転入生
「明!あーきーらー!早く起きなさい!」
「ぐふっ!?」
早朝、ぐっすり寝ていたのにも関わらず、布団を上げられ、腹に衝撃が走った。
「いってえな!なにすんだ春菜!」
「ふん!さっさと起きないから悪いんでしょ?遅刻するわよ?」
俺の名前は原草 明。今年で高校2年生になる彼女無し友達少数の凡人だ。
そして、俺を蹴っ飛ばしたこの女が本居 春菜。俺の幼馴染だ。
「って、遅刻?今は春休みだろ?」
「何言ってんのよ...今日は入学式でしょ?」
「え...まじで?」
「まじよ。ほら、早く着替えなさい」
「へえへえ」
適当に返事を返し、着替え始める。
「ちょっと!私がいるのに着替え始めないでよ!」
「別にいいだろ?上半身くらい。まあ、どうせ下も着替えないといけないし、さっさと出ってくれ」
「何で私が悪いみたいな言い方なのよ!もともとあなたが寝坊したのが悪いんでしょ?!」
そう言って怒りながら俺の部屋を出ていった。
「...はよ着替えよ」
ーーーーーーーーーーーーーー
「あ!やっと下りてきた!ほら、早くいくわよ!」
「おい、俺まだ飯食ってねえんだが?」
「知らないわよ。食パンでもくわえてなさい。早くいかないと遅れるわよ」
「えー」
「えー、じゃない!ほら急ぐ!」
「あんたは俺のおかんか!」
「あんたのお母さんなら私を家に入れてすぐに出たわよ?」
「そんなどうでもいい情報はいらん!ほらいくぞ!」
変な漫才(?)をやっている間に準備を終わらせ、食パンを一枚くわえて家を出る。
「あ!ちょっと待ちなさいよー!」
後ろで春菜が叫んでいるが、どうせ追いつかれるので(言ってて悲しくなってきた)そのまま走り続ける。
「はあ、はあ、な、なんでおいていくのよ」
「ほうへほいふふはほ?」
「口にあるもん飲み込んでからしゃべりなさいよ」
「んぐ...どうせ追いつくだろ?」
「た、確かに追いつくけど」
「ほら、そんなくだらないこと言ってないでさっさと行かないと遅刻するぞ」
「そ、そうね(あれ?何で私が悪いみたいになってるの?)」
「「はあ、はあ、はあ」」
「あはは!二人ともギリギリだよ!」
学校に着くと、元気な(やかましい)声が聞こえてきた。
「明が今日学校って忘れてて寝てやがったのよ」
「わ、悪かったな。それよりお前は宿題ちゃんとやってきたんだろうな?蜜柑?」
こいつの名前が黄木 蜜柑。宿題忘れの常習犯だが、頭は良い。いつも元気なムードメーカーである。
「え?宿題なんて出てたっけ?」
「はぁ。まあ、知ってたけど、ちゃんとしてこないと留年するぞ?」
「そこは大丈夫!留年しない程度には出してるから!」
「なーんでそうゆう知恵は回るんかねぇ?」
ピーンポーンパーンポーン
「おーい、席につけよー」
チャイムが鳴り先生が入ってくる。
「さて、いきなりだが、今年から入ってくる転入生を紹介するぞー」
噂にすらなっていなかった転入生に一瞬で教室内がざわつきだす。
「あー、気持ちは分かるがちょっと黙れ。おい、入ってきていいぞ」
先生に言われ入ってきたのは、金髪の可愛い系の女の子だった。
「じゃ、自己紹介よろしく」
「はい。えーと、今年から転入してきた一 立花です!よろしくお願いします!」
「「...え!?」」