-2 不思議な場所 Ⅱ
「ちょっと寝惚けるのもいい加減にしなよ、もう講義終わったよ」
目を覚ますとそこにいたのは可愛い女の子…じゃなくて見慣れた顔だった
どうやら思った通り夢を見ていたらしい
「…えっと、なんか嫌にリアルな夢をみてさ」
「あぁ、例の使えるんだか分からない特技ってやつ?」
「どうだろう、海外にいるっぽかったし今の所行く予定はないはず…」
「なんだ、じゃあただの夢なんだ、それより次回は洋画見ての勉強だって楽しみだね〜」
「どうせ、吹き替え版じゃないだろ?内容わかんねぇよ」
結局その後、何も起きることなく1週間が過ぎて行った。
だけど、どうにもこの日の夢のことが忘れられず
なんとかしてもう一度見られないか試したが叶わなかった。
それでも諦めきれず教室で管を巻いていた。
「まぁ夢の中では、ご都合主義みたいに英語を読めたし話せたもんな
ただの夢か。でもあの子かわいかったなぁ」
正直一目惚れって言っていいくらい、かわいかった
「はぁ、まだそんなこと言ってるの?講義始まるよこれ以上単位落とすとまずいんでしょ?」
そんな色んな意味で夢から醒めるようなことをハクに言われ、必死こいて
内容のよく分からない映画を見ていると…だんだん眠くなってきた
いや、お経とか内容のよく分からないもの見ると眠くなるだろ
誓って夢の続きをみようと変な時間に寝たりしたからじゃない
夢では意味がわかったけど今は相変わらず何言っているか分からん。
やっぱり短期留学とかで、話せるように頑張るべきだったかなぁ
そんな取り止めもないことを考えながら俺はまた意識を手放していく
「そんなとこで寝ていると風邪引くわよ」
どこかで聞いたような可愛らしい声がした。
やった!また会えた!!
だけど、待て待て待て焦るな
第一声が肝心だ、無難なの無難なの何かないか…
「無視ってわけ?」
まずい、彼女の機嫌が悪くなって来たのを感じる
もう一度あの一撃を喰らうのはごめんだ…
とりあえず人に会って一番大切なことは
挨拶だろう
「お、おはようございます」
「おはよう?もう夜だけど」
「え?ほんとに?」
目の前にある窓から外を見ると確かに月が出ている
時間がずれているけど夢だからそんなもんか
周りの風景を見渡しながら改めて現状の把握をしていると
怪訝な顔をした彼女と目が合う
「自分の部屋なのに何をそんなに珍しがっているの?」
どうやらここは俺の部屋らしい
俺の部屋と言われたら確かに好きそうなものが置いてあるが
若干、居心地の悪さを感じる
「いやぁ、なんか慣れなくて…」
「慣れない?」
そう言うと彼女はこちらを不審な視線をおくる
しまった、変なこと言ったか?
また現実に強制送還はやめてくれよ!?
そんなことを思いながら俺が冷や汗をかいていると
彼女はもう興味を失ったのか隣に座ってノートを見せてきた
「今日勉強つきあってくれる約束でしょ?」
え、そうだったんだ
困ったな俺も勉強できる方じゃないんだけどなぁ
とりあえずノートを見てみるかぁ
「え?日本語?」
「そうよ、いつもと同じじゃない」
「そ、そうだったねごめんごめん」
それから日本語の勉強を何とか教え終わると
緊張が解けたからか眠気が襲ってきて俺はまた寝入ってしまった。
ふと起きると、ハクが俺に話しかけていた
寝惚けながらだからか分からないが
ハクが何を言っているか分からない
「お前何言ってるんだよ、日本語喋れ日本語」
そこにいたハクはどこか寂しそうな表情を浮かべていた
「そっか、おかえり」