかりました。
そうそう、頭に浮かんだのは効能だけではないのです。ふさわしい料理方法も浮かびました。
乾燥させて乳鉢にいれ乳棒で磨り潰す? 実験でもするのでしょうか? 本当に食用なのでしょうか?
ちがいました薬草でした。えっと、こっちの葉は毒草ですね。
そして、林の方をじっと見ると、木に生っている実があります。
その実が食用か食用にはふさわしくないか、草と同様に判別できました。
しかもじっと見ていると解説まで頭に浮かんできました。
こっちの実はそのまま食べられる。こっちは渋いので干すといい。こちらは種を煎って食べる。
こっちは葉肉を食べる? アロエみたいな物ですかね。
私だってゲーム位します。特にRPGは好きでした。素材を集めて鍛冶、料理、裁縫、育成、栽培等々出来るのがいいですね。
とことんやりこみました。ゲーム内で。
私は今使っているこの技能が「鑑定」系統の能力であるということに思い至りました。
もしかしてこれが出血大サービスだったのでしょうか?
いまは特にお腹は空いていないので、食糧はあとで必要になったら確保することに決めました。
まずは生活環境を整えねばならないと考えたのです。
……となれば居住空間の確保が必要だと考えました。
土地の所有者はいないようですので自由に土地を使うことにしました。
適度な木の枝を集めました。体の割には太い枝をばきっと折って採取することができました。
とても中学女子の膂力ではありません。
もしかしてこの怪力が出血大サービスなのでしょうか?
蔓を使って太い木の枝を結んでいきました。こういう時にキャンプをしていたのが役に立ちます。
何とか小さな小屋のような家?の骨格を作ることができました。
そこに大きな葉っぱを被せていきました。家らしく、どちらかというと南国のバナナの葉?で作ったような家になりました。
床にも葉っぱを敷きました。
家の中は立って歩くことが何とかできる状態です。
キャンプというよりも、サバイバルです。アメリカのTV番組のようです。
そうこうしていると陽もだいぶ傾き始めました。そういえばここは寒くもなく暑くもありませんでした。
でも、時間が分からないのは不便だと感じ、ちょっと長い棒をテントから少し離して立てました。
明日、太陽が昇って影ができたときに影に印を付けることを考えました。
ここまで何も食べていませんでしたが、特にお腹が空いた感覚はありませんでした。
夜は真っ暗かと思っていましたが、星空だけでとても明るく感じました。
家? に入り、横になりました。明日は何をしようかワクワクしながら眠りにつきました。
それでは、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~2日目
異世界暦1年1月2日
おはようございます。
今日は早く目覚めました。陽は昇りかけで空がようやく明るくなり始めた時間でした。
今日はというより、この世界で意識的に寝たのは今回が初めてです。
早く寝たぶん早く目覚めたようです。
家から出て、背伸びをしました。陽は棒に影を付けるほど昇っていません。
私は服を脱ぎ川に入りました。体を顔を洗うためでした。石鹸もないですし水浴び程度になりました。
それでも気分はサッパリしました。
川から上がり服を着ました。
お腹はやはり空いていませんでしたが、なにかを食べないと急に体力が無くなって衰弱する可能性も考えました。
こういう時は無理にでも何かを食べた方が良いです。木の実を取りに向かいました。
どの実が食べられるのか自然と分かりました。頭の中に浮かんでくるのです。指輪の鑑定さまさまです。
さて木の枝に食べられるとわかる実がなっていますが、私は木登りは出来ません。
しかも、実は思った以上に高いところにあります。
何か良い方法が無いかと考え思考を錯誤させ、もちろんも試行も錯誤しました。
転がっている枝を投げてみたり、石をつかんで足を振り上げ投げてたりと試行錯誤しました。
野球のセンスが皆無であることを身を持って理解しました。
ほかにも、転がっている棒に蔓を張って弓のようにして、棒を飛ばしてみたり。もちろん飛びません。
長めの棒を拾って、実をつついてみましたが落ちてはきませんでした。
私は考えました。強い風が吹いて実を落としてくれないかなと。
もちろんそんなことを考えても風など都合よく吹くわけがないこともわかっていました。
しかし、そのご都合が目の前で現実化しました。なんと一陣の風が吹いたのでした。
その風が枝に吹き付けると、実っていた木の実が複数落ちてきたのでした。
私は落ちた実を拾うこともせずに、呆然としていました。
そしてうれしさのあまり両手を上げて万歳を繰り返しながら踊りまくりました。
暫くおどってから、ふと、俯瞰してその様子を見ているのを想像したら、中学生らしき人物が両手を上げながら踊りまくる怪しく、危険で、面妖な姿が浮かび急に恥ずかしくなりました。
落ちた実を拾い家に持って帰りました。全部で8こありました。両腕で抱えながら持ち帰りました。実は意外と一つが大きかったのです。
陽は昇り、棒の影ができました。その陰に最初の印を付けました。そして反対側の同じ位置にも印を付けます。後は等分に印を入れるだけで完成です。
分割した1区切りが何時間になるのかは分かりませんでした。計るための時計が無いので仕方ありません。
それでも、時間を分割して管理できれば何かと便利なはずだと思いました。
さて、木の実ですが一個食べました。それはそれは美味しかったです。
前世の言葉で言い表すのは難しいのですが、しゃきしゃきして甘く瑞々しいリンゴと梨と桃を足して2で割ったような感じでした。
普通はそういう時は3で割るのだろと思うのですが、2で割るのが丁度この木の実を表しているように思えるのです。書いていておかしくなりました。
早い話、前世には存在しない木の実でした。それを前世の物で表現しようとしたのが過ちだったのです。
その後、周辺を散策しました。
他にも食用可能な実が生っている木があり、食用可能な草や、食用可能な穂が生っている草もありました。
この日は川に水浴びに、森に木の実を取りに、日時計作り、周辺散策で終わりました。
木の実の腹もちが良いのか、一度食べたきりでお腹は空きませんでした。
それでは、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~3日目
異世界暦1年1月3日
おはようございます。
今日で3日目になりました。
家の近くを昨日に引き続き朝から散策しました。
大きな石がありましたので別の石で横線、縦線、横線を書きました。そうです5日経過すれば『正』の文字ができるのです。
木の実を一個食べました。そのまま家の中に置いておいてもよいのですが、何か収納する場所があればよいのになと思いました。
するとどうでしょう、6個の木の実が消えてなくなりました。なんということでしょうか、いったいどこに消えてしまったでしょうか?
隠れてないで出てきてほしいと思うと、あら不思議6個の木の実が出現しました。私は吃驚仰天して腰が抜けるかと思いました。言い回しが大正ですね。
私は閃きました。ピコーンと音付きで豆電球が頭の上に現れた! というくらいの閃きでした。
家を収納と考えました。家が消えてしまいました。家よ出ろと考えました。家が現れました。
これが転生前には存在しないスーパーゴールデンデリシャスゴージャスメジャーな魔法、収納魔法。いえ空間魔法だと思いました。もしかしてスキルかもしれません。
きっと、出血大サービスはこれだったのだと感じました。
空間魔法が使えるといくつか応用が利くはずだと思いました。
例えば、収納とアイテムボックスと亜空間管理とゲートです。
ある小説では収納とアイテムボックスで、入れた物が時間経過するのが収納で、時間経過しないものがアイテムボックス。そこには生物は入れられないということ。
でも、いつも疑問がありました。種や葉、枝などの植物は生物ではないのか?
種は土に植えれば芽が出てきます。葉や枝は接ぎ木や、水に浸しておくと浸している部分から根が出ることがあります。つまり生きています。
ああ、脱線してしまいました。どうでもいいことかな?
まあ、気にしてはいけませんよね。
ある小説ではそれに亜空間管理。生物や自分が中に入れる空間で、巨大なものはいくつかの星すら管理し、接続していて、いざという時の避難所に亜空間を利用できると。
亜空間につないだ星に家をドドーンと建てていたアニメもあったような気がします。
又ある小説では空間魔法でゲート(門)を管理でき、A地点からB地点までの空間をつなげて行き来できるという。決してザ・ぼんちではありません。
私は喜び光の主に怪しい踊りを奉納しました。喜んでいただけたでしょうか?
そして、それまで食べていた木の実の種は何かに使えるかもしれないと思って、隅にまとめていたのですが、それを収納しました。
そしてこの日は野草を食べるのに挑戦しました。
頭の中に食べられると認識された野草を適量採取しました。
もちろん食べ方も頭の中には浮かんでいるのですが何しろ調味料が一切ないのです。
前世日本であればこのような野草は天麩羅にして食べていました。そのような番組も見たことがあります。
そういえば油って調味料なのでしょうか? 油は油なのでしょうか? ああ、又脱線してしまいました。
直ぐに思考が右左折して脱線し余計な事を考えてしまいます。私の悪い癖です。
兎に角、手元に食用可能な野草しかないということです。
調理のための道具、調味料、ガスコンロもありませんでした。
火を起こして石の上で炒めるのはどうだろうと閃きました。キャンプ7つ道具の一つであるクッカーがあれば良かったのですか。ないものねだりしても仕方がありません。
平たい石を川に探しに行きました。火を起こす道具を森に探しに行きました。
箸になるような枝を探しに行きました。
何とかすべて見つけることができました。最初に竈を作りました。
まず、火を起こすために、乾いた板のような木に乾いた葉っぱを手で粉々にして載せました。
別の枝の先っちょを板の節に差し込みました。後は両手でえっちらおっちら回転させます。
きゅっきゅと棒を回転させました。キュキュ、キュキュッキュと。
ふう、やるなお主。やはりそう簡単に火を起こせませんでした。負けました。完敗でした。
何十回とやりました。手の皮がむけたり、いたみを感じたりはしませんでしたが、精神的に疲れました。
くたくたでした。『もう!! 火、ついてよ』と思いました。
なんと今まで煙すらでなかった節に詰めた乾いた葉から炎が上がりました。
私はあわてて板の上にある火を竈に置いて、その上から火が消えないように枝や乾いた落ち葉を乗せていきました。板ごと燃やしてしまっても、また拾えばよいのです。
枝や落ち葉は板を探しに行ったときに序でに拾っておいたものです。
パチパチと炎が上がりました。煙が上へ上がって行きました。
ガッツポーズをしました。
平たい石を竈の上に落ちないように設置し熱くなるのを待ちました。
熱くなってから、その石の上に野草を置きました。
そして野草を食べられるように炒めました。油はありませんが。
食べました。草の味がしました。美味しくありませんでした。がっくりです。
次に大きな葉っぱで野草を包み竈の手前に置きました。その上から土を被せました。熱くなった石を木の枝を使ってその上に置きました。
蒸してみようと思ったのでした。
暫く待って石をどけ葉っぱをとりだしました。包みを開けました。うまく蒸しあがったように思えました。
食べました。草の味がしてやはり美味しくありませんでした。
それでも、火がついたことでなんだか文明的な生活をした気分になれました。
怪しい踊りを火の回りで踊り奉納しました。
折角、起こせた火ですから、名前も知らない火になるでしょう。当たり前ですね。火に名前があってどうするのでしょう。
踊りながら、流石に私でも気が付きました。
一陣の風
物の収納
炎の着火
野草、木の実の鑑定。
これに共通することは何かと考えますと、そうです、きっと忍術に違いないと分かりました。
にんにんなのです。
もちろんそんなボケを真に受けて笑ってくれる人はここにはおりません。虚しかったのです。
そうです私が変なおねえさ……、いえ、そうですこれは魔法だと思いました。
私が知っている魔法と言えば当然映画、小説、漫画、アニメです。
魔法を使えない主人公が古のロボットを動かした。なんていうアニメもありました。また、脱線してしまいました。
さて魔法の種類ですが基本は自然に添ったエレメントで成り立っています。決してオイルの汚れを濾過しているフィルターではありません。
属性と呼ばれたりしています。
基本は5属性、風、火、土、水、木で、拡張して雷、氷があったと思います。
でも雷はいいとして、氷は水ですよね。
ほかにも、光、闇、聖、魔があり、無属性として、浄化、治癒、付与、創製(創造・製作)、精神、時空(空間)、鑑定、探知(探索)、防御、言語と言ったところでしょうか。
そいえば、鑑定や収納は魔法ではなくスキルとして設定しているものもありました。それはそれ(作者の設定次第)っていうやつです。
他にも特殊な魔法はあるかと思います、たとえば……。う~ん?
思い出せなかったので後々考えることにしました。
また、治癒の魔法は聖や光に属していたり細かな設定は書籍やアニメ、漫画で変わっていました。
この世界ではどうなのかな。
そもそも、使えさえすれば、属性がどうのこうのとか関係ないですよね。属性なんか意識しないですから。
これまでつかえた火と風と時空間、鑑定以外の魔法が使えるのか、使ってみることにしました。
土の魔法で、お皿を作ってみました。できました。
水の魔法で、水を皿の上に出してみました。できました。
木の魔法で、割りばしを作ってみました。できました。
雷の魔法で、雷はちょっと怖いので後にしました。
光の魔法で、明かりを点けてみました。できました。
闇の魔法で、闇のイメージがいまいち分らないので後にしました。
浄化の魔法で、汚れを落としてみました。綺麗になりました。
治癒の魔法で、怪我はしていませんので後にしました。
精神の魔法で、精神って動物を操るとかでしょうか。後にしました。
創造の魔法で、小さな動く人形を作りました。できました。
聖と魔についてイメージが湧きません。
聖はゾンビを倒すときに使うターンアンデットだったでしょうか?
魔って? 魔男とか、魔がさすとか?
一部を除いて全て使えました。
もしかしてこの魔法を使えることが出血大サービスだったのでしょうか。
その後、1日中魔法を使いまくりました。
例えば水の魔法で氷をイメージし魔法を行使し氷を作ったり、お湯を出したり、火や土、水、風、氷で矢をイメージして川に向かって放ってみたり、土魔法で、砂浜で作るようなお城を作ったり、食器を作ったりしました。
イメージを放出するような感じで使えたので楽でした。何しろTVや映画、アニメ、小説、漫画などの超娯楽社会で育ちましたからイメージは豊富です。
さらに、基本の学力だけでも科学、化学を学んでいます。
「えいっ!」「やぁ!」「そりゃ!」などと言いながら使いました。
もしかして魔法を使う天才ではないかと思いました。これからは自称【美少女賢者】としましょうか?
たくさん魔法を使っても疲れを感じることはありませんでした。
矢も考えた本数飛ばすことができました。魔法の剣、魔法の槍も同様に飛ばしました。
他にもシールドやバリア色々な事を試してみました。
調子にのりました。図にのりました。
魔法少女になりました。やんばらやんやんやんです。
この日記を読んだ人が不幸になりますように……。
私は重大な見落としをしていました。一般的?(この際一般とは何か!は棚の上です)に魔法は魔力を使用し、魔力が無くなると失神したり、車に酔ったような感覚になったり、命を落としたりする。という重大な事を頭からばっさりと抜け落ちていたのでした。
私は使った魔法がどの種類の属性の魔法に該当しているのが気にしていません。
氷の矢を飛ばしても、今の魔法は氷の魔法? 水の魔法? てな具合です。
一応、分かりやすいように○○の魔法って書いていますけど。
もしかすると魔法ではなく、超能力なのかもしれません。
ちょうのうりょくしょうじょ~、それは~わ~たし~~♪ ノリノリです。
僕はいませんけど
あの超人の様に、光の剣やエネルギー吸収ボール、ラフノー○の鏡、テレポート、変身能力は使えるかしら。
それはさておき、明日からやることができました。生活を文明開化の音がするようにしていこうと思いました。衣食住の改善を目指すことにしました。
ウキウキウォッチングしながら寝た為、完全に眠ることができたのは前世の時間で言うと22時頃だったのではないでしょうか。
それでは、またあした。おやすみなさい。
珍しく夢を見ました。
あの眩い空間に一人たたずんで声を聞きました。
『おめでとう。こんなに早く魔法に気が付くとは驚いたよ』と声がおっしゃいました。
私は「ありがとうございます」とこたえました。
魔法でどんなことができるか聞きました。
『なんでも』と答えていただきました。『この星を破壊することもできますよ』といわれました。
軽く言われたので、光の人はジョークが得意なんだと思いました。
魔法についてヒントをくださいました。イメージが強い状態で魔法を発動させれば現実になると。
『何かを現実化するには僅かな材料が必要だよ』とも教えていただきました。
『転生前の知識がある貴方であれば製造も可能だし、単純な機械も作れますよ』
『あとは今いる場所を探検して、自分で考えてね』とのことでした。
最後に私はこの星に人間はいますか?と尋ねました。
光の人は答えてくださいました。『もちろん。人間以外にも獣人、怪人、爬人、妖怪、魔人、屍人もいますよ』と。私は不安になりました。特に妖怪、屍人という言葉で。
他にもやり取りをしたと思いますが、覚えていませんでした。
最後に『怪しい踊りも楽しかったよ』と言われたことは忘れてなかったことにしました。
残念ながら覚えてますけど……。
超能力ではなく、魔法でした。
超能力と魔法の違いって何でしょうね。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~4日目
異世界暦1年1月4日
おはようございます。
ついに!! 4日目の朝が来ました。だからなんでしょう。
今日は魔法を使っていろいろ試すつもりでした。その前に朝食として収納から出した木の実を食べました。
やるべきことを考え地面に手順を書きました。やるべきこととは南国の大きな葉で作ったような家ではなく、転生前のような家を作ることです。
南国生活は2~3日で十分です。趣味だからできるのです。それで生活するのは苦行です。
そして、手順通りに進めていきました。頑丈で便利な家になるはずです。
設計図も書きました。広い一階に二階があるような家です。
土魔法を行使して作っていきました。兎に角ドドーンと形だけ出来ました。
土台部分は1m位の高さにして、土台の下に汚水槽を設置しました。汚水槽の掃除は魔法で行うことを前提にしてあります。
密閉空間にして下水管をつなげることができる管を外に設置しました。匂いを逃がす煙突を設置する配管も作っておきます。漏れると困りますよね。
一応、汚水槽は消臭機能を付けました。
広い一階があります。8畳の部屋が4部屋になりました。リビングやキッチンも作りました。
玄関の三和土も広く作っています。1.5畳くらいあります。家の中は土足厳禁にするつもりです。
玄関で靴を脱ぎます。異世界に来た日本人の少ない矜持です。
広いお風呂もトイレも作りました。二階も3部屋作りました。トイレはもちの論で水洗です。
風呂は浄化の魔法で体は綺麗にあるのですが、湯船に入った時の浮遊感といいますか、肩こりから解放される間隔がいいんですよねぇ。重力から解き放たれると言いますか……。
作っている途中で楽しくなり、予定外でしたが三階も作ったのでした。見晴らし台のような三階になりました。洗濯ものも干せそうです。
さらに暖炉も作りました。リビングになる部屋には暖炉は必要ですよね。煙突は家を廻るようにしました。
床暖房もなんとかしたいかな。
家の形は、鼠の顔や、熊の顔にはしませんでした。もちろんアザラシの顔や、フェレットの顔にも。
ちょっと昔の日本家屋のような形です。でも、どこか違うような。まあいいでしょう。
これで家の外観はもちろん中もほぼ完成しました。ただこの時、問題が発生しました。重大な見落としをしていました。
そうです、私は汚水槽以外の水回りの事を考えていなかったのでした。
手を加えます。1階と2階の間を2m程かさ上げして、そこに空間を作ります。この空間が貯水槽です。
一体どこの世界の人間が1階と2階に空間を作り、そこを貯水槽にしようと考えるでしょうか。
そもそもそんなところに貯水槽を作ったら掃除が大変ですし、経年劣化でいつかは家の中が水浸しになること確実です。
魔法が使える事による、発想の転換です。魔法で掃除をし、経年劣化も魔法で補修します。
2階にはトイレを作らないので、1階に水が流れれば問題なしです。
次に近くの小川を有効利用しようという結論に達しました。
家の近くに、広めで深い池を作りました。直径で3m位、深さは5m位、周りは崩壊しないようにしました。カチンコチンに固めました。細くすると井戸と呼ばれたに違いありませんでした。土魔法は便利でした。
その近くに第一貯水槽を作りました。設置の底辺は地面の高さ、大きさは直径3m、5mの高さの円柱の貯水槽にしました。
第二貯水槽は第一貯水槽の半分の高さに底辺が設置されるように同じ大きさのものを作りました。
第二貯水槽から家の中の貯水槽に水が溜まるようにします。
直径1cmほどで8m、最後にJを逆さにしたように曲げた管を作り深い池に設置しました。底にはつけず2m半余が水の中に入るようにしました。
同じく1cmほどで8mちょっとの長さで同じように曲がっている管を第一貯水槽に設置しました。
それぞれの貯水槽が満杯になっても管に接地しないように排水管も作りました。排水管から出た水はそのまま川に戻るようにしておきました。
私の気が確かならこれで水を吸い上げられるはずだとおもいました。誰も記憶だろ?と突っ込みを入れてくれませんでした。
小川から分流させて池に水が流れるようにしました。
深い池に水がいっぱい溜まりました。設置した細い管を魔法で真空状態にして水を吸いあげます。
ちょろちょろと第一貯水槽に水が溜まって行きました。上手くできたようでした。管が細いので時間はかかりますが、完璧です。完璧の艦隊です。
余分な水が排水管から抜けでたのを見計らって第一貯水槽に設置した管を真空にして水を吸い上げました。
管からちょろちょろと水が出てきて、第二貯水槽に水が溜まっていきました。
私は嬉しさのあまり第一貯水槽と第二貯水槽の周りで怪しい踊り奉納しました。私しかいないのに何故か笑われているような気がしました。
私はキッチンとトイレ、風呂場に水が通るように配管を組みました。魔法は本当に便利でした。
家の中の貯水槽に第二貯水槽から水が通る配管を設置し接続しました。水は1階のみ出れば十分なのでこれで問題はありませんでした。
今晩はしっかりした屋根つきの家で寝ることにしました。
布団があるわけではないので、結局は葉っぱのベッドの上で寝ることになりました。
これでは文化的な生活ではないと思いました。
それでは、おやすみなさい。
追記
魔法で貯水槽に水を補充すればいいということに気が付くのは先の事です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~5日目
異世界暦1年1月5日
おはようございます。
朝だ、あさだ~よ。とりゃ~三回転半! 朝だまお。
布団の上から3回転半に失敗してお尻をしたたかに打ちました。ふっ。
いたいのいたいの飛んで行け~。体が一瞬光り、痛みが消えました。
治癒魔法を使ったことになるのでしょうか?
さて、ここに転生して5日目になりました。
家は出来ました。水も通りました。電気やガスは諦めるしかないと思っています。灯りはライトの魔法があります。
転生前の知識を持っている私は、電気についてはソーラ発電で蓄電し、LED照明を多用する。そんな家にしたかったです。
ガスについては、昨晩寝ながら考えました。正確には横になりながらでしょうか。
前世の日本のとある場所では地下から水に溶けているガスがわきだしているというのを思い出しました。
とある博物館がガスで爆発したことを私はなんとなく覚えていました。がすばすがすはつです。
詳しいガスの種類などは知りませんが、ガスが自然発生しているところから、集めたガスを家庭で使用している番組を見た記憶が蘇ってきたのです。
ガスをどのように探知すればよいのでしょうか?
もともとガスは無色透明で無臭と聞いたことがあります。
素直に諦めました。
ガスを使うのを諦めた為、近代的なキッチンがあっても意味が無いと思いました。
そこで、キッチン部分リビングを三和土に変更して、キッチンというおしゃれな呼び名ではなく、炊事場にしました。
ガスコンロではなく、竈を4つ作りました。煙が中に籠らないように竈からでる煙突も作りました。
炊事場ではねじる蛇口は作れなかったので、シンプルに水道管に上に持ち上げると水が出て、下げると止まる水門のような仕組みの蛇口を設置しました。
これで水回りは完璧になりました。
外に下水の配管も作りました。下水道は地面の下に土管をイメージしたものを歩きながら土管になるように固めて川の下流から垂れ流すようにしました。
結構下流まで下水管を作りながら歩いたので疲れました。
家に戻るときに途中に綿花に綿ができている場所に気が付きました。
もちろん綿を採取して収納していきました。
つる植物や薪になりそうな木や、木の実もたくさん収納にいれました。
上手くすれば紙や、下着が作れるはずです。
それでは、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~6日目
異世界暦1年1月6日
おはようございます。
目が覚めることで6日目が訪れました。
今日から日記を書くことができます。過去の分もまとめて書いちゃいますよ。
何故今日から?と思われるでしょうが紙を作ったからです。
昨日、採取してきた蔓草を元に、それらを細かくし、縒り合わせ、紡ぎ糸にしていきました。
糸と言っても麻よりも雑なものになりました。荒紐という言葉があるかわかりませんがそんな感じになりました。
地味で大変な作業でした。嫌になりました。
魔法で綿からシーツが作れればいいのにと思ってしまいました。本当に何気なく。
すると、シーツが目の前に生成されていきました。昨日採集ておいた綿が役に立ったのでしょうか?
又、作った荒紐で袋を作りたいと思ったら、荒紐から袋が出来上がりました。
しかも、荒い紐で作られたものではなく、細く布として繊細に仕上がっていました。荒紐は減っている様子もありませんでした。
私は思い出しました。光る方が仰いました。
『何かを現実化するには僅かな材料が必要だよ』
『転生前の知識がある貴方であれば製造も可能だし、単純な機械も作れますよ』
転生前の知識のある私はわずかな材料で製造も、製作も可能だという事を。
そして紙を製作しました。紙は転生前に散々使いましたのでよく覚えています。材料は草や木です。
そして鉛筆も作りました。黒炭を中心部に挟んだあれです。これも、転生前によく使っていましたので創造するのは簡単でした。
これらを魔法で作ったことで、生成魔法が使えたことになるのでしょうか? それとも創造魔法になるのでしょうか? それとも製造魔法?
どんな魔法でも関係ないですね。兎に角、魔法で生み出した紙と鉛筆で日記を書いています。
草の繊維で荒縄や紙や、一部灰で鉛筆が作れたのか。光る方のおっしゃられた言葉も重要ですが、魔法を使っていてヒントがありました。
空気の無い所では風魔法は使えないですよね。でも空気は常に身近にあります。
水の無い所では水魔法は使えない? 本当に? 水の無いところで水魔法は使えないのでしょうか?
転生前の知識のある私にはそんな事はないというのを知っています。水の無いところは余程の場所です。だって空気中に水分があるではありませんか、つまり水の無い場所などない。ということです。
火魔法なら酸素と炭素。場合によってはヘリウムや水素でも構わないでしょう。逸れこそガスなどでも。
空気の中にわずかでもそれらがあれば火魔法は使えるのです。
木魔法なら木。砂漠でも枯草はあります。
土魔法はいわずもがなです。
暗闇で光が使える理由は分かりませんでした。ただ、光を反射しすることで物体が見えるのであれば、ブラックホールに光が飲みこまれていない限り光を使うことは可能です。どんな暗闇であっても光(明るいとは限らない)はあるのです。
つまり、原材料、元になる物質、現象があれば魔法の作動で変化をさせることは可能です。
このことによって転生前の知識を持っている私だからこその結論です。
わははは。美少女賢者ここに現る! はぁ。虚しい。
兎に角、私は魔法を化学、科学、自然現象によって、有効かつ最大限に利用でき、その結論として、魔法が使える私は衣食住で困ることはない。ん?食は? 考えではいけません。感じるのです。
昨日採取してきた綿や蔓草はまだまだありました。
綿があるということは『衣』は手に入れたも同然です。
1日中、必要なものを魔法で作りました。服、下着、寝巻、タオル、トイレペーパー、カーテン、カーペット、布団等々。
服などは制服でも良いのですが、もっと動きやすい服を色々作りました。
綿だけではなく麻も利用しました。麻とは言っても蔓草なので正式な麻ではありません。
ズボン類としてパンツ、スカート、短パン、Gパン等。
カットソーとしてワンピース(漫画ではない)、チュニック(レザーではない)、Tシャツ、ブラウス、ポロシャツ、トレーナー上下、パジャマ、セーター、カーディガン等
コート類としてポンチョ、パーカー、ジャケット、ロングコート、レインコート等
下着類として、ブラ、ショーツ、キャミソール、タンクトップ等
作っては収納に仕舞いました。このまま商売ができそうです。伊達に30過ぎまで1人で女をしていません。
突然虚しくなりました。転生前の事は忘れましょう。
他にも、靴類と靴下類も作りました。元から履いていた物とは別のものです。
制服戦士から卒業です。卒業証書授与です。
家財道具も木から作っていきました。ベッド、テーブル、椅子、扉、洗濯板、物干し竿等々。林の近くで作って収納していきました。
他にもスリッパやサンダルも作りました。室内履きです。カーペットも作りましょう。
家の中に作ったものを配置していきました。一気に文化的なおしゃれな家になっていきました。
先日火を使った竈の側で、石鹸ができるのをイメージし魔法を使いました。
流石に無理かなと思いましたが、石鹸ができました。やはり灰が残っていたのでそれが素材になったようでした。
それをもとにシャンプーもリンスも作りました。
入れ物は土魔法で作りました。
素材については少しあれば良く、しかもすべての素材は不要で、一部があれば良く、必要なものは微量で十分のようです。なぜなら採ってきた蔓草が無くなるということはありませんでしたし、減っている様子も見受けられ無かったからです。
ベッドやテーブルを作っても、倒れていた木が削れて減っている様子はありませんでした。
完璧です。この世界は魔法が使えれば、世界征服も可能で、しかも独身で生活する術が与えられたようなものなのです。
まあ世界征服は面倒なのでやりません。政治を使って秩序や法を作って一生懸命仕事をしても、どこかのマスコミの様に自分たちが気に入らないことがあると叩く材料にする。てめえらは政治家になろうともしないくせに。そんなのは嫌です。
自分が気に入らない政策に文句を言い、ちょっと気に入らない話し方とすると曲解して叩く。
全く理解に苦しみます。人間は神じゃないのですから、過ちもありますよ。神でさえ過って人の魂を肉体から離脱させるくらいです。ああ、書いていて転生前の事なのにイライラしてきました。
忘れましょう。ここは転生後の世界です。くだらないマスコミなど存在しません。
嫌な気分を変えるためと、術を与えてくださった光の方に怪しい踊りを踊って奉納しました。
「丈夫で強い肉体と生きていくためのあらゆる最高の術と能力をお願いします」
ありがとうございます。ありがとうございます。と心の中で思いながら踊りました。
最後に小さなお社を3階に作りました。高さ30cm位の本当に小さなものです。
3種の神器も作りました。小さな勾玉、剣、鏡です。それぞれ10cmほどです。
小さな15cmほどの人形も土魔法で作り併せて奉納しました。
この日は文化的な睡眠が得られました。
それでは、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~7日目
異世界暦1年1月7日
おはようございます。
七日目の朝が訪れました。
今日は休みにすることにしました。
働き過ぎると前世の様に倒れるかもとおもいましたが、過労で倒れたのではないらしいので、問題はないと思います。
しかし、なんと言いますか、気分の問題です。
いつもの木の実を食べました。昨日も一昨日も食べませんでした。
お腹が空く様子もなく、本当に何も食べなくてもよいのかと思いました。
読むための本もなく、遊ぶためのゲーム機もありませんでした。
でも、魔法が使えます。ジェンガを作りました。一人で遊びました。つまらないので収納行です。
ドミノを作りました。並べていきます。風によって倒されました。並べたものが倒れていきます。収納行です。
仕方なく、雲が右から左に流れていくのをただただ見ていました。
飽きました。休みにしようと決めましたが、ぼけっとしている事に飽きました。
そこで周辺を歩き、何かいいものが転がっていないか調べました。
赤っぽい石を見つけました。
近くまで行き確認しました。
なんとさまざまな金属がまとまった鉱石でした。
鑑定で確認すると、鉄、銅、金、銀、白金、スズ、タングステン、チタン、鉛、ミスリル、オリハルコン、アダマンタイト、ヒヒイロノカネ、ガラス? アルミ? ス、ステンレス? 真鍮!! カーボンナノチューブ!?等々。
……あれれ? アルミはボーキサイトから電気分解で作るのでは? 学校でそう習いました。
アルミそのものが金属として存在してる? それ以前にガラスって金属?? ステンレスってそんな馬鹿な。ステンレスはいくつかの金属が混ざった人工物のはず。
カーボンナノチューブは名前は聞いたことぐらいあります。確か電導性と熱伝導効率が良くて、耐熱性もあり、軽い物質で、自然界には存在しないはず。
こんな鉱石あるはずがない。まして真鍮やカーボンナノチューブっておかしすぎます。
異世界はやっぱり不思議な世界だと思いました。
早速、不自然に転がっている謎鉱石を全て収納に入れて持ち帰りました。
早速、謎鉱石を利用します。
熱を伝える金属を作ることができ、風呂を薪で沸かすことができるようになりました。
沸き過ぎ防止機能(手動)も付けました。熱が風呂の管に伝わらないようにするだけの簡易的なものです。
この謎鉱石によって、鍋にケトル、フライパン、お釜、包丁、ガラス、鏡、鉄釜などを作りました。
折角、チタンも含まれますので、チタン製のロングナイフも作りました。30cmの刃しかありませんが、私の体では十分な長さです。
さあ、ひと狩り行こうぜと思いました。行きませんけど。
刃渡り10cmほどの鉈も作っておきました。
必要ならそのうち剣や槍、斧、鍬、鎌、弓なども作るつもりです。今は必要ないですが。
そして私は閃いたのです。
ガスですよガス。そう、プロパンガスという方法があるではあ~~りませんか。
ガスの容器を魔法で作ります。イメージ通りの容器あのプロパンガスの入れ物です。大きさは全高60cm位の物です。
ガスのホースと二口のガスコンロも作っていきます。
ガスコンロなんて何年使ってきましたかわかりません。
早速、魔法でガスを圧縮してボンベに入れていきます。
ほどほどに入ったところでホースをつないでいきます。
ガスコンロのつまみを回します、圧電式の火花が飛び火が付きます。
成功しました。結構分からない部分もあったのですがイメージ通りにうまく作れました。
本当に魔法があれば、科学は不要かもしれません。
でも、科学を知っている私だから簡単にできたともいえます、
科学を知らなければ魔法を扱えても仕組みを理解して作れなかったでしょう。
風呂についてもガスを使うように改良しました。
ガスボンベは予備も含めて複数個作りました。
ガスコンロも同様に複数つくりました。
炊事場もキッチンに戻しました。そのうち給湯についても考えましょう。
後は、キッチン周りで不足しているのはそうですね、冷蔵庫です。
昔の冷蔵庫を参考にして、冷蔵庫の一番上に魔法で作った氷を置く場所を作る方法にします。
折を見て改造していきましょう。
今日はいろいろ作って終わりになりました。
早速、風呂の湯沸し具合を確認し、風呂に入ります。
いい感じです。石鹸も、シャンプーもシャワーも使えます。
しかも、あくせく働く必要もありません。いい世界です。
それではこの辺で、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 新たなる旅立ちの序章 8日目
異世界暦1年1月8日
おはようございます。
雨も降らず今日もいい天気です。
考えてみれば昨日までの7日間、動物を一切見ませんでした。
雨も降りません。
もっとも狩りが出来ても動物の解体は出来ません。だってやったことありませんから。
それならばと、釣竿を作りました。魚なら捌けます。伊達に前世で30云年独身を謳歌したわけではないのです。
釣り針の形状くらい知っています。伊達に前世で30云年……以下略。独身は関係なかったです。
早速川に釣りに行きました。餌はあの木の実を付けました。
結果は釣れませんでした。釣果ゼロでした。ボウズでした。餌がつつかれることもありませんでした。
釣りは諦めました。上から見ても魚は泳いでいませんでした。
家に戻り、三階の展望室から周囲を確認しました。
人の作った建物があるか?
煙が立ち昇っているか?
動物の気配はどうか?
などを確認しましたが目視では何も見つかりませんでした。
目視だと限界があります。たしか3.75*√hだった記憶があります。
しかし、これは地球という惑星での話です。今いる惑星は果たして……。
こういうのを探知する良い方法がないか考えました。
魔法で探知することはできないか?
やってみました。出来ました。探知魔法というよりも、地図魔法でしょうか?
目の前50cmほどに地図が展開されました。
いえ、そのように見えるように頭に中に地図が浮かんでいるようです。
地図魔法に探知・探索の機能も付随して表示することができるようです。
早速、探知魔法で何を探知したいか考えました。
建物、煙、生物を対象にしてみました。
生物は私以外確認することすらできませんでした。
それならば範囲を広げてみました。
丁度、スマホで地図を広げるように動作してみました。
範囲を広げることが出来ました。
1km生物なし。
5km生物なし。
10km生物なし。周囲は海のようです。
25km生物なし。島の全貌が分かりました。
30km生物なし。別の島か陸地の一部が表示されました。
探知範囲は30kmまでのようでそれ以上は見つけれらませんでした。
どうやら私のいる場所は孤島のようでした。周りは海です。縮尺をみると短いところで約10Km、長いところで約25kmです。
ゾウリムシのようなセイロン島のような形です。
この島は人はもちろんのこと動物さえいないようです。それと探知可能な範囲は30kmまでのようでした。地図もそれ以上は出てこないようです。
そして、なぜこの島には動物がいないのでしょうか? 不思議でした。
それはさておき、どうしようか悩みました。
ここは陸の孤島ではなく、海の孤島でした。狭い狭い孤島でした。
表示できる30kmぎりぎりに別の島か大陸の一部が見えます。
何とか大陸まで行けないか? 他の大陸に行きたい。と強く願ったら周りの景色が一瞬歪んだと思ったら砂浜にいました。
辺りを見渡しました。探知魔法を最大限に使いました。私がいた島より広いようです。片隅にたぶん私がいた島の一部が見えます。
一通り確認をした後、家に戻れと思いました。景色が歪んで先ほどいた家の屋根にいました。
きっと空間魔法が発動したのでしょう。
私はこれにより重大な決断をします。
そうです、明日私は旅に出ることを決めました。あずさ二号には乗りません。
折角作った豪邸です。収納に入れて持っていきます。家の外の貯水槽は要らないでしょう。
そうです、必要なら魔法で家の中の貯水槽に水を溜めればいいのです。
そのほか、一生懸命作った家財道具や素材関係は収納して持っていくことにしました。
あの木の実や他に食用のクルミに似た実などをたくさん収穫し、同じく収納して持っていくことにしました。
また、リュックサックを作り、動きやすく刃を通しにくい服も作りました。靴もサバイバルとして使える底が分厚く耐久性のあるものを作りました。
手袋や帽子も作っておきました。色はもちろん迷彩色です。
収納があるのでリュックサックは不要ですがそれはまあ、雰囲気作りです。
水筒は魔法で水を出せますが一応作りました。
リュックサックには序でに作った小さなクッカーやマグカップをぶら下げました。
こういうのは形から入らないといけないのです。
ロープやカラビナ、折りたたみテーブルなども作りました。
これで準備はできたので、今日はゆっくり寝ることにしました。
それでは、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 新たなる旅立ち その前に 9日目
異世界暦1年1月9日
おはようございます。
さあ、朝を迎えました。
家を含めて必要な物は全て収納に入れました。
準備はOKです。
新たな大陸に向けて出発です。
これが転生後の第一歩になりますでしょうか?
昨日転移した場所に再び転移しました。
知らない砂浜でした。昨日は周りをよく見ませんでした。
これからが新しい人生の本格的な第一歩になると思ったら、感無量で少し涙が零れました。
まずは収納した家を適当な位置にだします。
私はここでちょっとやりたいことがありました。
それは塩です。さきほど海の水を舐めたところ塩辛かったので塩の精製を思いつきました。
砂浜に貯水槽3号機を作ります。砂浜を掘るようにして5mほどの深さの井戸の様に作って行きます。
崩れないように水はけの良い小石をイメージしながら周りを固めます。
海水が少しづつ湧き出して海面と同じ高さまで溜まっていきます。
これで基本的な不純物は取り除けます。
家を作った時のような直径1cmほどの毛細管を5つ設置し、真空にして海水を吸い上げ、土魔法で作った入れ物に貯まるようにします。
壺の大きさは10リットル位です。
溜まった海水を10分の1になるように、魔法で水を蒸発させます。
白いものができますが濾過して濃くなった海水を次に使い、残った白いものは、壺に入れます。
濾過された海水をさらに少し水分が残る程度に魔法で蒸発させます。ここでできたものが塩になるはずです。
これをさらに濾過します。ここで残ったものが塩ですが確認のために、ちょっとなめてみます。しょっぱかったです。
残った塩は水分を完全に飛ばして乾燥させ壺にいれ、最後に残った海水も土魔法で作った瓶に入れておきました。こちらはこちらで利用すものがあります。
夕暮れまでこれを繰り返しました。
疲れましたが、仕事をした気分になりました。
塩は壺にして10壺だいたい40kg位できたと思います。途中で少し調子に乗ったようです。
瓶に入れた残り物と塩の壺は収納に入れておきました。
それでは、おやすみなさい。
追記として塩精製で失敗した方法も書いておきます。
雨どいのような半円の樋を全長が100m位になる長さで曲がりくねるように少しずつ下るように斜めに土魔法で作っていきます。
樋には純粋な水は樋の下に染み込むけれど、塩分は染み込まない性質を付加してあります。
以前作った毛細管を作り樋に水が流れるよう設置し、真空にして海水を吸い上げます。
毛細管から吸い上げられた海水が少しずつ樋を流れていきます。管から海水が出る部分は布を設置し不純物を取り除いています。
海水は樋を流れていくうちに水と塩分その他に分かれていき、樋の終わりまで海水がたどり着くことはありません。
蒸発によって減っていく水分と、樋に染み込んで消えていく水分によって、50m程流れると水分が消えていきます。
水分が完全に消えたあたりを見てみると白い物が樋に残ります。
樋の上流に残ったものは不純物が多く、樋の中流に残ったものは不純物が少なく、樋の下流に残ったものも不純物が多い塩と思っていました。
でも、どこからが塩でどこから不純物なのか全くわかりません。
この方法は一度流せば勝手に塩が精製されると考えて楽をしようとしたのですがどうやら失敗のようです。
でも、塩っぽいものは出来たんですよ。本当ですよ。
ただ、ぐちゃぐちゃに混ざった塩ができて、さらに最後に残るにがりを得ることができなかったんです。
凄く良い発想だと思ったんですけどもねぇ~。失敗は成功のなんちゃらです。残念です。
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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 新たなる旅立ち スタートダッシュはしない 10日目
異世界暦1年1月10日
おはようございます。
昨日の労働のおかけで熟睡できました。
今日から本格的に移動します。
どの方向に向かうべきか探知魔法で地図を出しました。
不思議です。昨日までいた島が表示されていませんでした。
それもそのはず探知魔法が半径10kmまでしか使えません。前は半径30kmまでつかえたはずです。
元いた場所に転移しようとしましたが魔法が発動しません。
以前は確かに戻れました。地図に表示されていないからでしょうか?
それとも準備期間に関係があるのでしょうか?
もしかしたらゲームで初心者エリアから出たプレイヤーが初心者エリアに戻れない仕組みでもあるのでしょうか?
前回は長時間滞在せず辺りを確認した程度で戻ったので、まだ出発とは判断されず戻ることができたのでしょうか?
探知範囲が変わってしまったのも不思議です。謎です。しかし、謎を調べるためにこちらに来たのではありません。
気を取り直してどこに向かうか目星を付けることにしました。
どこかに村や町があるのであれば道があるはずだと思いました。
探知魔法を使いました。しかし探知魔法内にはそれらしい情報は出ませんでした。
最大半径10km最少半径10mの円形の縮尺で地図が使えます。
地図には情報が表示されます。
どうやら、もう30kmまでの探知は出来ないようです。
それでも半径10kmの探知は助かりました。なぜなら富士山頂から半径10kmはおよそ富士全体を網羅できるからです。それくらい広いのです。実際は富士裾野はもっと広いですが。
何とかドーム何個分より分かりやすいでしょう。
最大の範囲で探知魔法を使ったことで道のような筋がある場所は分かりました。どうやら内陸に歩かないといけないようです。
海の近くの藪を進みました。一歩一歩進みました。
もちろん邪魔な藪は鉈で切りながら進みました。
体は小さくてもパワーはありましたので、ばっさばっさと行く手を遮る藪を切り開きながら歩きました。
そうして進んでいくと藪はやがて林の様になって歩きやすくなりました。歩くのを遮る藪のような低木が無くなってきたのでした。
そうして歩いていると今度は鬱蒼とした森の様相になってきました。ただ、歩く事を邪魔するのは木の根だけです。
林と違い太い木々が増えてきました。時折立ちふさがる太い倒木を乗り越えるのは苦労しました。
動物と遭遇することはありませんでした。鳥の鳴く声は聞こえます。何かはいるのだと思いました。
暫く、歩くことと太い倒木と格闘しながら進んでいくと、開けた場所に出ました。
足元を見ます。少し湿っていましたが動物の足跡などは見当たりませんでした。
探知しましたが道のある場所まではまだ距離がありそうでした。
それでも陽が沈むまでには森を抜けることができると考えました。
魔法で作った靴は靴擦れをすることもなく、疲れを感じさせることもありませんでした。ジャストフィットです。
喉が渇くでもなく、お腹が空くでもないですが、何かを食べないとエネルギー不足で倒れるかもしれません。
一時休憩にして木の実をしゃくしゃくと食べました。
倒木に座り、上を見上げると1本1本が相当高い木を見ることができました。
一人なのに恐怖を感じることもありませでした。元の世界ではこんな森の中では悍ましいものが現れるのではと考えたかもしれません。
私だけしか歩いていないのに、背後から聞こえる足音。
私だけしかいないのに、どこからともなく聞こえる笑い声。
私だけしかいないのに、前方を横切る白い影。
私だけしかいないのに、音楽室からピアノの音が聞こえる。
私以外もいるのに、町を歩いていたら私がなぜか声を掛けられる。
等々
転生前の世界の時はこんな事象に恐怖を覚えていました。
私だけしかいないと思っていたのですが、それは私が思っているだけだったのかもしれません、そういうことも含めた探知魔法なのです。
探知魔法の生物に関する情報では、黄色の点が表示されました。黄色の点は動物でしょう。
黄色の点が私に近づいてくる様子はありませんでした。
生物の危険度は赤の点滅~赤の点灯~薄赤~オレンジ~黄色のようです。
さて、私は再び歩き出しました。ずんずんずんずんと歩いていきました。
陽が傾いてきたのでしょうか? 森の中が薄暗くなってきたところで、森を抜け道のある場所に出ました。
陽はまだその勢力を存分に見せていましたが、一安心したので今日の歩みはここまでとしました。
森の向かい側は草原が広がっていました。道から外れたところに収納から家を出しました。
家に入る前に周りに障壁を張り、家に入りました。
風呂に入ってからベッドで寝ます。
それでは、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ トリップメーター 11日目
異世界暦1年1月11日
おはようございます。
目覚めました。特に家が襲われるとかもなく熟睡できました。
お腹が空いたような気がします。懐かしい感覚です。
顔を洗ってから、木の実を食べます。これが朝のルーティンにこれからはなるでしょう。
出かける準備をし、家を収納します。
さて、どちらに向かうか迷いました。右か、それとも左か。困りました。
探知魔法では村や町はまだ表示されていませんでした。
昨日出発した海があるのは南で、上は北、左は西、右は東と探知魔法にでています。あの4の形の矢印によって。
確かこの印は磁北と真北を表していたはずです。つまりこの星にも地磁気があり、しかも磁北と真北には差があるということになります。
私としては、真北だけ示してくれればいいのにと思いました。でも、磁北がわかれば森で迷子になっても方位磁石は不要で便利かもとも思いました。
目の前の道は左から右に続いています。
これが元の世界なら、西はヨーロッパ、東は日本ということになるのでしょうか。
ここはやはり東を目指すべきでしょう。特に意味はありませんが。
落ちていた木の枝を右手にもって、てくてくと歩きます。
てくてく、てくてく。
陽が真上に登ってきています。
喉が渇いた感覚と、お腹が空いた感覚がありました。
不思議でした。これまではそんな感覚はありませんでした。
足を止めて、道から外れた場所に退避して土魔法で椅子とテーブルを作りました。
椅子に腰かけ木の実をだし、カップに水を生成し、空腹と喉を潤しました。
道はまだまだ続いています。
机の上に両手を投げ出して、顔をテーブルに付けながら、時間を知る方法が何かないのだろうかと思いました。
すると、探知魔法の地図の縮尺の距離を示している横に時間が表示されました。11:50と表示されていました。
こんなに簡単に時間がわかるのであれば、日時計を作成した1日が無駄になったと思いました。
序でに歩いた距離も知りたいと思いました。
すると時間表示の下に、TRIP[A] 19.5km その下にTRIP[B] 19.5kmと表示されました。
私はつい「車か!!」と一人突っ込みをしてしまいました。虚しかったです。
(TRIP[B]をゼロに)と思いました。
TRIP[B]が0kmになりました。
考えるのを止めました。
そして、再び歩きました。
暫く歩いてからテーブルも椅子もそのまま置いてきたことに気が付きました。
今更どうにかできるはずもないので、忘れることにしました。
さらに歩きました。時間は17:00近くになり、陽が沈みかけてきました。
まだ十分な明るさはありますが、オレンジと紫色と紺色が喧嘩しています。
私はこのくらいで勘弁してやるぜ。と思い草原に入ったところに家を出しました。
木の実はまだ十分ありますが、そろそろ肉にありつきたいお年頃です。
家の周囲にシールドを張ってお休みの準備をし今日1日は終了です。
それでは、おやすみなさい。
追記
家は都度出しているのですが、家に入る度に、「ただいま~」と言ってしまっています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 始まりはいつも雨そして城壁
異世界暦1年1月12日
おはようございます。
今日は朝から雨が降っていました。
シールドを張っていましたので家は濡れることはありませんでした。
そのため、薄暗いうえに雨音もしなかったので、まだ夜明け前と勘違いして2度寝をしてしまいました。
探知魔法で時間を確認すると、既に10時を過ぎていました。
取り敢えず雨がやむまで待ちました。
その間に魔法の練習がてら、窓を作ったり、網戸を作ったり、雨戸を作ったりして過ごしました。
謎鉱石のおかげで、アルミサッシやアルミの網戸も作れました。雨戸はステンレスにしました。
窓関係の作業が終わったころようやく雨が止みました。
シールドを外し、外に出て足元を確認しました。
シールドが張ってあった内側は乾いているのに、外側は濡れています。
水たまりになっているところもありますが歩くのには支障はありません。
出発の準備をして、家を収納し、再び歩き出します。
てくてく、てくてく歩きました。元の世界で覚えた歌を、上手とはいえない音程で歌いながら歩きました。
それでも、音楽出版社にいたのですからそれなりだと私は思っています。
まあ、校正など忙しいときのヘルプ要員でしたが。0日目の日記にはちょっと見栄を張りました。
暫く歩いていると、探知魔法の地図にこれまで表示されたことの無い図が現れました。
まだまだ距離はあるのもののうれしくなって歩く速度が速くなりました。
その調子で歩いていると、ついに前方にそれが現れました。
一定の大きさで切りそろえられた石が積みあがって壁を成していました。
所謂、城壁と呼ばれる物でした。
普通の城壁と違うところは、万里の長城の様に左右に壁が広がっている事でした。
左右を見渡しても壁の終わりは見えませんでした。所処崩落している部分があります。戦の後でしょうか?
道の先には城門がありました。
その門の左右には側壁塔があります。
門扉は見当たりませんでした。
私は道に沿って歩き、城門までたどり着きました。
そのまま門を潜り抜けましたが、誰何されることもありませんでした。
探知魔法の地図では城壁が範囲外にも続いているのが分かりました。
つまり、城壁は20km以上の長さがあることになります。
城門を抜けた先も今までと同じような光景が広がっていました。
一本の道があり、車輪の轍があるだけでした。
城門を抜け、城壁に沿って暫く歩き、適当なところに家を出しました。
出発が遅かったので今日はここまでにしました。
それでは、おやすみなさい。
追記
城が存在しないのに、城壁、城門とは。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 生物との邂逅
異世界暦1年1月13日
おはようございます。
今日は、雲が多いですが青空もところどころ出ていて、まあ普通の天気です。
家を収納して出発の準備をします。
所処崩落した城壁を後にして歩き出しました。
道はまだまだ続いています。
探知魔法の地図に村のようなものはまだありません。
動物が地図上に表示されています。私に襲い掛かってくるような距離ではありませんでした。
てくてくと道に沿って歩きます。
暫く歩いていると私の後ろから赤いマークの反応が近づいてくるのが分かりました。
後ろを振り向いた私は驚きました、なんと大きな犬が数頭、私の後を付けていたのです。
犬の大きさはセントバーナードより大きいです、モフモフです、でも野生です。
本当に大きいです。私と比較すると大きかったのです。
探知魔法の地図上の赤いマークは敵対的な意味を示しているようです。
逃げようかと思いましたが、ずっと続く草原ですから、逃げるのは無理だと思いました。
しかし、このままだと襲われてしまいます。私は困りました。
その時です、精神の魔法を試していないことに思いつきました。
精神の魔法を試してみます。イメージは言うことを聞くペットの犬のイメージにしました。魔法を放ちました。
暫くすると探知魔法の地図の赤いマークが1匹づつ緑色に変わっていき、巨大な犬たちが伏をしていきました。
鑑定をしました。エンペラーウルフと表示され、オスは長い1本の角が、雌は短い2本の角があり、オスもメスも顔は黒く、首の部分が黄色の毛で背中はグレー、お腹周りは白い毛でした。ただ、個体差はあるようです。
尾は短いながらも太くオスが真っ赤でメスは薄いオレンジでした。
ウルフと名前が付いているので狼でしょう。
しかし元の世界では見たこともない種類の狼でした。でも、美しい動物だと思いました。
これから先は分かりませんが、取り敢えず、無駄な殺生をされないで、ほっとしました。
「殺生をされない」つまり、私が襲われなくてよかったということです。
私が解散と言い放つと、エンペラーウルフは一頭ずつ立ち上がりその場から去って行きました。
全てのエンペラーウルフが立ち去ったのをみて、私は再び歩き出しました。
後から考えましたが、睡眠の魔法でもよかったのかもしれません。まぁ、結果オーライです。
でも一つだけ失敗しました。モフモフさせてもらえばよかったと……。。
昼食をいつもの通り、木の実で終わらせ、2時間ほど歩いていると新たな図形が地図に現れ、徐々に大きくなっていきました。
今度は先ほどの真っ直ぐな城壁とは違い、曲線を描いて作られていました。この壁の向こうに街がある事を想像するのは難くありませんでした。
城下街であれば人がいるはずです。私はウキウキしながら歩みを進めました。
探知魔法に緑のマークが表示されました。きっと人に違いありません。
しかし、城壁の長さの割にマークの表示は少ないと思いました。
街であれば、人も多いので、こうなんと言いますか、もっとうじゃうじゃとマークが表示されると思っていました。
そうこうしながら歩いていると城門にたどり着きました。時刻は既に19時を過ぎています。陽も既に沈んでいます。
真っ暗になるのを邪魔するかのような明るさがまだ空に残っています。
探知魔法のマークは城下町に近づいて見える範囲の距離を縮小し、地図を拡大表示にすると、一人一人にマークがついてうじゃうじゃ表示されました。
それは置いておいて、城門にたどり着きましたが門は閉じられていました。
さらに跳ね上げ式の橋? も上がっていて城壁の中に入れません。
足元を見ると5m程の谷ができて水が流れていました。
さて、困りました。今日は時間的にもう門は開かないと考え近くで野営することに決めました。
城門の正面から右方向に回り込み家を収納から出し、家に入りました。
それでは、おやすみなさい。
収納から出すを取出にしようかしら。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 街中
異世界暦1年1月14日
おはようございます。
今日は昨日とは一転、天空は雲よりも青空に支配されています。
今日は人が大勢いると思われる城下街に入れるかもしれません。
一応服を一式を切る前に、クリーンの魔法で綺麗にして、脱臭も行っておきます。
身だしなみは大切です。これでもレディのつもりです。
さて、準備が終わりました。家を収納して昨日の城門まで向かいます。
やはり城門は閉じていて、跳ね上げ橋は上がっています。
探知魔法を使い中の様子を伺います。
おかしいです。昨日反応のあったマークが今日は表示されません。
私の立っている場所から円形の探知魔法では城下町の全体が探知できます。
拡大すると城下町の大きさは、東西方向に1.5km、南西方向に2kmといったところです。
皇居の半蔵門辺りに私が立っているような感じです。
私は大きな声で、「たのも~~」と声を出しました。
しかし反応はありません。
今度は、「ごめんくださ~い」を声を出しました。
返ってきたのは静寂でした。
上を見上げました、青い空に小さな雲が1つ、流れてゆきます。
さて、困りました。
私の探知魔法の地図では城下町(城があるのかわかりませんが)の4方向に門があるようです。
私のいる位置は西門といったところでしょう。
私は南門を目指して右方向に歩きだしました。
城壁の谷の川?堀の川? は私のいた西の川と南の川が南西部分の角で合流し、そこからトンネルの中を流れて下流に向かっているようです。
壁はところどころ上部が崩れているようです。
直さないのでしょうか?
南西の角から南門を見ると、こちらも大きな跳ね上げ橋は上がったままで門は閉じられているようです。
東門に向かうにしても、どの道、南門の前を通るのですからそのまま歩いていました。
やがて南門の正面に来たところで、気が付きました。南門には小さな通用門があったのです。
馬車は通ることができないでしょうが人ならば2列で並んで通ることができそうです。
その橋が架かっていました。その先の通用門も開いているのが分かります。
私は、そこから街に向かうことにしました。
しかし、橋は朽ち気味で所処木の板が抜けてなくなっています。
私は下に落ちたくなかったので、土魔法で朽ちていたり、抜けている部分を修繕しながら街の中にたどり着きました。
街を見て驚きました。城下町全体が廃墟のように、石、あるいはレンガの家は崩れ、一部の木造は燃えたように炭化していたのです。
とても人が住めるような場所ではありません。
場所によっては蔦のような植物が朽ちた家を覆い、膝程の雑草が家の各場所で育ち、高くない木がところどころで育っています。
一体いつからこのようになったのでしょうか。
私は大きな声で「誰かいませんか~」と声を掛けました。
探知魔法で人を探します。マークに反応は表れませんでした。やはり反応はありません。
良く考えてみました、昨日までは生物の反応を探知していたのです。
今は人に反応するようにしています。
早速、探知魔法で生物全般を探知するように切り替えました。
反応が表れました。緑色のマークがうじゃうじゃと表れました。
どうやら人間の反応は表れず、危険ではない何らかの生物が住みついているようです。
人間の反応がないということは、この城下街、どちらかというと城塞都市、城郭都市というところでしょうか。
どちらでもいいのですが、この街は放棄された街のようです。
私は探知魔法を使ったまま、街を歩きました。本当に人はいないようです。
うじゃうじゃといる生物の集まっている場所に向かって歩いていきます。
歩いていると中心部と思しい場所に出てきました。そこには半径5mほどの噴水がありました。
機能は生きているようで、中央の銅像の先から水が出ています。
そして、そこにうじゃうじゃの正体がいました。
アルパカのような首の長い動物が寄り添っていました。
さらに小さい種類もいますが、それは子供かもしれません。
一番大きなもので体高が60~70cm(私比)です。
鑑定するとカピオという種類の家畜と表示されました。
カピオは体毛や肉や乳目的で人間に飼われていた家畜。と表示されました。
その毛は暖かく、肉は美味しく、乳は栄養価が高いようです。
人間を恐れることはないそうです。鑑定魔法はやはり便利です。
私はこの世界に来て初めて、じゃないですね。昨日狼に合いました。
私は群れて噴水の周りに屯っているカピオの間を通らせてもらい噴水までたどり着きました。
水はとてもきれいで手を入れるとひんやりと冷たかったです。
噴水の縁に座りカピオ達の様子を眺めていました。
カピオ達は私に興味を示す事もなく、口をもぞもぞ動かして、どうやら反芻しているようでした。
私は噴水の近くの一角の廃墟を更地にして家を収納から出すつもりでした。
しかし折角の廃墟の街です。誰も住んではいません。
なので新たに家を作ってもよいのではと考えました。
いくつかの廃墟の家の場所を纏めて更地にしました。
広い更地ができました。そこに家を作っていきました。
それでも、更地の半分くらいしか使っていません。
家の周りを塀で囲いました。門扉は設置しません。
ここを拠点に街中の探索をするつもりです。
庭は寂しいので、これまで食べてきた木の実の種を収納から出して、庭の適当な位置に埋めていきました。
さらに安全対策として私とカピオのみ塀の内部に入れるような魔法をかけておきます。
誰もいないので不要とは思いますけど。
これで探索準備ができましたので早速、1匹のカピオに触れてみました。
逃げる様子も嫌がる様子もありませんでした。
ちょっと、手がべとべとしたので、カピオにクリーンの魔法を掛けました。
それでも、気にする様子もありません。
魔法によってべとべと感もなくなり、ふわふわで白く綺麗にりました。さっそくきれいになったカピオをもふってみました。
柔らかくてふわふわで暖かくて素晴らしい感触です。
小一時間ほどカピオを堪能してから、街の調査に出ることにしよう思いましたがましたが、今まで何の関心も持たなかったカピオ達が私の周りに集まってきました。
そして、先ほどクリーンの魔法で綺麗にしたカピオを顔で示しながら「ミャーミャー」鳴き始めました。
なんでしょう、いったいどうしたのかと考えて行動を見てみると、どうやらクリーンの魔法で綺麗にしてほしいらしいというのが分かりました。
一応確認しました。「綺麗にしてほしいの?」と。
すると、先ほど綺麗にされた以外のカピオが首を上下に振りました。私の言葉が分かったようです。
それならばと、私はカピオを並ばせて一頭一頭にクリーンの魔法をかけていきます。
20頭までは1匹1匹クリーンを掛け数えていきました。しかしまだまだ多くいます。
私は面倒になったので、全てのカピオに一斉にオールクリーンで魔法を掛けました。
全てのカピオにクリーンの魔法を掛けたら陽は随分傾いていました。時間を確認すると既に16時を過ぎていました。
私は、街の探索をするのに、まず食料があるか探知魔法を使って調べてみました。
するとあちらこちらに色々な図形のマークが表れました。
こんな廃墟でも、食糧が残っているいうことは、きっと食料は隠されて保管されてたのでしょう。
よくわかりませんが、異世界では戦さなどでは食料を隠しておくに違いありません。
私は明日からこれらの食料を確保して収納にしまうことを決めました。
出来れば綺麗になったカピオの毛もカットし、収納しておきたいなとも思いました。
しかしさすがにカピオに怒られそうです。
そんなこんなで、今から街の探索は無理っぽいので明日にします。
それでは、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 毛刈り
異世界暦1年1月15日
おはようございます。
今日もいい天気の1日です。
あくびをしながら外を見ました。白、しろ、シロで眩しいくらいです。
昨日のクリーン魔法の為か、白さ輝くカピオ達です。
そんなカピオの集団が私の家を取り囲んでいます。一体何事でしょうか。
玄関から外に出て、階段をくだると2頭のカピオがこちらに歩いてきました。
私の前で立ち止まると1頭がもう1頭の毛を口で噛みきり、噛みきった毛を私の前に置きます。
私は頭の上に「?」を作ります。
すると再び、1頭がもう1頭の毛を口で噛みきり、毛を私の前に置きました。
「?」が「!」になりました。
もしかして毛を切ってほしいのだろうか?
私は「毛を切って欲しいの?」と尋ねました。
すると一斉にカピオが『ミャ~~』と鳴くとともに頭を上下に振りました。
カピオの情報を鑑定でさらに確認すると、一定の時期ごとに毛を人間にカットしてもらうように行動する。
毛をカットしないと死ぬこともあるため、カピオ同士で毛を噛みきることもある。
という情報が出てきました。
私はちょっと困りました。昨日数えただけで30頭以上は確実にいます。
羊の毛すらカットしたことなどないですし、ましてアルパカなんて……。実際はアルパカより小型なカピオですが。
しかもこの数、眩暈がしてきました。
以前、確保した不思議鉱石を収納から出します。
楽に毛をカットする道具を知りません。せいぜいバリカンやハサミくらいです。
電動は作れません。すると手動でハサミの様に動かすとバリカンの刃が動くような仕組みしか考えられません。
ハサミ、手動バリカン、櫛に刃がついたような物、小さなナイフも作ってみました。
バリカンで毛をカットしていきます。何故だか疲れはないのですが、面倒でした。
最初は1体に30分掛かっていました。これを30頭以上やるのです。しかも、ところどころカピオの体から血が出てしまっていました。
カピオは我慢してくれていたようですが、きっと痛かったに違いありません。もう、どうしたらいいのか、血が出るたびに涙が出てきます。
毛は即収納にしまっていきます。4頭くらいバリカンを当てるのが終わり、次のカピオが目の前に来た時に、魔法で体の毛がカット出来ればいいのにとおもいました。
するとどうでしょう、一陣の風と共にカットしたい部分の毛がカットされたのです。
風自体は強い風ではなく、そよ風のような風でした。
当事者? のカピオも私も一瞬驚き固まってしまいましたが、後ろにいるカピオの『ミャ~~』という声とともに我に返りました。
それからは楽でした。目の前に来てはカット魔法をつかい、毛を収納という流れ作業になりました。
それでも、随分な時間がかかり、結局昨日よりも遅い時間になって全て終わりました。
食料確保は明日にしました。
木の実を食べ、風呂に入って寝ることにします。
木の実の種は庭に埋めました。
それでは、おやすみなさい。
もうないよね?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ カピオ乳と食料を
異世界暦1年1月16日
おはようございます。
今日も天気の崩れを想像できない、良い天気です。
今日こそは隠れ食料の確保をするのだ。と勇んで玄関のドアを開けると、カピオが数頭、目の前に迫ってきた。
こんどはなにかな?
傍に来たカピオ達を見ると全て雌のようで、目立つくらい乳房が張っていました。
全部で7頭いますが、全て同じでした。
「まさか、乳を搾れと?」するとそこにいたカピオの首が上下に振られました。
乗りかかった泥船です。沈没寸前です。
7頭くらいの乳しぼりならすぐ終わるでしょう。
腕をまくる動作をして、(実際には捲って履いませんが)来るなら来い! と気合を入れ両頬を叩きます。
まずはカピオ乳を入れる容器を準備します。
受け容器を乳房の下にいれ、それから乳搾りを始めます。
これがなかなか難しかったのです。私は乳搾りなどやったことはありません。
知識としては人差し指から順に小指までを閉じていけばいいという事は知っていましたが、なかなかうまく絞れません。
むぬぬぬ。うまく絞れない。
苦戦していると、カピオの中の1頭が私の横に来て、絞る指の動作をしたときに頭を腕に押し付けてきました。
腕が下に行くことで乳を引っ張る格好になりました。すると、乳が出てきたのです。
私は絞る手順は良かったようですが、下に引っ張ることをしなかったため出てこなかったようです。
そして、数回絞ると、先ほどのカピオが溜まった乳の容器を倒したのです。
私は唖然としてし、カピオを見ると、首を振っています。
入れ物を水魔法で洗浄し、再度乳搾りを始めます。
今度は何度絞っても容器を倒されることはありませんでした。
ほどほどに貯まったところで容器から壺に移し替えました。
1頭目はこれで終わりのようで、終わったカピオはその場から他のカピオのいる場所に歩いて行ってしまいました。
2頭目も同じように絞ると、やはり最初の5回ぐらい分が溜まったところで容器を倒されました。
もしかすると、絞り始めのカピオ乳は使わない方が良いと言っているのかもしれません。
「最初の乳は溜めない方がいいの?」と聞いてみますと、首を上下に振りました。
とても賢い動物です。でも、食肉になるとも鑑定に表示されていました。これだけ賢いとさすがに食肉にはできないのでは? と思いました。
折角教えてもらったのですから、並んでいるカピオ全ての乳を搾りました。
午前中は乳搾りで使い切りました、絞った頭数は13頭です。
他にもメスはいるようですが、絞る必要はないようです。
これで漸くカピオから解放され、午後から食料さがしができました。
食料は探知魔法で探しました。場所は探知できたのですが絶妙に隠されていたので確保するのに時間が掛かりました。
確保できた場所の廃屋、廃墟は魔法をつかって更地にしました。
隠されていた場所は……。
石をくりぬいて空洞を作りそこに隠して蓋をした場所。
普通の壁より厚みを設けて隠しスペースを確保した場所。
床板を厚く作って隠し場所を確保した場所。
普通の道の石畳の一つに空洞を作って隠しスペースを確保した場所。
兎に角、同じような隠し方はありませんでした。
そのような場所に隠された、食糧を見つけては収納していきました。
食べ物だけではなく、ワインなどの飲み物も見つかりました。
ただ、ワインのほとんどは痛みがひどく、飲料には向かないものもありました。
ワインは大きなお屋敷と思われる廃墟にあったものだけが飲用可能でした。
飲用できるかできないかは鑑定を使いました。
見つかった食料は、小麦そのもの、干し肉、ドライフルーツ、木の実、玉蜀黍のような物、植物の種、茶葉等々たくさんありました。
見つけては廃屋、廃墟を更地にしていきました。邪魔な瓦礫は収納に入れていきます。
しかし、どうして人がいなくなったのでしょう。普通は戦が終わってこのような状況になっても、
家などは建て直せばいいですし、街として復活は可能なはずです。
一通り、探知魔法で見つかった食料は全て確保し、収納しました。
食料を隠していなかった廃墟だけ残っています。
そこに収納した瓦礫を纏めて取出しておきました。
これでこの街から次の場所に向かうことにします。
ここにいるカピオ達は今までも生きてこられたので、これからも大丈夫でしょう。
今日はここまでです。それでは、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 再び出発~そして到着
異世界暦1年1月17日
おはようございます。
今日も素晴らしい青空が広がっています。
ここの場所には人間はいないようですので、東に移動しようと思います。
カピオ達が家の前で私の出待ちをしていることもありません。
早速家を収納し南門から出ようと歩き始めました。
ん??
後ろを振り返ると、3頭のカピオが停止したように立っていました。
私はそれを無視して再び歩き始めました。そして、後ろを振り返りました。
先ほどと同じ距離に、先ほどのカピオが停止して立ち止まっていました。
私は再び歩き始め、そして振り返りました。
やはりカピオが立ち止まっていました。
再度歩く振りをして前を見た瞬間に振り返ります。
3頭のカピオの内、1頭が前足を振り上げた状態で止まっています。
私は頭の中で「だるまさんが~~ころんだ」を唱えて振り向きました。
3頭のうちの1頭が止まりきれず、前の大きめのカピオにぶつかっていました。
私は、カピオの方を見ながら後ろ歩きをしてこの場を離れようとしました。
一定の距離を保ちながらカピオ達も付いてきます。
私は後ろ歩きを止め、振り返ってダッシュで走り出しました。
そして、止まって後ろを振り返るとカピオが一定の距離のところにいました。
なんでついてくるんだ。と思いました。
諦めてそのまま南門の小さな通用門から外に出ようとし、私が出たときに門を閉じるように魔法を使いました。
門は閉じてカピオ達は付いてきませんでした。
ミャ~ミャ~と鳴く声がしました。私は心を鬼にして歩き出しました。
城下街から離れ、東に合向かって歩いている私の後ろに3頭のカピオが付いてきています。
心を完全に鬼にできませんでした。
仕方ありません、『旅は道連れ世は情け』という言葉もあります。
しかし水は出せますが、餌はどうしたものか。
カピオ達を見ていると、道に生えている雑草を適当に食べているようです。
食べられる草があるのであれば問題ないでしょう。
しかし、一応何かあった時のために、3頭が入れる小屋を作りました。
夜はこれに入ってもらうとします。
収納から3頭の頭の上に出します。3頭分の広さがあり、壁は足元は鉄板で覆われ頭付近が格子状鉄棒なっています。
一度入ったら私が収納に納めないと出ることができなませんが、その代り襲われることもありません。
金属は破壊できないように、オリハルコンを使っています。もちろん、あの異世界金属石を材料で使いました。
鉄板という言い方はおかしいでしょうか? オリハルコン板、オリハルコン棒が正しいのでしょうか。
もちろん、ひっくり返されないように屋根が重く地面に1mほど突き刺さる柱になっています。
ここであのセリフを言ってみましょう、「また、無駄なものを作ってしまった」 なんてね。
一応付いてくるのを許した以上面倒を見るのは当然と思います。
午前中はそんな小屋を作ってから、歩いて、歩いて、歩きまくりました。
そして今、私は立ち止まって、それを見上げています。
これまで草原だったのに、いきなり目の前に巨木群が現れ道は森の中に続いています。
私は一先ず休憩にしました。
水受けの幅広の桶をカピオの前にだして、水魔法で水を注ぎます。
私はこれまで通り、椅子を作って座り、木の実を食べました。
探知魔法で森の深さは直線距離で5km程というのはわかっていますが。木の高さに驚きました。
しかも、赤い点が多くうろついています。
私一人なら問題ないのですが、カピオ達がいます。
いきなりカピオ達が襲われたら防ぎようがありません。
しかし。私には魔法という非科学的でありながら最強の科学的な能力があります。
非科学的で科学的? 意味わかりません。
これならいきなり襲われてないだろうというものを考えました。
元の世界で有名なあれです。
光学迷彩に消臭、消音です。定番ですよね。
さて、考えがまとまりましたので、落ち着いて昼ごはん(木の実ひとつ)にしました。
食べ終わってから森の中を進むことにしますが、以前作ったチタン製のロングナイフを鞘ごと腰にセットします。
準備を万全にして森の中に続いている道を歩きました。
普通に歩いても1時間前後で森から抜けられるはずです。
てくてくとカピオと一緒に歩きました。
赤い点は私たちに気が付くことも、近づいてくる様子はありません。
最後まで獣に襲われることもなく、1時間半ほどで無事に森を出ることに成功しました。
森の中は直線ではありませんでしたので、こんなものでしょう。
森を抜けると再び城壁の図が探知魔法の地図に現れました。
今度は間違えないように、人の探知もするようにしました。
人と生物を分けて探知できるようにしました。
2時間程歩きました。既に城壁の内側に人がいることは探知魔法で確認済みです。
城門にも人が配置されているようです。
さらに歩いて漸く城門にたどり着きました。
ここは先ほどの城下町跡とは違い跳ね上げ式の橋はありませんでした。
門番が2人立っていました。
そのそばまで行き声を掛けました。
門番も普通に対応してくれます。
何処から来たのか尋ねられたので、森の向こうの廃墟になった城下町のさらに向こうからと答えました。
私はこの時、言葉が通じることに少しほっとしていました。
すると門番は驚いていました。
色々と質問攻めにあいました。もちろん素直に答えました。
どこに住んでいたのか? 海の向こうの島にと答えました。半信半疑のようでした。
どうやってあの魔物の森を抜けてきたのか? 普通に森の中を道なりに歩いてと答えました。
よく襲われなかったと感心されました。
そのカピオはどうしたのか? 廃墟になっていた街にカピオがいて少しだけ世話をしたら、この3頭が私の後を付いてきたと答えました。
廃墟の街はどうなっていたのか? カピオの楽園だったと答えました。
私は街に入りたいと門番に言うと、身分証を持っているか聞かれました。
素直に持っていないと答えると、お金を持っているか聞かれました。
それも持っていないと答えました。
門番は困ったように私をみて、どうしたものかもう一人の門番と話していました。
何か売れそうなものはあるかと聞かれました。
私は悩んだ末に、塩を売ることができるか尋ねました。
すると門番の1人が誰かを呼びにいなくなりました。
残った門番に聞くと、商人に塩を買い取ってもらうため、商人を呼びに行ったと言いました。
私はこのカピオも売れるか聞いてみました。
塩を売るか、カピオを売れば入場するための代金には十分となるだろう。と言いました。
暫くすると、門番が恰幅の良い人を連れてきました。
どうやらこの人が商人のようで、私に挨拶をしてきました。
商人は私の後ろにいるカピオを見るといきなり売ってほしいと言いました。
肉にするなら嫌だなと思い、どうするのか聞いてみました。
すると、カピオを欲しがっている畜産農家がいるとのことでそこに売るとのことでした。
あの廃墟まで取りに行けばよいのにといったら、レベルの高い冒険者ならあの森を抜けることは可能だが、カピオの護衛をしながら森を抜けるのは不可能だと言われました。
どうやら自分の身を守るので精一杯になるようです。
また、カピオを食肉にするのは子供を産めなくなった雌(同時に乳も出なくなる)や、7年以上の雄のカピオだけだそうです。
さらに話を聞くと、魔物の襲来で廃墟の街に住んでいた人々はこの街に逃げてきたそうです。
その時はまだ途中の森には魔物は住んでおらず、獣だけのいる森だったそうです。
魔物は私が通ってきた森にすみついてしまい、そのためこの街から森を越えて廃墟になった街まで行けなくなってしまったとのことでした。
突然魔物が襲来してきたので人々は、着の身着のままこの街に逃げてきたとのことでした。
それから5年ほど経過しているらしいのですが、森から魔物はいなくならず、街の様子も分からずにカピオは食べられてしまったに違いないと考えていたようです。
私はカピオは30頭以上いることや、食糧になっていないことを伝えました。商人は驚いているようでした。
私はカピオ達に畜産農家に売られてもいいか聞きました。するとどうでしょう、カピオ達は頷くかのように首を上下に振りました。
なんだか微妙に賢い動物だと思いました。
カピオの番いと子供1頭という事らしく、銀金貨9枚で買ってもらいました。
商人に塩はどうするか聞いてみました。
見せてほしいということでしたので、壺に小分けしていた塩を5kg分程出して商人に見せました。
商人は岩塩だと思っていたらしく、サラサラの塩に驚いていました。どうやって手に入れたのか聞かれることはありませんでした。
それでも鑑定して(ちょびっと舐めて)塩とわかったので買い取ると言ってもらえました。
天秤のような物で500gずつ計って5.5kg分買い取ってくれました。まだ塩は壺のなかに残っていたのでその分の含めて買ってくれました。
結局塩は一壺分の5.75kg+端数買い取ってもらい、を小金貨1枚、銀金貨1枚、銀貨5枚になりました。大体500gで銀金貨1枚というところでしょう。
500gで銀金貨1枚は破格と門番の人がいってました。
商人はこんな白くきれいな塩は珍しい。と言ってました。
ん?岩塩も削れば白くなるのでは?
カピオと塩を合わせて小金貨1枚、銀金貨10枚、銀貨5枚を入手できました。
そのうちの小銀貨5枚を街中に入るための通行料(身分証明書になるものがあれば無料)として門番に渡しました。替わりに通行許可書をもらいました。
門番が言うにはハンターギルドか、商人ギルドに登録するか、街の市民権を取得するかすれば身分証を得られるそうです。
市民権を取得してしまうと移動に制限がかかり、商人だと年間補償金が必要で、ハンターになると初期登録費用は取られるものの、依頼を定期的に受けるだけで補償金などは必要なく、街から街の移動も自由とのことでした。
他にも鍛冶ギルドや大工ギルドなどあるようですが、女の子には向かないと言われました。
商人はこの塩ならいつでも同じ値段で買い取ると言ってくれました。
私は門番と商人とカピオに挨拶し街に入りました。
私は門番に聞いた宿に向かいました。
宿はすぐに見つかり、1人部屋で1泊2食付で銀貨1枚でした。
私は3日分頼みました。安いのか高いのか分かりません。塩が意外と高いのかな?と思いました。
早速部屋に入り、ベッドに横になりました。
1人部屋なので部屋自体はベッドと窓際に机と椅子があり、解放的なトイレがあるくらいでした。
窓は曇りガラスのような窓が一つだけありました。
この日は収穫が多かった日です。
人に会うこともできましたし、言葉も通じましたし、お金も手に入りました。あのカピオの親子には感謝の言葉もありません。
まさか、こうなることをカピオは分かっていたのでしょうか?
街中の探検は明日することにします。宿の晩御飯を食べて今日は早めに寝ます。
それでは、おやすみなさい。
そういえばカピオの小屋、本当に使いませんでした。
追記:貨幣と暦の詳細をここに記しておきましょう。なんだか忘れそうです。
やはり備忘録ノートを作って別に書いた方が良いかしら。
貨幣・・・商人に教えてもらった。
種類は銅貨、銅銀貨、銀貨、銀金貨、金貨、白金貨、ミスリル貨
小銅貨10枚=銅貨1枚
銅貨 10枚=銅銀貨1枚
銅銀貨10枚=小銀貨1枚
小銀貨10枚=銀貨1枚
銀貨10枚 =銀金貨1枚
銀金貨10枚=小金貨1枚
小金貨10枚=金貨1枚
以下同様に小○○10枚=○○1枚
宿の人に教えてもらった暦
簡単だけど曜日は慣れないかなぁ。
1年が13か月、各月は32日、8日が一区切り
3年に一度、最終月に1日を加える。その日の曜日は(聖)
年の下2桁が00年の時も最終月に1日加える。その日の曜日は(廻)
ただし、1月1日の週の始めは必ず陽からになる。
通常月の暦 1月~12月は固定
陽 月 水 火 土 金 木 空
1 2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31 32
3年13月33日 は聖の曜日が追加
陽 月 水 火 土 金 木 空 聖
1 2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31 32 33
100年13月33日は廻の曜日が追加
陽 月 水 火 土 金 木 空 廻
1 2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31 32 33
300年13月は34日 は聖と廻が追加
陽 月 水 火 土 金 木 空 聖 廻
1 2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31 32 33 34
1月1日はとにかく陽から曜日は始まる
曜日の言葉は日本語にすると一番近い言葉を選ぶ
曜日による一斉の休みなどはなく、殆ど店や個人の都合で休みの曜日を決めている。
そのため特に曜日に拘りはないようです。
それぞれ、ひのようび、つきのようび、みずのようび、ひのようび、つちのようび、かねのようび、きのようび、そらのようび、せいのようび、りんのようびと読む。
口語の、ひのようびが2回あります。
今は女神暦354年8月13日 今年は13月は33日になるようです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 街 1日目
異世界18日【女神暦354年8月14日|(金の曜日)】
おはようございます。
今日は宿からおはようです。
日記にはこの世界の暦も書き記します。結構分かりやすい暦で安心しました。曜日には慣れが必要ですけど。
地球の暦もこのように分かりやすくすればいいのに。でも、地球に戻れないのでどうでもいいです。
そして、異世界暦改め、異世界xx日に変更
何の問題もなくこの日記を書き綴れられたら、異世界1000日とかになるのかな。
いまから楽しみ。
さて、昨日の門番の話で何かしらのギルドに所属するか、はたまた街の市民権を取得することで身分証が得られるということでしたが、私はハンターギルドにしようと考えました。
宿の朝食を取り、ハンターギルドの場所を聞いて、ギルドに向かいました。
ハンターギルドには定番のごついお兄さんたちが座して私を待っているのかと思いましたが、そんな事はありませんでした。
ここは街としては大きな部類になるようで、ギルド内部もいくつもの受付がありました。
イメージとしては銀行のように窓口が3つほど並び、受付の人が立っていました。
私は、言葉が話せると同時に、文字の読み書きもこちらの言葉でできるのを確認しています。
ただ、この日記は日本語で書いています。日本に帰らない限り日本語は理解できないでしょう。
誰かに読まれた場合、日本人でない限りこの日記は理解不能でしょうから。
っと、いけない。いけない。またちょっと逸れてしまいました。
幾つか並んだ窓口の中から、ハンター登録、依頼受付と書かれている受付に行きました。
受付の人は普通に私に対応してくれました。
質がいいとは言えない茶色のがさついた用紙に名前と年齢、出身地、使用武器、特技や特記事項などを書きました。
名前は元の名前にしました。年齢は15歳とし、使用武器は剣、特技は魔法と書きました。特記事項に転生者などとは書きません。
「特技は魔法なのに武器は剣なのですか?」と聞かれましたが「はい」と答えておきました。
暫く待っていると、受付の女性がハンターギルドの事を説明してくれました。
内容は驚くことばかりでした。なぜなら、説明のほとんどが転生前の小説と同じような事でしたので。
小説を執筆していた方たちは、異世界からの転生者だったのではないでしょうか?
曰く、ハンターのランク。
曰く、ハンターの仕事。
曰く、ランクアップについて。
定期的に依頼を受けなくても、資格停止にはならないようです。
なんでも病気になったり、怪我したり、旅に出ることの多いハンターなので一定期間に依頼をこなせないことも多いということでした。
開始ランクをGから始めるなら登録費用は無料。
試験をして開始ランクをD~Fにする場合には、登録費用として小銀貨5枚が必要と言われました。
殆どのひとはこの試験を受けるそうです。
私も小銀貨5枚を払い試験を受けることにしました。
すると、私はギルドの練習場に連れていかれました。他の冒険者も数名練習に来ていました。
一応ここで高ランクの人と模擬戦を行い、その結果で開始ランクをFからDの間で決めるそうです。
魔法を使ってもいいし、剣のみで戦ってもよく、もちろん両方使ってもいいとのことでした。
剣は木製の練習用を使うことにします。
相手は男の人で全力で来るように言われました。
開始の合図とともに相手が私に向かってきます。
私はこの間のエンペラーウルフの時に使おうとしたスリープの魔法を放ちならが右に逃げました、と同時にバリアを張りました。最大の防御力は最大の安心ですから。
そして、相手を見ると、私が先ほどいた場所の1m位前で下を向いたまま立ち止まっています。
私は様子を見ようと思いましたが、目覚める前に終わらせるつもりで、その場で氷矢を50本ほど上空から降らせようと展開させました。
上空に一瞬で出現した氷矢に見物に来ていた人は驚いたようです。
そこから氷矢を落とそうとしたところで、「そこまで!」という声が聞こえましたので、魔法をキャンセルし、氷矢霧散しました。
合図を出した男の職員の人が相手に近寄り確認しました。どうやら立ったまま眠っていることに気が付いたようです。
相手の顔をペチペチと叩いています。
何度か叩いていると相手が起きて、職員の人に切りかかろうとしましたが、職員の人が起きる前に剣を奪っていたので斬られることもありませんでした。
職員が相手の男性と話をしています。
職員が話の後、私の方に歩いてきました。
今度は魔法なしでやってほしいと言われました。何でも剣技を見たいそうです。
私は困りました、いくら木の剣とはいえ当たったら痛そうです。
私は防御魔法を展開して良いか確認しました。相手に影響を及ぼす魔法を使わないならと相手と確認して使うのを許可してもらいました。
とはいえ、剣は中学と高校の体育で少しかじったくらいです。しかも剣道として。私の学校では女子であっても剣道と柔道を体育でやらされました。
休憩を少し入れてているときに相手が私の側にやってきました。
相手は先ほど眠らされたことに怒っているとかの様子はなく、一瞬で眠らされてしまったことに驚いたようです。
氷矢も直接当てる気はありませんでしたし、その前に終わりの合図か出されましたので問題ないです。でも魔法についても助かったと言っていました。
こちらの人は負けを素直に認めるのでしょうか?
さて、授業で習った剣道が実戦経験者にかなうかわかりません。
なにしろ、転生前は人を1人斬れば剣道何段とか聞いたことがあります。
私は手加減してくださいね。とだけ言いました。
相手は笑って離れていきました。
第2戦が始まります。
私と相手は所定の場所に付きました。私は体のまわり10cmほどに対物理バリアを張りました。
開始の合図が出されます。
先ほどと同じように相手が私に向かって切りかかってきます。
最初の試合では対人戦は初めてでちょっと怖かったです。いまも怖いのですが最初ほどではありませんでした。
相手は私に切りかかってきます。でも、剣先がとても遅く見えましたので私はその一刀を剣で受けるのではなく、体ごと左に避けました
相手の木剣が空を切りましたが、切り返して相手は右腕のみで横から剣を振ってきました。
それを木剣で受け止めます。すると、相手はその状態で右足を中心に体を回転させ左足で私に蹴りを入れようとしてきました。
咄嗟に後ろに飛んで逃げます。ふうと私は瞬間、肺の空気を吐き出しました。
私はすす~とすり足状態で近づき、上から斬りこみます。
相手は私の剣を剣で受け止めようとしましたが、相手の剣先の動きをみながら、剣を逸らして胴に打ち込みました。打ち込んだ後から「胴!」と声を出しました。
そこまで!と合図がありました。
なんとか2戦とも勝てました。
相手を見てみると剣を見ながら驚いた顔をしていました。
私は剣を左に仕舞う動作をして相手に礼をしました。どうやら、体育での剣道の教えが一連の動作で覚えていたようです。
相手は驚いたようですが、同じように私に礼をしてくれました。
相手と職員の人が話をしながらこちらに歩いてきます。何か話をしています。
やがて私のそばまで来ると職員が「魔法は文句なし、剣も文句はありませんね」と言われました。
相手からは「負けた俺が言うのもなんだが、剣で打つ場所を言うのはダメだぞ。声を出すのもだ。だが剣速が早いからあまり関係ないか」と言われました。私は打ち込んだ後に声を出したつもりでしたが。
また、すり足は止めた方が良いとも言われました、闘う場所は今の様に整地されておらず、草などが生えていたり小石や岩もあるので足を取られると教えてくれました。流石高ランクの人です、よく見ています。
私はお礼を言い、やはり武道は武道で条件がそろった場所で行うものだと実感しました。
ただ、時代劇のすり足でのチャンバラはあり得ないのかもしれないとも思いました。河原ですり足は出来ないですし、草鞋では石のごつごつを吸収できないと、時代劇好きの私はちょっと残念に思いました。
もしかすると河原や足場の悪いところで戦う時はすり足は使っていなかったのかもしれません。町中や平屋ではすり足だったかも。再び時代劇を見る事ができなくなってちょっとさびしいです。
そんなこんなで受付に戻ってきたら、今度は座学があるようです。
大げさに座学と書いていますが、簡単な魔物の説明とギルドの規則の説明でした。
異世界小説そのものの、グレムリン、コボルト、ゴブリン、オーク、オーガなどの基本中の基本の魔物。
山賊や盗賊などの対処。
ギルド仲間同士の合同任務、諍いの対処、PT有無での受けられる依頼の種類、タグプレートを見つけたときの対応などの説明がありました。
魔物についてはゴブリンやオーク、オーガは人間を食べ、馬車などが襲われるそうです。
特にゴブリンは生きて連れ去った人間を食料にするそうです。
そのため連れ去られても数日は生存している可能性が高いとのことでした。
この世界では人間の女性に種付けするのか聞いたところ、そんな事は聞いたことがないと言われました。
タグプレートについては、プレートを無くしたらハンターギルドで再発行は出来るようです。ただ、その時に登録番号を言う必要があるので覚えておくよう言われました。
また、どこかでハンターの人が亡くなられているのを見つけたら、タグプレートを回収して来るように言われました。タグプレートを拾った場合も同様で、これは義務だそうです。
でも、亡くなられた人を見つけたか見つけていないかは、本人しか分からないので義務とはいえ、努力目標のようです。
座学が終わった時に、担当の人が私にタグプレートを持ってきてくれました。
Gから始まるところランクはDとなっていました。
受付の人は初めての登録でランクDから始まるのは久しぶりですと教えてくれました。
私はお礼をいってギルドから出て街を散策することにしました。
時間は既にお昼を過ぎていたので、お腹も減ってきました。
いままで空腹はあまり感じませんでしたが、あの島を出てから少しづつ空腹を感じるようになりました。
もしかして、いい匂いが漂ってきている。そのせいかもしれません。
私は食事処にはいって肉のステーキのようなものを食べました。
転生して初めての肉料理です。胃が受け付かないかなと思いましたが、完食できました。
特にパンも鈍器になるような硬さではありませんでした。サラダもスープも普通に美味しかったです。
食事を終えた私はぶらぶらと街を見て歩き、街の中央にある噴水でのんびりした後、宿に戻りました。
この街は城下町と思いましたが、お城はありませんでした。
こういう街を何というのでしょうね。
街での2日目はこれで終わりです。
明日は依頼を受けてみようかと考えながら寝ます。
それでは、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 街 2日目
異世界19日【女神暦354年8月15日(木の曜日)】
さて起きましたよ。おはようございます。私。
今日からハンターっぽいことをしようと思い、朝ごはんを食べてからハンターギルドにいます。
掲示板に張られた依頼を見ています。
意外と多くの依頼や仕事がありました。
仕事はアルバイトに近いものが多く、商店の販売員、給仕、清掃、建設、荷配達(街内)、収穫作業などがありました。
依頼は仕事と違い街から出るものが主のようです。
薬草採取、獣・魔物退治、護衛、荷配達(街外)、荷運び(材木運びや獲物運び)、魔石集め等々
それ以外にもいろいろな依頼が見受けられました。
常時依頼は依頼票が剥がれない様に掲示板に止められていました。
通常、臨時依頼や緊急依頼は依頼票を剥がして受付に持っていき、受付が受理をして初めて依頼受理を受けることができきるのですが常時依頼はその限りではありません。
早い話、常時依頼以外は受付が受理してくれないと依頼をこなすことはできないのです。
それは、当然でランク以上の依頼を受けようとしたり、PT依頼を受けたりできない様になっています。
最新の依頼は、カピオの移送のようで、依頼日が前日になって常時依頼でした。
あの商人がカピオが生きている事を聞いて依頼を出したのかもしれません。
常時依頼なのはカピオを1頭以上移送して初めて依頼達成とするためでしょう。
常時:移送依頼 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃廃墟の街からカピオの移送 雄・・・銀金貨1枚 ┃
┃ 同子・・銀金貨1枚銀貨4枚 ┃
┃ 雌・・・銀金貨2枚銀貨5枚 ┃
┃ 同子・・銀金貨3銀貨5枚 ┃
┃何頭でも可。終了期間 女神暦354年8月30日まで ┃
┃依頼ポイント1頭当たり1ポイント ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
どうやら子供の方が高く、私が売ったカピオはきちんとした値段+αと高めで買い取ってくれたようでした。
そして、古くからそこにあるような汚れた依頼を見つけました。
常時:討伐依頼・買取━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ 魔物・魔獣・獣 ┃
┃討伐:指定討伐部位買取(魔物・魔獣限定) ┃
┃買取:魔物・動物によって買取価格変動。状態により変動 ┃
┃解体:魔物・動物によって解体価格変動。部位、魔石買取可能 ┃
┃特定部位の買い取り可能 ┃
┃何体でも可、終了期間なし ┃
┃討伐ポイント魔物の場合1体当たり1ポイント ┃
┃依頼ポイント1体当たり1ポイント 但し、本体持ち込み時 ┃
┃場所:オールドフォレスト、イーストフォレスト他 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
魔物は討伐部位を持っていくと討伐したことになり、買い取ってもらえます。また獲物本体も買い取ってもらえます。それぞれの買取価格は依頼表とは別に買取一覧表が貼ってあります。
私は解体は出来ないけれど、狩った獲物は収納で持って帰れるので、この依頼をすることにしました。
本体を持っていくと依頼ポイントももらえますし、討伐ポイントももらえるおいしい依頼です。
オールドフォレストがどこなのか分からなかったので、受付で地図を売っているか聞いてみました。
地図は売っておらずハンターギルドに登録している人であれば無料で配っているとのことで地図をもらえました。
それを見るとどうやら私が通ってきた森が、オールドフォレストのようです。
それと、私が通ってきた方向の反対側、つまり東門がイーストフォレストで、そこはオールドフォレストよりも弱い魔物や動物が生息しているようです。
受付の人にお礼を言って、そのままギルドを出て門に向かいました。
門では一昨日の門番がいたので、キルド証を見せたら、通行証を返却すれば小銀貨が戻ってくるとのことで、私は通行証を返却しました。
門を出てから、森まで向かう間に装備の確認をします。
服は最初の島で作った迷彩服に手袋。リュックサックは収納に仕舞い。ロングナイフを左右の腰にセットしました。
探知魔法を使い森の外から中を伺います。
最大範囲で探知すると、赤い点がぞろぞろと表示されました。
体に物理シールドを纏い、光学迷彩と消音、消臭魔法を使い、右と左にロングナイフを持って森に入りました。
探知魔法を最大20m位にして魔物もしくは動物を探します。
その状態で森を歩いていると見つけました。
狼? にしては巨大です。体高が私の肩ぐらい魔物です。
私には気が付かないようでしたので、私は氷矢を30本ほど打ち込みました。
何本かは外し、何本かは頭に突き刺さり、何本かは喉を貫通しました。
そのまま様子を見ていると、暫くすると地面に倒れこみ目が閉じられました。
私は近寄って、生きているか確認しました。直接触るのは恐いので腰の引けた足先でツンツンと突っつくだけでしたけど。
動かなかったので死んでいるようです。私は両手を合わせて合掌し収納に入れました。
この世界に来て初めての殺生になりました。
でも、私が生きていくためには仕方がないし、慣れたくはないけど慣れるしかないのかなと思い、次の獲物を探しました。
同じように倒していった結果は……。
巨大な兎~ 私の腰くらいまでの体高とサイのような上下に大小の角があるでも耳が長い ~が4体。
最初の巨大狼3体、鹿1頭、巨大猪2体(鼻が豚だったので)、私の膝くらいの大きさの少し小さな兎5体を捕獲できました。
しかも、全て姿が見つかることもなく捕獲出来ました。魔法はすごいです。
ロングナイフを一振りもしませんでした。
でも行き成りこれ全てを買い取ってもらうのもなんなので、私は巨大な兎と鹿を1体ずつ買い取ってもらうことにしました。
門に近づいたところで、私は簡易的に大八車を作り、巨大な兎と鹿を載せて門まで行きました。
もしかして収納というものが存在しないかもしれませんので。一応用心です。
門番がその獲物に驚いていましたが、形式的にタグプレートを見せて中に入りました。
門番に収納袋を持っていないのか? と聞かれたのでそういうものがあることを初めて知りました。
今は持っていないと答えると、ハンターなら持っていると便利だと教えてくれました。
ギルドに着くまでに、獲物を収納し、大八車も収納しました。
収納袋があるのであれば、それっぽいものを作ってそこから出したようにすれば良いのです。
ギルドに獲物を持って行って買い取ってもらいました。
ギルドの横の解体小屋から入り獲物を見てもらいました。
鹿は普通の鹿のようで魔物ではないので討伐にはならなかったのですが、銀貨5枚になりました。
上手い具合に収納袋を装い、偽装することができました。
巨大な兎はクレイジーラビットというらしく~狩の間鑑定を使わなかったので~買取価格で小金貨3枚と討伐依頼報酬の小銀貨1枚をもらえました。魔石も含めての買取価格のようです。
依頼ポイントと討伐ポイントが貰えたようです。
クレイジーラビットはその名の通りクレイジーで普通はランクAのパーティが討伐にあたるそうで、それでも下手打つとけが人が出て失敗するそうで、登録したばかりのDランクが1人で倒せるずがないと言われてしまいました。しかも、あの森から鹿とクレイジーラビットを運び出すことさえ難しく、血の臭いで他の魔物が寄って来るため常時依頼ではあるものの、殆ど依頼を受ける人はいな糸の事でした。
収納袋でも血の臭いはわずかに漏れるようです。
そのため買取価格は通常でも高いうえに、肉も美味で、討伐の毛皮の状態も良好なので色を付けておいたと言われました。
受付で解体場で受け取った買取書とお金を換金するときに、どうやって倒したんですか? とお姉さんにしつこく聞かれてしまいました。
魔法でって答えても信用してくれなかったのです。
どうしましょうか。まだ3体収納にいますし、他の魔物もいるのに。
宿に戻って、食事をしてから部屋に戻りました。
それでは、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 街 3日目
異世界20日【女神暦354年8月16日(空の曜日)】
おはようございます。
たしか、宿は3日借りていたので今日で終わりのはずです。
宿はちょっと狭いし、風呂もありません。どこかに土地を借りることにしましょう。
見たところ街には空き地が所処あります。
ハンターギルドで空き地を貸してほしいと伝えたところ、空き地の管理は商業ギルドと言われてしまいました。
商業ギルドに向かい、商業ギルドの受付で空き地を貸してほしいと伝えました。
するとほとんどの場所が貸し出しが1ヶ月単位と言われてしまいました。
そんなに長く滞在する気はないのですが、取り敢えず借りられる場所を聞きました。
候補は2か所になりました。城門に近い場所か、ギルドに近い場所です。ギルドに近いというより城門から離れているというべきでしょうか。広さはどちらも十分にあり、収納に仕舞っている家を設置する広さはあります。
賃貸料1ヶ月で城門に近い場所もギルドに近い場所も同じ銀金貨5枚でした。
宿に泊まると2食付で銀貨1枚なので、それに比べると割高になりますが、あの部屋で銀貨1枚はいくら食事つきでも高いと思います。
私はギルドに近い場所を借りることにしました。
貸し出しの土地は、家や商店などを立てる以外の利用は禁止されており、それに違反すると罰則があるとのことでした。ただ家を建てれば菜園などはやっても良いそうです。
また、借りてから1週間(8日)以内に家を建てるか、立てる契約を結ばないといけないそうです。
まあ私は収納から出して終わりですけど。
ほかにも細かな規則を聞いた私は、契約を済ませました。
これで今日の予定は全て終わりで、あとは何をしようか考えました。
昼ご飯を食べてから再び森の方に行くことにしました。
城門を出て左手に森を見ながら森の外を歩きました。
探知魔法で森を調べていると魔物は多いようです。
森に入らずに森を調べて暗くなる前に街に戻ります。
まだ家を収納から出していませんので、暗くなるまで街をぶらぶらしたり、食事処で食事をしました。
陽も沈み、良い加減で暗くなったので、借りた土地までいき、家を収納から出して設置しました。
一応家の周りの土地を囲むように波のようなフェンスで塀を作り、完成です。
早速中に入りました。
久々の風呂に入って、日記を書いて今日は終わりです。
やっぱり我が家はいいですね。
それでは、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 挨拶とトンネル
異世界21日【女神暦354年8月17日(陽の曜日)】
おはようございます。
我が家で寝るとよく眠れます。
朝食(例の木の実)を食べていると、ドアが叩かれました。
何事かと思って出ると、昨日の商業ギルドの受付の人が立っていました。
おはようございますと挨拶を済まして要件を聞くと、昨日まで更地だったのに突然家が出来ていたので、隣近所の人がどうなっているのだと商業ギルドに訪ねてきたそうです。
商業ギルドでもそんな話は信じられない為、こうして昨日、受付した本人が訪ねてきたということのようです。
立ち話もなんなので中に入ってもらいました。
あ、靴は玄関で脱いでくださいね。と、室内用の来客スリッパを出します。
なんか、家の中をガン見されているようなのですが、気にせずに、冷たいお茶をだします。
茶葉は屋台で売っていた品を買いました。お茶と言っても紅茶のような物です。
お互いソファーに座り対面になって話の続きをします。
確かに前日まで更地だった場所に突然家ができれば驚きます。
しかも、この辺では見かけないような先進的? 先鋭的? 斬新? 奇怪? な家ですからね。
一応、魔法で立てた家だと説明しました。信じられないと言われましたが、実物があるので信じてもらう以外にはありません。
話を聞くと、土地の貸出料は確かに安いけれども、それは家を建てるのに、最低でも金貨20枚位は必要なため簡単に家を建てることはできないからだそうです。
つまり、家を建てる時も商業ギルドの紹介で大工を手配するという事のようです。
魔法で作れますよね?って私が言うと、すごい剣幕で「そんな事できるわけないじゃないですか!!」と怒鳴られてしまい、吃驚しました。そんなにテーブルを叩かないでも。
おかげで商業ギルドに1銅貨も入らないと言われました。
流石に一銭にもならないとは言われませんでしたが同じ意味でしょう。
取り敢えず落ち着いてもらって、冷茶のおかわりをポットから注ぎました。
その後は、家の中を見せてほしいということで見せましたが、私がした家の説明も上の空のようでした。
そして何なのこの家は存在が納得出来ないとか言いながら、こんな住みやすそうな家とかぶつぶつ言いながら女性は帰って行きました。
なにかおかしいでしょうか?
家の構造かな? 洗面所の大きな鏡? お風呂? ガスコンロ? トイレ? キッチン?
どれも私には慣れ親しんだものばかりで、おかしなことはどこにもありません。
昨日の説明では、確か、土地を返却するときは更地が望ましいが、家を建てたままの返却も構わないと言われていました。
もちろん返すときには家を収納して更地にして返す予定です。
取り敢えず、今回は私の行動不足が一因しているとわかりました。でも、朝早かったのでまだ起きたばかりなんですよね。
日本人なら引越ししたときに周りの家に挨拶をしますよね。それをすることにします。
まあ、昨日は夜に家を出したのであいさつまわりする時間がありませんでした。
もっとも、こんなに朝早く苦情が来るとは思ってもいませんでしたし、どうにもなりません。
さっそく、以前手に入れたカピオの毛を収納から出して、魔法でタオルを複数枚つくり「引越しのごあいさつ」と書き入れ、名前を入れ、家の場所の簡単な地図を入れ、5枚毎にまとめて紐で括りました。
それをリュックサックに入れて隣近所に引越しの挨拶周りに行きました。
一応これで突然家ができたことは何とか誤魔化せたのではないでしょうか?
あいさつ回りができる元日本人でよかったかな?
でも、1ヶ月しかいませんけど。
ギルドには午後行くことにして、午前中の時間は街の商店を見回りました。
時折、屋台の肉串を多めに買っては収納に入れ、ウキウキしながらギルドに向かいました。
一昨日と同じように依頼掲示板を見てみましたが1日や2日程度で変わるはずもありません。
私はカピオをある方法を使って連れてこようと考えていました。
昨日寝ながら考えました。
家の戸締りはしてきたし、魔法も掛けてきたので誰も中には入れないはずです。
このまま、廃墟の街に行こうと思います。地図にはヨキアの街と書かれています。今いる街がズロイの街です。
私は門番に挨拶して、街から出てオールドフォレストに向かいました。
そしていま、オールドフォレスト~長いので魔物の森でいいかなどうせこの日記は私しか読まないし~の前にいます。
森の出口から20m前位から、土魔法で高さ5mくらい、幅は道幅いっぱいいっぱの3m幅位のトンネルを作っていきます。
このトンネルを反対側の森の出口まで作るつもりです。そうすればカピオ達を全て連れてくることが可能なはずです。取り敢えず向こう側に抜けるまではトンネルに入れない様にズロイ側入口は閉じておきます。
ブロック単位でトンネルを作ってはつなげていきます。1ブロックは長さ50m位です。転生前の知識が役に立ちます。作りたてのトンネルは入口も出口も閉じていますが、接続したら開通させます。
トンネルを土魔法で固めるだけではなく、謎鉱石で錆びにくいチタンの針金も作り網目状になるように張ってから、土魔法で古代ローマコンクリートをイメージして堅牢に固めていきました。
魔物でも、壊すことが不可能なものにしていきます。
足元は鉄線を同じく格子状にして土魔法でコンクリートの様に固めました。
また、トンネルの天頂部分と横に2cm位の穴を適度な間隔で開けていきました。明かり穴と空気穴を兼ねています。明かり穴としては小さいので中は暗いです。でも、昼間なら真っ暗にはなりません。
天井の中央と左右には灯りぶら下げられるようにフックを付けました。
どんな灯りがこの世界にあるのかは分かりませんが、魔石を使ったランタンぐらいあるでしょう。
このようにブロックのトンネルを作っては接続し作っては接続を繰り返します。
なるべく直線になるようにしてつなげます。邪魔をする木は伐り倒して整地していきます。
思ったよりも時間がかかっています。5km位すぐかな思ったのですが、探知魔法ではやっと半分という所でした。
トンネルの中はライトの魔法で明るいですが外はもう夜の帳が降りて暗くなっています。
流石に家をトンネルの中に出すことはできませんので、ベッドを作り布団を収納から出しました。
そもそも、家は街中に出しっぱなしです。今度小さな家を作っておこうかなと思います。
食事はこんなこともあろうかと? 偶然の産物ですね、昼間、屋台で買っていた怪しい肉串を食べました。
怪しいのですが美味しかったです。
ダンジョンなどを考えると小さな家も作った方が良いかもしれませんね。
ところでゲームみたいのこの世界はダンジョンがあるのでしょうか?
ギルドの地図には記載はありませんでした。
それでは、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ トンネル2と廃街
異世界22日【女神暦354年8月18日(月の曜日)】
おはようございます。
暗かったので起きたら8時を過ぎていました。目覚ましが必要ですね。
今朝は木の実を食べることにします。
さて昨日の続きを行います。
作っては接続しを繰り返しました。
午前中の作業で漸く森を抜けました。
ズロイ側と同じように森から20m程離れたところをトンネルの出口にしました。
出口にしたと言っても、地面を掘っているわけではありません。
トンネルの出口には鉄格子の門を作っておきます。
壊されないように、あの謎鉱石から硬そうなオリハルコンで作りました。
鍵はオリハルコンでU字ロックをイメージして作りました。
後は廃墟の街のヨキアに向かい、カピオ達を引き連れズロイの街に戻るだけです。
トンネルを作りましたので魔物の森を通り抜けるのは容易になるので、カピオ達を移送する必要はないかもしれませんが、移送しないとお金が手に入りません。いつまでも貧乏から抜け出せません。折角依頼料をもらえるチャンスです。
てくてくと歩き廃墟の街を目指しました。
到着した時には15時を過ぎていましたのでこれからズロイの街に戻るのは諦めました。
街の噴水近くに行くとカピオ達がいません。
どうしたのかと作った家に向かうと、家の塀の中にすべてのカピオが入っていました。
どうやら周りが囲われているので居心地の良い居場所になったようです。
私はカピオ達を確認しました。毛は生えていません。
数日で生えたら怖いです。
頭数を数えます。53頭いました。
言葉がわかるらしいカピオ達に、明日この街を出てズロイの街に移送します。と言いました。
頭を上下に振って『ミャーミャー』鳴いていました。分かってもらえたようです。
付いてこないようなら精神魔法を使うつもりでいましたが問題ないようです。
家に入りゆっくりすることにします。
明日は忙しいかな。
それでは、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 廃街からズロイの街へ、カピオを添えて
異世界23日【女神暦354年8月19日(水の曜日)】
おはようございます。
今日はカピオを連れての集団移動です。
昨日の夜、ホイッスルを作りました。あの中にボールが入ってピロピロなる奴です。
軽くふくと、ひゅ~~と空気が抜けるだけのあれです。一気に吹かなければなりません。
私は準備を終わらせると家から出てホイッスルを吹きました。
カピオが何事? みたいな顔をしてこちらを見ています。
「ズロイの街に行くから立って立って~」とカピオ達を立たせます。
「それじゃ私の後に付いてきてね」と言ってぴっぴ笛を鳴らします。
私が歩きだすとカピオ達も歩きだし、私の後を付いてきてくれます。
私は探知魔法を150mの範囲で使いました。
急に襲われても私が対処できる範囲です。
南門から先に出て周りを目視と探知魔法で確認します。
敵対的な生物はいないようです。
私は前と背中、右と左にカピオを従えながらトンネルに向かって歩いていきました。
時々休憩を入れて歩いていきました。
休憩のときには水だけを桶に入れていきます。
前回より少し遅いくらいの歩みでしたが、トンネルに到着しました。
前回は無駄な小屋を作ったりしていましたのでそれに無駄に時間がかかっていたようです。
小屋を作る時間が無かった分、時間的には前回より早く到着しています。
私はトンネル入口の鉄格子いえ、オリハルコン格子を開きカピオ達に入るように促します。
素直にカピオ達が全頭入ってくれたので助かりました。
最後の1頭が入ってから門を閉めながら私も中に入り、U字ロックで閉じました。
私はライトの魔法を逐次使いながらトンネルの中を歩いていきます。
作っている時は何とも思いませんでしたが、完成して直線で先が真っ暗のトンネルって怖かったです。
自分で作ったにもかかわらず。
カピオに周りを囲まれながら歩いていきます。
カピオもいたのでゆっくり歩いて、2時間程かかってトンネルの反対側に到着しました。
トンネルの反対側の入り口の壁を取り壊し、カピオ達をトンネルから出しました。
出ている間に出口と同じようにオリハルコン格子とU字ロックを作り全てのカピオが出るのを見計らって設置しました。
カピオを引き連れた羊飼の気分でのんびりズロイの街に向かいました。
ズロイの街に到着すると門番が驚いていました。
常時依頼を受けたことを伝え、依頼票に書かれていた商人を連れてきてもらえるように頼みました。
流石にこの数のカピオをぞろぞろと街に入れて移動はできません。
手の空いていた門番が商人を呼びに行ってくれました。
暫く待っていると、商人がやってきました。
商人は私が引き連れてきたカピオの数に呆然としていました。
商人は一緒に牧場に来てほしい言いました。
もちろん断る理由もないので了承し、商人の後をカピオ達と共についていきました。
防壁沿いを歩いていくと20分くらいで牧場に到着しました。防壁の内側の壁沿いに牧場がありました。
商人と話をして、雄とか雌とか子供とか面倒なので1頭当たり銀金貨2枚で買い取ってもらう事になりました。
52頭×銀金貨2枚で銀金貨104枚分です。
つまり小金貨10枚と銀金貨4枚になります。
牧場主に商人がカピオを納品し、その後ハンターギルドに商人とともに向かいました。
商人は依頼票を剥がし受付に持っていき、事の次第の説明と依頼終了を伝え、私にその場でお金を渡してくれました。ギルドの確認していないところで金銭授受を行うと後々揉めますし、依頼ポイントも貰えないことがあるそうです。
早く終わったので、ギルドに渡す手数料も少なくて済んだと商人は喜んでました。
依頼は依頼票を張っている間の日数分の手数料を1週間ごとに払う必要があるそうです。
その代り手数料を払えば個人でも依頼票を掲示板に張ることができます。
ただし、依頼票の内容が適切かの判断をギルドが必ずするそうです。
私は商人がいるところでハンターギルドの受付のお姉さんにトンネルを作ったことを話してしまいました。
受付のお姉さんはちょっと待つように言って私と商人をその場に待たせて後ろの事務所に入って行きました。
商人もここで待っていてくださいと言ってギルドを出ていきました。
一人ぼっちになりましたが、ギルド内部で絡まれることはありませんでした。
暫くすると奥から若い男性が出てきて私に一緒に来てほしいと言いました。
私は、商人さんがここで待っていてくれと言っていたのでここで待つと言いました。
商人さんが来たら、中に来てもらうのでとにかく一緒に来てほしいと言いましたので、私は仕方なしに一緒に2階の部屋に行きました。
大きな執務机に50代くらいのおっさんがいました。
奥の部屋で紅茶のようなものを出してもらって、雑談(どちらかというと私の事を根掘り葉掘り聞かれたような気がします)していると先ほどの商人さんが知らない女性を連れてきました。
改めてお互いに挨拶を行ないました。
おっさんはハンターギルドマスターでクスタントさん、商人が連れてきたのが商業ギルドマスターのチェロミアンナさんでした。商人さんはモリオさんでした。
早速トンネルの事を聞かれました。
私は普通にカピオ達を連れてくるのに魔の森にトンネルを作ったことを伝えました。全部を護衛するよりその方が楽だと思ったからで、実際楽でした。
どうやって?いつ?どのような?と聞かれましたので、魔法で一昨日こんな感じのとボディランゲージを交えて伝えました。
鍵を掛けていることも伝えたら、それぞれのギルドマスターに腕をつかまれ引きずられてしまいました。
門を抜け、魔の森のトンネルの前まで来たところでようやく腕を離してもらいました。
3人とも唖然としていたように思います。商人も当然ついてきていました。
門を開こうとしてましたが、鍵(U字ロック)をかけていますので開きません。
鍵は?と聞かれましたので、ありますよと見せました。
クスタントさんがひったくるように私の手から鍵を奪いトンネルの門を開け、早速中にチェロミアンナさんとともに入って行きました。
どちらかがライトの魔法を使ったようでトンネルの中が明るくなりました。
商人も入って行くのが見えました。
私は置いてきぼりにされましたので、椅子とテーブルを出して、そこにポットとマグカップをだして、ポットに入った冷茶をマグカップに注いて、青い空に漂う雲ができては薄くなって消えていく様子をお茶を飲みながら眺めていました。
しばらくすると納得したのか出てきて、門を閉め鍵をしてこちらに歩いてきました。
私に鍵を返してくれて、門について話をしようと言われましたが、明日じゃだめですか? と私が答えたので、結果、2人の都合に合わせて明後日の午後にハンターギルドで話し合いをすることになりました。
漸く解放されたことに私は「ほっ」としました。
自分の家に戻り、風呂に入ってソファーでゆっくりし、一日が終わりました。
精神的に疲れた1日でした。
それでは、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 買い物な一日
異世界24日【女神暦354年8月20日(火の曜日)】
おはようございます。
昨日は午後は大変なことになりました。
カピオが移送中に襲われない為の最善の方法としてトンネルを作ったくらいで、何を大騒ぎしているのしょう。
普通に考えれば魔物がいるなら、襲われないようにトンネルを作るのは当たり前ではないでしょうか?
転生前だって、雪崩が起きやすい場所なら防雪トンネルを作ります。同じことです。
魔物を全て倒せばいい? いえいえそんなことしていたらいつまでかかることか。
さて、私はこちらに来てから料理を作っていませんでした。
料理をするにしても調味料が少なすぎます。
持っているのは自前で作った塩のみ。
串肉には甘辛のソースがかかっていました。
つまりある程度の調味料はあるはずなので、街に買い物に行くことにします。
これまで迷彩色のあの服だけの着たきり雀だったので違う服にします。
クリーンの魔法で服は綺麗になるので着たきりでも問題はないのですが、作り置きした服はいっぱいあります。
いずれも転生前の服を参考に作ったため、こちらの世界では浮いてしまいそうです。
しかし、こんなこともあろうかと? 有り余るカピオの毛が手元にあります。
私は街でみた厚めのロングスカートと長袖の地味な服を作って、着替え、街に繰り出しました。
通りの武器屋、装備屋、服屋を見て回りました。武器屋に装備も売っていますが、装備屋の方が種類が豊富でした。
美味しそうなパンの匂いや屋台の匂いに誘われることもなく、気が付けば手に肉串がありました。
食品雑貨屋のような店でいろいろ見つけました。
塩、茶色い小粒の砂糖、多種にわたるジャム、塩漬けの野菜(ピクルス? 浅漬け?)、香りの強い花、他にも材料不明のソースなどいろいろありました。
説明を聞き、味見をしながらいろいろな調味料を購入しました。砂糖もありました。砂糖というかザラメ?
財布の中身はカピオ移送の収入で余裕があります。
ここでは、服などは高めですが、食材などは安いような気がします。
さらに八百屋のような店で、野菜、果物などを買っていきました。
野菜は転生前と似たようなものです。ただ、大きさや色など異なる部分はあります。
肉は屋台で売っていました。屋台によって肉の種類が違うようでした。
卵にしては大きい生卵も屋台で売っていました。
他にも穀物の店で大豆のような物、小麦、小麦粉、玄米?(白くない米粒のような物)、蕎麦の実っぽいものを買っていきます。
玄米を買おうとしたときに、これは家畜用だけどそれでもいいのか聞かれました。どうやら米っぽいのは食べないようです。
買ったものは全て収納に入れます。
あとは紅茶の茶葉が売っていました。コーヒーも売っていました。
コーヒーミルも売っていたので買いました。紅茶は急須を作ったので注ぎ口に細かい網を取りつけ代用できるでしょう。
ミルについて店の人が言うには2つの蝶ネジを調整することで、細かな蕎麦も挽けるとのことでした。
まあ、やってみてダメなら売っていた石臼も買いに行けば良いのです。
案外、この世界で食文化には不自由しないかもしれません。
午前中はほぼ買い物で終わり、家に帰りました。
異世界は意外と暇です。TVもないですし漫画もゲームも当然ありません。
要は時間を潰すための要素が皆無なのです。
ですので午後は食料作りに精を出すことにしました。
調味料はいろいろ調合して元の世界に合ったような味を何種類か作ります。
もちろん、作った手順をメモ書きするのは忘れません。
あ~だ、こ~だと試行錯誤しながら作って行きました。
調味料として作れたのはケチャップとマヨネーズ、ソースっぽいものを作りました。
マヨネーズが作れたのであれとあれも作りました。片方は冷凍し、片方は冷蔵してから収納行です。
醤油は醤油その物を作るのは時間がかかりますが、醤油から塩分を取り除いたような調味料が売っていましたので、それに塩分を添加しながら醤油の味に近づけました。
濃いめと、薄めの醤油を作りました。見た目の色は同じですが、塩分の大小で分けました。
味噌は残念ながら作れませんでした。
調味料作りが終わってから、他の物を作っていきます。もちろんできたものは即収納行です。
先ず固いパンをおろし金ですりパン粉作ります。
小麦粉は売っていましたので作りません。残念ながら強力粉、中力粉、薄力粉として分類されて売っていませんでした。
ただ、店によって売っている小麦粉の種類が違うようでした。色々試すしかないかもしれません。
次は、鑑定では違う名前のジャガイモのような野菜をすりおろして水に浸します。
それを布で濾します。何度か上澄み液を取り除いて、最後に魔法で乾燥させます。
塩つくりでもやった水を飛ばす方法です。
白いでんぷんが残りました。そうです、片栗粉を作りました。
晩御飯はうどんを作ってみます。
小麦粉を塩水で捏ね捏ねしていきます。
特に、寝かせたり、踏みつけたりはしませんでした。
次に肉と野菜を炒めていきます。味付けは醤油っぽいものを使います。
そこに先ほどの片栗粉を少々を水で溶かしたものを入れとろみをつけます。
先ほどの切る前の小麦の玉を薄く延ばして、適度な太さに切っていきます。
ゆでる前に味付けをしたスープを作ります。昆布はなかったので買ってきた調味料の味を見ながら作ります。
汁が出来てからうどんを茹でます。
ゆでる網は事前に製作済みです。
時間を見計らってうどんを上げ、湯きりして、どんぶりに入れ汁を掛けます。
その上に先ほど炒め物『とろみのついた野菜と肉炒め』を載せて出来上がりです。
その名も! まあ名前なんて何でもいいですよね。
味は!! まあ、好みは人それぞれですよね。
うどんを捏ねるのに随分と時間がとられたようで、既に19時を回っています。
余ったうどんやスープは収納に入れて、料理の片づけをし、洗い物はキッチンで洗います。
その後、風呂の準備をします。
風呂の中で寝ない様に注意して風呂に入って、今日は終わりです。
それでは、おやすみなさい。
私が家に帰ってきてから家にはシールドを張っておきましたので、人が訪ねてきても敷地内に入れ無いはずです。だれも尋ねてはこないと思いますけど。
ジャガイモはポタスと鑑定に出てました。
違う名前で日記に書くと私が分かりにくくなるので、転生前の名前で書く事にします。
このように欄外に鑑定名を書いておけばいいでしょ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
異世界25日【女神暦354年8月21日(土の曜日)】
おはようございます。
今日はトンネルの件で打ち合わせがあるので気が重いです。
鍵だけ渡して、自由に使ってっていいたいのが本音です。
朝食はスクランブルエッグと何かの肉を薄く切ってベーコン風にして、パンに載せて食べました。
それに紅茶です。
紅茶はティーバック状態で売っていないので、急須に網を付けて作りました。
午前中は時間がありますのでちょっとやりたいことをやってみます。
2階の広めのベランダの改修をすることにし、2本の鉄の棒を立てます。
そこに張るためのハンモックを作ります。
枠とカラビナを作ります。枠に網ではなく布でベッドをつないでいき、両サイドのロープを別のロープで結び、カラビナを通します。鉄の棒のでっぱりの上にひもを巻き付けて完成です。
ハンモックの上に寝ころびます。枠を付けた為横に寝てもハンモックが丸くなることはありません。
いい感じのハンモックが作れました。
薄い雲が広がる空を見ながら横になりました。
そうこうしていると打ち合わせの時間が近づいてきましたので、ハンモックを畳んで収納にいれ、1階に降ります。
重い足取りでハンターギルドに向かいます。
中に入ると受付の人に呼ばれて2階の会議室に案内されました。
部屋に入ると既に何人かの人がいました。
どうやら、私が最後のようで、早速打ち合わせが始まりました。
鍵は2種類(入口と出口)で3個ずつその場に出しました。
私は内緒で1セット持っています。
領主は来ていませんが領主が1セット、商業ギルドとハンターギルドで1セットずつ持つことになりました。
私に使用料の一部が入る以外は、3者で管理を行うということになりました。
正式開通は4週間後でそれまでにトンネル門番の配置、そのための管理小屋なども作ることになったようです。
私にも通行料が入るそうで、通行料はハンターギルドで管理してくれるそうです。
タグプレートでどこからでも引き出しは可能だそうです。
詳しくは分からないですが、魔石を使ってプレートの管理をしているようです。
通行料は安くしてほしいという私の要望で通行料1人片道、銅貨5枚となりました。
銅貨5枚はメロンパン位の大きさの硬いパンが1個買える価値です。
年齢も15歳未満は無料としました。銅貨1枚が私への入るお金になりました。
残り銅貨4枚は管理費や税金に割り当てられるそうです。
管理費はトンネル内のランタン用の魔石や、門番の人件費などだそうです。
それではお暇しますと、逃げようとしたところ、領主が会いたいとのことでした。
ただ、領主はこの街には住んでおらず、ここから町を1つ超えた先の領都に住んでいるそうです。
そこに行く機会があったら是非立ち寄って欲しいと、領主の代理の人から手紙を渡されました。
まあ、そのうちに行けばいいでしょう。
何はともあれ無事に話し合いも終わり、晴れて私は自由の身になりました。娑婆の空気がおいしい。
既に午後も残り少なくなりましたので、私はハンターギルドの掲示板を眺めてから家に帰ることにしました。
帰る前にギルドの受付で、魔物の解体を教えて貰えないかと確認したところ、魔物を納品してもらえればその魔物で教えてくれるそうです。
いつでも構わないとのことでしたので私は明日の朝、教えを乞うことにしました。
それでは、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 解体レクチャー
異世界26日【女神暦354年8月22日(金の曜日)】
おはようございます。
朝ごはんを食べた後、ギルドに向かいます。
今日はギルドで解体を教えてもらう予定です。
果たして私に解体ができるのでしょうか。
早速ギルドに向かい受付の人に、解体を教えてもらいに来ましたと使えます。
すると奥から私よりも背が低い人が現れました。
背は低いものの、体つきはまるでボディビルダーのようです。
背が低くて、丸くて、筋肉質なので、思わずダルマを思い出してしまいました。
さてその人に連れられ解体場まで向かいました。
解体の注意として、自分の家以外では街中では解体できる場所が4か所だけとのことです。
1つはハンターギルド内。
もう1つは商業ギルド内。
のこりの2つは、東門と西門にある解体場だそうです。
それら以外で解体すると罰金が科せられるそうです。特に町中で解体は厳禁だそうです。
内臓などの不要なものも捨て場に捨てるか、焼却炉で燃やす必要があるそうです。
狩場で解体する場合は、内臓などを捨てる場所を掘ってから解体し、必ず埋め戻す必要があるとのことです。
その後、解体の方法を軽く口頭でレクチャーされます。
レクチャーを受けてから解体の実技になります。
私は収納に入れていたリトルアタックラビットを解体場に出しました。
膝くらいの大きさの兎の方です。
解体の人は黙って私を見ています。
いきなり、こんな大物で解体を習いに来るアホはいないと言われました。
肉も毛皮も捨てるところが無い上に、大きいし、魔物なので「初心者の解体練習にはもったいない」そうです。
私はどうしようかオロオロしました。
これ以外は大きな猪と大きな狼、後はクレイジーラビットしか収納に入っていません。
すると解体の人は奥から小さな兎~私が出した兎より2回り小さい~を持ってきてこれで練習するように言いました。
私はその兎で基本を教えてもらいながら練習をしました。
結果は……。
昼ごはんは食べられず ~時間的な余裕がないのではなく、私が解体中に何度も吐いたため、胃が受け付けなくて~ 1日がかりでようやく吐くこともなく、何とか兎を解体できるようになりました。
それでも、解体ができるようになったというだけで、こんな解体の仕方では買取査定が減ると言われてしまいました。解体ランクでいうとGの下だそうです。つまり最下位中の最下位と……。
私が持ってきた中くらいの兎は解体指導料として持っていかれてしまいました。
小さな兎は結局4体ダメにしました。その代償です。
まあ、あのウサギはまだ4体収納に入っているので問題ありません。
私は夕食も碌に食べずに、風呂に入って寝ました。
いえ、食べずにではなく、食べられずにでした。
それでは、おやすみなさい。 うっぷ。
私はXのような失敗しない外科医には絶対になれないです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
異世界27日【女神暦354年8月23日(木の曜日)】
おはようございます。
昨日は碌に食事をしなかったため、朝はおなかペコペコです。
今朝は朝から屋台で買いためした肉串を取り出し、肉を串から外してパンの上に乗せて食べました。
これはこれでなかなかいけてます。
そうそう、肉串も鳥のような肉から豚、牛、羊までさまざまな肉があります。
何かのかば焼きのような串もありました。
材料は聞きません。聞いてはいけない気がしているのです。
でも。異世界で今日は27日目。食に関しては慣れないといけないでしょう。
最初の10日くらいは空腹を感じませんでしたのでよかったのですが、今はお腹がなるほど空腹感に襲われることもあります。まあ、襲われると書くのはちょっと言い過ぎかな。
そういえばこの世界の暦を知ってから昨日で1週間が経過したのですね。
日記を書いていて正解でした。
1年もすれば書くこともなくなるかもしれません。
昨日と同じ。で終わってしまうかも。
いえ、そんな事はないでしょう。何しろここでは、朝起き、通勤、仕事、帰宅、寝るというルーティンではないのですから。
昨日解体した兎は、東門から出た先にある森に住む魔獣の一種のようです。
森へは徒歩だと1日半くらい掛かるそうです。
西門のオールドフォレストの方がはるかに近くて危険だそうです。
魔獣と魔物の違いは何か? 魔物の方が体躯が大きく、ちょっと賢いということらしいです。
とギルドの受付の人が言ってました。
魔獣は野生動物より少し凶暴になったくらいで、兎ですら人間に襲い掛かるそうですが攻撃力はそれほど高くないとの事です。そして、攻撃したら逃げ去るようです。
体躯は野生動物より一回り大きくなったくらいで、Gランクのハンターであれば1対1で遅れは取らないそうです。
ただ、一般の婦女子や子供、老人にとっては脅威の対象です。
野生動物は人間を見れば逃げます。魔獣は人間を見て襲うか逃げるかします。魔物は人間を食の対象にするとのこと。やはり異世界は怖いですね。
低ランク(G~E)のハンターはイーストフォレストの浅い場所。
中ランク(D~C)のハンターはイーストフォレストの中ぐらい。
高ランク(B~A)のハンターはイーストフォレストの奥深く。
これがソロの基本だそうです。もちろんPTになれば別です。
イーストフォレストは魔物は数がとても少ない為ソロでも問題く狩りができ、イーストフォレストの魔獣に襲われた場合は縄張りから逃げればそれ以上追いかけてこないらしいです。
超高ランク(S~SSS)はオールドフォレストをソロで攻略もできるそうです。
ただ、数日潜る場合はソロであってもオールドフォレストは危険とのことです。
これが、ギルドでの認識のようです。
なぜこんなことを書いているかというと、私みたいにDランクでソロでクレイジーラビットを狩ってくるのは異常だと言われたことを書きたかったのです。
トンネルの件も受付の人に仕事が増えてとか愚痴愚痴言われました。まあ、それでも最後にありがとうと言われたのがうれしかったです。
ハンターについては、ランクが高くても、護衛特化、配達特化、狩り特化と仕事に特化したハンターもいるそうで、そういう人はそれ以外の依頼は受けないとのことでした。
さて、私は昨日、あれだけ解体に苦しんだにもかかわらず、今日も解体をするという事はせず、イーストフォエストで狩りをする予定です。
流石にあれだけ食欲不振になると、体重が減って痩せてしまうかもしれません。
この世界では、それなりに体力の維持は必要だと思うのです。
そしていま、イーストフォレストに向かっています。
もう、東の森でいいかな。
東門を出ると、一面に畑が広がっていました。青々とした草の生えた整備された畑です。
なかなか壮観でした。草と書きましたが鑑定すれば名前はわかるでしょう。
私は徒歩で歩いていますが、意外と馬車の通行が多く見られます。
ズロイの街はヨキアの街が廃墟になったため街道の最終地点に今はなっているようですが人の往来は多いようです。
街道は石畳で馬車が2台対面通行可能なくらい広く、馬車の通る轍部分は凸凹が無いようです。
人が歩く場所は砂利道で左右に広く取られています。
アスファルト舗装されていないだけで普通に道路のようでした。
西門は使われなくなったためか石畳に土がかぶさっていたようで、土の道でした。
ただ、道に雑草はさほど生えておらず、田舎道として十分歩けました。
本来はこのような街道だったのでしょう。使われなくなって5年経過しているので砂で埋もれていても不思議ではありません。
さて、東門から出た私はいまひたすら歩いています。
てくてくと歩いています。
空のリュックサックを背負って、腰にはロングナイフを帯ています。
服装はニッカポッカみたいな迷彩色のズボンに、腕が隠れるチュニック、その上チタンを織り込んだポケットの多いベスト(釣りをしている人が着ているような)、その上に薄いポンチョ風の外套に麦わら帽子のような幅広のつばもった顔が隠れるようなサファリハットを被っています。
もちろん帽子は紫外線カットです。転生前は三十路を過ぎていたので紫外線対策は完璧にしないといけないと、魂に刻まれてしまっています。
服自体は全体的にブカブカな感じで風通しはいいです。
時折、馬車が通り過ぎる時、後ろの荷台からヒューヒューと声を掛けられますが、馬車は徒歩より早いので、一時的なものとして我慢しています。シリウスの業火で骨すら残らず燃やし尽くそうかしら。
てくてく、てくてくと歩いていきます。
昼食休憩をとって、午後もひたすら歩きました。
午後は2回ほど休憩を入れ、歩き続けました。
ラジオでもあれば聞きながらで、退屈しないで済むのですが、田園を過ぎると同じ風景が続き流石に飽きます。
空がオレンジ色に染まってきたのを見計らって道をそれ、家を作る作業に入ります。
2部屋(寝室と居間)にキッチンと風呂がある簡易的なものです。この家をキャンプ用の家にしましょうか。
バリアを施し、野生動物が近寄らないようにします。
夕ご飯を食べて、暫く寛いでから風呂に入りました。
今日はここまでです。
それでは、おやすみなさい。