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1000文字短編

ある種族の分断

作者: をち武者
掲載日:2019/11/19

 僕らは色の違いなど気が付かなかった。

 僕には白い兄弟と黒い兄弟が居て、何にも変わりなく遊んでいた。



 ある日、人間がやって来て僕たちを色で呼び分けた。

 最初はそれだけの事だった。

 僕らはその違いを面白い遊びのように、それぞれを呼び分けたりして遊んでいた。


 すると今度は黒い王様がやって来て、色の黒い方が偉いと言った。

 黒い仲間は白い仲間と遊んではいけないと言われ、僕ら兄弟は分断された。

 最初は良く分からなかったけれど、徐々に黒い仲間は偉そうにして僕らを下に扱った。

 親と兄弟たちは変わらなかった、一緒に居る時は前と同じで居られた。



 次に白い王様がやって来て、今度は白い方が偉いと言った。

 僕たちは黒い連中が許せなくて、今度は僕らが彼らを蔑んだ。

 兄弟に対しては変わらなかったけれど、少し太った黒の兄弟にちょっとだけ意地悪をした。


 親は兄弟たちにどんな違いも認めなかった。

 だから僕は怒られた、それが当然だと思った僕は素直に謝った。



 急に人間の支配が終わった。

 僕らは自由になった。

 上も下もないと言われ、僕らはようやく解放され、そして同時に戸惑った。


 元に戻ればいい。そう言った仲間も居たけれど、そんな簡単にはいかなかった。

 僕らはそれぞれに裏切り、裏切られていた。

 そんな僕らに新しくやって来た人間は、差別などしてはいけないと言った。

 その通りだと僕らは思った。

 それでも元通りにはならなかった。


 白い仲間と黒い仲間は仲良く出来なくなっていた。

 兄弟も白い兄弟と黒い兄弟に少しずつ分かれていった。

 僕らは色の違いなど意識していなかった。

 でも、一度言われてしまうとその違いは決定的なものになってしまった。


 最初から僕らは違う生き物だったのだろうか、もうそれすら分からない。

 何が変わってしまったんだろう……?


 両親が死ぬと僕らを一緒だと言ってくれる存在は誰も居なくなった。

 兄弟は二つに分かれて、互いに連絡も取らなくなった。

 まるで最初から兄弟じゃなかったように、それぞれが違った親に育てられたかのように。



 ある日、森で少し太った兄弟に出会った。

 僕は「元気か?」と言った。太った兄弟は急に泣き出して、僕らはそのまま一緒に泣いた。

 しばらくすると僕らは何も言わずに分かれた。

 まるで最初から会わなかったかのように。


 そしてその後、二度と顔を会わす事はなかった。

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