階段をのぼった先に
階段をのぼっていく
1段、また1段
1段、また1段
長い階段をのぼった感覚はあまり無くて、でも数字だけがそこにある
全86作品という表示
気付けば、すぐ手前まで来ていた
十三という漢数字
以前にもそんなタイトルの作品を書いた
数字から覚える独特な緊張感と息苦しさ
その1段1段に、命の重さがずしり乗る気がして
天に一歩近付くごとに、空気が薄くなる気がして
日本の絞首刑なんて多分知らない
映画で見たのは確か電気椅子だった
知らないはずの映像
でもイメージはちゃんと自分の中にあって
正しいとか誤っているとかは分からないけれど
目隠しされ、後ろ手に縄か手錠かされていて
腰にもロープかベルトがあって
刑務官がその細長い紐状の何かの端を握っている
そして自分は1段、また1段とのぼっていく
1段、また1段
吊るされた輪までの残りの段数
真っ暗闇へのカウントダウン
階段をのぼりきったとき
私は足場を失いガクンと落ちる
でもきっと完全には落ちなくて
首を両手の爪でかきむしりながら
もがき苦しみ、やがて消える
階段をのぼった先に
私はもういない