-1 いつもの朝
週1ぐらいで投稿したいな,なんて思ってます
俺はまさ
今日も今日とて、寝坊して電車に乗り遅れないように走ってるようなごくごく普通の大学生だ
もはや自分が普通すぎてちょっと変わったことをやってみたいと思っているが
髪を染めようとするも躊躇したり、音楽を始めてみようとは思うものの楽器の値段の前に断念したりしている
そんなことをするたびに自分の普通さに嫌気が差す日々だ
とは言いつつやけにならないのにも理由というか特技があるんだけど
そんなことを考えながら走っていると、目の前に見覚えのある子供が走ってきた
友達と話しながら走っているようでまるで前を見ていない…競争でもしているのだろうか?
見覚えのある景色に俺は
「あ…、またか」
と呟く
案の定子供は足を絡ませて転んでしまう
どうやら擦りむいたようで泣きそうになっている
無視することもできずはなしかける
「おいおい…大丈夫か?」
泣いてる子の周りの子供は突然知らない人に話しかけられてて少々警戒しているようだったが当の本人はそんなこと気にかける余裕もないようだ
「ひぐっ……いたい…」
ふとその子の膝を見るとやはりというべきか膝から血が出ていた
「まったく…前見て歩かないからだ」
「ごめんなさい…」
「俺に謝ってどうする…ほれ、そこの自販機で水買ってきたからこれで洗って絆創膏付けるぞ
…それだけだからその防犯ブザーに手をかけるのはやめてほしいな?」
周りの子供がすごい警戒している…なんでだろう、そんなに人相は悪くないつもりなんだが
「ほんとうですか?神様に誓えますか??」
「神!??…あー、うん誓うよ怪我みるだけ、とかそんなに怪しいかな」
「わざわざ絆創膏を持っているなんて用意周到すぎてあやしい…とおもいますが」
もっともな意見に内心焦ったが、警戒してるみたいだけど、わかってくれたみたいでブザーから手を離してもらえる
(警戒心が高いことは良いことだけど近頃のガキはませてるなぁ
いや、させることが、かみさまにちかうって点では子供らしいのか?)
そんなことを思いながら絆創膏を貼ってやる
「ほら、次からは気をつけるんだぞ」
「うん、ありがとう!!」
屈託のない顔で笑う少女の顔を見たら、こちらも嬉しくなる
なんだかすごい良いことをした気分だ
もう1人の子もその顔を見てホッとしたのかバツが悪そうにこちらをチラリと見上げ
「あ……ありがとうございます…」
尻すぼみになりながらもお礼の言葉を返してくる
しおらしくしているととても俺を睨みながら防犯ブザーを引き抜こうとした子とは思えない
おそらく将来は結構美人さんになるかもしれない
「気にするな、警戒して当たり前だから」
その言葉にようやく安堵したのか
頬が緩んだ
うん、この子は将来美人になるな間違いない
その後子供達と少し話をしてその子たちの乗る電車が来たので見送る
「じゃあありがとうお兄さん!!またね!!」
「ご迷惑をおかけしました」
元気よく手を振る子と丁寧にお辞儀をする子を見送る
「はいよ〜、今度は転ぶなよ〜」
「まぁ確かに、ふつう絆創膏なんて常備してないか」
俺が絆創膏を持ってたのには理由がある
それは俺は「予知夢」ができるからだ
といっても日常の些細なことしか見えないから基本使えない
友達と駄弁ってるシーンとか、教室からふと窓を覗き込んだシーンとかそんなもんばっかり
ただ、その日が近くなるとなんとなくわかる
だから今日みたいな日は絆創膏カバンに入れてたというわけだ
決して俺が用意周到なやつだからとかではない、とかそんな用意周到なやつだったら寝坊とかしない
うん……?
「おわったー……」
時計の針は無慈悲にも始業時間のほんの少し上を刺すだけだった