練習中の事故
中学校に上がると、男子は全員坊主頭だった。坊主頭は虎之介の場合、高校野球を終えるまで続くことになる。高校時代は同じクラスの女子にシャンプーを使うか聞かれ、使うと言ったらもったないとからかわれたりした。
虎之介は頭髪が薄く、坊主にすると剃り込みを入れてるのではないかと同じクラスの友達に言われたことがある。そのときは気にしなかったが、高校時代野球部に入った時、同級生のひとりが剃り込みを入れ、野球部の先生にひどく怒られた。頭髪の自由な昨今では考えられない。
虎之介にとって、中学1年生の時はあまり良い思い出がない。というのも、ある時同級生と練習中、バットスイングの練習で首を打撲した。担いだバットの先端をボールに見立て、2人組で素振りをしていた。虎之介が片足をついて、右肩にバットのグリップを置いていた。
悪ふざけというわけではなく、ボールがカーブすることに見立ててバットの先端を少し動かしていたら、相手の子の振ったバットが、虎之介の担いだバット先端に当たってしまった。テコの原理で、バットグリップが虎之介の右首を直撃。顔面蒼白なり、その場に倒れこむところを居合わせた父兄に支えられ、整形外科に運ばれた。
すぐ注射を受け、入院となった。入院10日、全治3ヶ月だった。成長期にあって、3ヶ月運動から離れるということは、虎之介にかなり痛手となった。