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はじまり
猫の瞳は怖い、と誰かが言ってた。
誰だかもう思い出せないけど、その瞳が、二対。
怖いなんて思えない程、悲しいような、寂しいような
そんなような瞳でこちらを見ている。
ああ、
私にもこんな瞳をした
優しくてフワフワな子達が、いた。
あの子達は今、どうしているだろう。
もう一度、それぞれ感触の違う、フワフワの毛並みを撫でて
心地よい温もりと喉の音を感じながら
一緒に日向ぼっこがしたいな。
あの瞬間こそが本当の幸せだったのだと
何も分からなくなった今やっと分かったのにな。
願わくは、あの子達が暖かい場所で日向ぼっこできていますように。