閉鎖的な車の中で
処女作です。
車はまるで、閉ざされた世界のようだった。
父親との外食の帰り道、車に揺られながらそんな事を思う。
普段はそんなに感傷的じゃない。たかだか高校生のカップルを見かけたくらいで浸ってしまうほど、自分の今に不満があるわけじゃない。
思えばここ数日、ずっと気分が落胆していた。
世の学生達がハロウィンだので騒いでいるのを見て、今の自分に虚しさを覚えてしまったからかもしれない。
気分を晴らすために外食に行ったのに、行った先で楽しそうに話す女子高生達を見て、羨ましいと思ってしまったからかもしれない。
そうでなければ、羨ましいなんて思うはずがない。思っていいはずがない。
そうでなければ、青春を捨てる選択をした過去の自分を許せるはずもない。
そう、これは気分が落ち込んでいるせいなのだと自分に言い聞かせた。
車の中から見たそのカップルは楽しそうに話しながら、ゆっくりと歩いていた。
その時の車の窓はやけに厚く、閉じこもる自分と外界を隔てているかのようだった。
憧れを覚える間もなく、僕が乗る車はあの高校生達よりずっと早く、色んなものをすっ飛ばして走っていった。
最後まで読んでくれてありがとうございました。完全初心者で拙い文章ではあったと思いますが、楽しんで頂けたなら幸いです。感想など頂けるととても嬉しいです。