キャッチボール
ユニホームやらバットなど道具がそろった翌週から、本格的に野球の練習が始まった。真っ白なユニホームに青い帽子をかぶった子供達がそろった。先週のようにグランドをジョギングし、体操をした。同じ練習用ユニホームを着てみんなで走ると、虎之介は走ることは嫌だったが気分は高揚した。
体操が終わるとキャッチボールが始まった。虎之介は三平君と組んだ。ボールはソフトボールより小さく、表面に粒状の凹みがあるボールで、C球といった。
当初、虎之介は投げることも取ることもできなかった。グローブをはめた左手を体の前に突き出したまま、ボールをつかもうとよたよたした。投げれば、ボールはどっかへいってしまう。見かねた梨田監督は、投げる右手は肘を肩よりあげるように、取る時は両手を胸に包みこむように教えてくれた。三平君はちゃんと虎之介が取りやすいように、胸の前に投げてくれた。
続いて、トスバッティングをやった。投げる人、打つ人、守る人に分かれ、みんな交代でやった。みんな上手にできるようで、虎之介はうらやましかった。上手で投げられる小さなボールは、ソフトボールより当てるのが難しいと思った。