−3 過ちと去りし日 Ⅳ
「最悪だ…夢の中の予知夢なんてそんなことあるのか?」
億劫になりながらゆっくりと起き上がる。
どうやら寝汗をかいていたらしく濡れた服が気持ち悪い
服をぬいでシャワーを浴びる。
だがどうやってもさっきの夢が頭から離れない
今日はサラと会える日だってのにあんな夢を見るなんて不穏だ。
俺がそんなことを考えていても時間は待ってくれない
気づけばもうすぐ家を出る時刻になっていて
急いで支度を済ませ、大学へと向かった。
「おはよう」
教室でハクが話しかけてくる。
「今日は水曜だっていうのに、珍しく落ち込んでるね。何かあったの?」
「…ちょっとな、朝から嫌なことがあって」
正直、話す気にもならずそれだけ告げると俺は机にうつ伏せになった。
ハクもそっとしておいてくれたのかそれ以上は話しかけてこなかった。
そのまま講義も始まり映画の上映のために、教室が暗くなる
俺はうつ伏せの体制のまま眠りに入ろうとすると
ふと、昨日の夜の出来事を思い出す。
ハクの方に昨日何かあったんじゃないかを聞こうとするも
なぜか自分の体ではないように動かない
まるで、パソコンを強制的にシャットダウンをした直後に
データを保存をしていなかったことを思い出したような、
自分ではどうしようもない気持ちで夢の中へと赴くのだった。
目が覚めると、といっても夢の中でだからなんか変な感じだけど
いつもの机で、今回も月がよく見える。
意識がぼんやりとするのを頭を振って、覚醒させると
後ろから声が聞こえる
「今日もよろしくね!!」
振り返って顔を見ると、今朝の夢が思い返されて目を逸らしてしまう
機嫌を悪くしたであろうサラをなんとか誤魔化して勉強会を始める
普段なら一悶着ありそうなものだけど、意外とすんなり席について
今日もいつもの時間が過ぎていく。
「よし!書けたわ。見てちょうだい」
そうしてサラが日本語で書いた文を眺める。
だが、頭にその内容がうまく入ってこない。一体これはどういうことだろう
混乱してサラに聞いてみる
「えっと…これはどういうこと?」
「あら?日本語変だった?じゃあ直接聞いてみるわね」
そうして彼女の口から書いてある文と全く同じことを俺に告げる
「あなたは誰?」




