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その㉑

「成敗!」

「ぐへえ!」


 ゴツッ! と鈍い音が響く。

 男は猫が踏みつけられた時のような叫び声を上げて、まだ動けないでいる石丸刑事の上に覆いかぶさるようにして倒れこんだ。


「ぐへえ!」


 石丸刑事まで変な悲鳴を上げた。


 まだ斧を握っていたので、男の手の甲を錫杖で突く。骨を刺激された痛みに、男は呻き声を上げて斧を手放した。すかさず、廊下の隅に蹴り飛ばした。


「くけけけ…、ざまあ見やがれ」


 オレはどちらかと言えば悪の手先のような笑い声を上げて、男の上に馬乗りになった。


「ぐへえ!」


 何故か、石丸刑事の呻き声が響いた。

 かまわず、オレは男の首筋に、錫杖を鋭利な部分を突きつけて聞いた。


「おら、てめえらは何者だよ。このホテルの五階を隠してまで、何をしていた?」

「ま、まて…」


 男は手を上げて降参のポーズを取る。そして、顔面に装着した白い仮面に手を伸ばした。

 オレは男の一挙一動に細心の注意を払いながら、男が仮面を外すのを待った。


「わ、私だよ…」


 男が仮面を全て取り払う。仮面の奥には、眉が細く、目が小さい、ほうれい線がくっきりと浮いた、見た目四十歳ほどの男の顔があった。


「いや、誰だよ!」


 こんな男、見たことが無い。

 男は必死に訴えた。


「わ、私は、言われてやっただけで…、き、昨日だって、ずっと、部屋で見張りをしていて…」


 見張りだ? 言われたやっただ?


 その言葉の意味を、オレは理解できずにいた。


 すると、また、背後から男の声が聞こえた。



「何をしているんですか?」



 今度は、この男よりも少し声の質が重くに聞こえる。


 ヒュンッ! と、空気を裂く音。


「うわあ!」


 オレは頭を下げて、斧の刃を躱した。 


「なんだよ、もう!」


 振り返るとそこには、もう一人の、黒マント仮面男が立っていた。握っているのは、相変わらず片手斧。


「もう一人、いたのかよ!」


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