二人は親友
初投稿です!文章も短いですが宜しくお願いします。m(__)m
冬に向かい段々と寒くなっていく季節の変わり目、蟻達は冬に備えるため食料を集め、貯める。そんな忙しい季節の中一匹働いていない者がいた。今回はその者の日常の一部を覗いてみよう。
僕は蟻、名前はあまり使う機会がないが一応、ロス=テ=モールという名前がある。そんな僕は「家族が僕と弟しか居ないので自給自足する分には食料をそんなに集めなくていいじゃん」と思い至り、自分達の分の食料を早々と集め絶賛お休み中…という訳にもいかず、上様から姫様に貢ぐ食料を集めておけという指示を貰い「嫌だ〜」なんて思いながらどうするかソファーでダラダラしながら考えています。上様はいいよなぁ働かなくていいなんて…よし!わざわざ集めてくるの面倒だし親友に食料を貰いに行こう!
…着いた!ここがカマキリさんの家か…。一人暮らしなのにこの広さはおかしいだろっ!まあまあな木の幹ぐらいの広さがあるぞ!対して僕の家は…
ダメだ僕の精神のためにもこの家を長く見てはならない。
それで何しに来たんだっけ?…ああそうだ、食料を貰いに来たんだった。
―ピンポーン―
「誰だよ!せっかくあのブラック会社から有休を勝ち取ったから今日はダラダラして過ごそうと思ってたのに…」
扉の奥から親友の声が聞こえてくる。それは悪いことをした。まあ許してくれ、こっちも色々大変なんだ。
「カマキリさん、親友の僕だよ。ちょっと悪いけど扉を開けてくれないかな?」
「親友…?あっ!キリギリスさんか。声がよく聞こえなかったから分からなかったよ。少し待っていてね。」
ん?キリギリスさん?誰だそれ。親友の声を間違えるなんて心外だなぁ。まあいいや。
―ガチャ―
扉が開いた。僕はカマキリさんが何か言うのを待たずにカマキリさんの隣を素早く走り抜ける。幸い、スキル《潜伏》と長年磨いた暗殺術の応用でばれずに家の中に入ることができた。この家の間取りは既に調べてある。確か食料庫は玄関から入ってすぐ右、調理場の隣だったはずだ。よし、そこで食料を貰うことにしよう。
僕は食料庫に入り食料を探す。その時玄関の方からカマキリさんが
「なんだよ、またピンポンダッシュかよ!今週でもう二回目だぞ!」
なんて言っていたのが聞こえてきた。おそらく、この前家族の分の食料を貰いに来た時が一回目なのだろうがそんなことを気にしている暇は無い。早く食料を漁ってめぼしい物だけを持って帰らなければならない。何故ならカマキリさんは『有休を勝ち取った』とか言っていたが、実はカマキリさん今日は午後出勤であるからだ。可哀そうに…親友の行動はもちろん僕は熟知している。が、まさか親友が自分の事を知らないなんて、多分もうすぐ電話で…
『カマキリ、お前今から始まる会議に出席しろ。いい経験になるはずだ。』
「え?俺ですか、今日有休取りましたよね?」
『ん?それが何か関係あるか?いいか、必ず出席しろよ!』
「分かりました…今から会社へ向かいます。」
『おう。逃げずに早く来いよ。資料はもう用意してあるからな。』
ほら呼び出しだ。だが、流石に今からは予想外だ。早く漁らなければ。そうして食料の入った段ボールを一つ取ろうとする。が、その時手を滑らせ積み上げられていた段ボールを崩してしまう…そして無情にも響く大きな音。そしてその音はカマキリさんを…
「ん?なんだ今の音は、食料庫からか?」
食料庫へ誘導するのに十分な音でした。
『やばい!やばい!このままではアイツに見つかってしまう!』
心の中でいくら叫んでも状況は変わりません。なので僕は一度冷静になって念のため持ってきたナイフをジャケットの内ポケットから出し手に取りました。そして、それと同時に食料庫の扉が開きました。ああ、僕は遂に見つかってしまったのです。僕は腹を決めナイフを強く持ち直し、あいつを睨みつけました。アイツは僕の殺気にやられたのか、驚いて足がすくんだのか分かりませんが
「お前は一体、誰なんだ…?」
そう言い床に倒れこみました。僕はアイツが作った隙を見逃すほど弱い蟻ではありません。手に握っていたナイフをアイツの胸に思いっきり刺しました。
アイツは床を転がりを悶え苦しみました。何故か僕にはその光景がとても素晴らしいダンスの様に見えました。
「ぐっ…お前がっ、誰かは知らないが…地獄に落ち、やがれ!ぜっ、絶対に、呪ってやる、から、な…」
アイツはそれだけ言い残しこの世界から消えました。ああ、僕は今日起こった事、アイツが死ぬ姿を二度と忘れることはないでしょう…だって、
―あんなに楽しくて心を満たしてくれる遊びがあったなんて!―
ハジメテの殺しなんだから…
読んでいただきありがとうございます!
あまり投稿することはないと思いますが、また投稿するかもしれませんのでそのときはまたよろしくお願いします。