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第1章 第8話 おっさんVS血まみれ処女神官

前回の選択肢は

④エレナとバトってからクエストを受ける♡

に決まりましたので、それに基づいてストーリーを進めます

「きゃぁあああああああああああ!♡素晴らしいご託宣だわぁ!!!」


 エレナは頬を紅潮させ、恍惚の表情で体をクネクネさせる。その溢れる色気とフェロモンに、クルツの父親のアランは顔を赤らめ、ぼうっとした表情で呆けてしまっていた。


「ぐっ……!」


 最悪だ。


 先ほど俺の脳裏に浮かんだ、『世界の選択肢』。


 その世界の進むべき分岐点を、エレナが『選定の神』に提示したのだ。


『選定の神』はエレナとの戦闘を選択し、それをお望みのようだ。


 しかも、俺がアランの代理を買って出ることは、強制クエストとして逃れられないように全ての選択肢に組み込まれてあった。ちくしょう!


 『世界の選択肢』を決定する『選定の神』にはどうやったって逆らえない。世界の運命の強制力が働き、逃れることは決してできないのだ。


 俺がここで逃げたところで、結局はどういう形であれエレナとは戦うことになるし、アランの代行を引き受けなきゃいけなくなる。


 こんなアホな真似ができるのは、人間では世界の深淵に触れた者たち、このエレナを含めた『イグナウス』のメンバーだけだ。


 とはいっても、当たり前だが、こんなマネをいつもできるわけではない。


 世界に好影響を与える行動として認められなければ、そもそも選定の神に選択肢を提示することさえできない……ってそんなことはどうでもいい!


「ハァハァ……さあ、トールちゃぁあん。早く闘りましょうぉ♡」


 赤銅の瞳を爛々と輝かせながら手をワキワキさせるエレナが迫って来る!


「ま、まて、こんなところでおっぱじめる気か?アランから詳しい話も聞いてないんだぞ?」


 俺はじりじりとエレナから距離を取る。アランは何を勘違いしているのか、慌ててクルツ少年の両眼を塞いでいた。これ、そんな色気のあるやり取りじゃないからな!?


「そんなの後でいいからぁ♡!」


 飢えたメスブタが辛抱堪らんと、ついに飛びかかって来る!


「ばかやろう!」


 俺は身を躱して部屋を飛び出すと、治療院の廊下を駆け始めた。


 廊下にいた、驚く神官たちの間をすり抜けつつ聖堂へと向かって必死に逃げる。


「まってぇ♡トールちゃぁん♡」


 おぞましい気配を感じて振り返ると、目にハートを宿したような発情した顔を見せるメスブタ神官長の姿が。


 お前、聖堂の中なのに何も隠す気ねーな!


 しかし、こんなところでは戦いたくない。いや、元々これっぽっちもこのサイコパス女と戦いたくなどないんだが。


 何はともあれ、ここからはぜひとも離れたい。


 俺はアミル聖堂の礼拝堂へと飛び込み、周囲に人がいないことを確認する。


「エレナ!色々面倒だから、ここから移動する!抵抗するなよ!?」


 俺は追いかけてきたエレナにそう叫び、すぐさま「モード」を切り替える。


 上級魔法を使うにはせめて「モード3」にしなければならない。本当にめんどくさい!


「行くぞエレナ!」


 俺はエレナに瞬時に駆け寄り、彼女を抱きすくめる。


「あんっ♡」


「ファストトラベル!」


 俺は、時空魔法における上級魔法を使用する。長距離瞬間移動の魔法だ。


 俺たちが光に包まれた一瞬の後、周囲の風景がガラリと変わった。


 そこは、ファナトリア第9未踏破領域近くの荒野だった。いくつか設定できる移動ポイントの一つで、便利だと思って設定した職場近くの場所だ。


 ファストトラベルは、異界特異点の影響下にあるダンジョンでは使えないが、移動ポイントさえ設定してしまえば地上を長距離移動する際には非常に重宝する魔法だ。


 だが、バカみたいに魔力を使う上、この魔法を使うために「モード」を変えなければならないので、滅多に使用しない。


 自分の能力を段階的に引き上げる「モード変換」は「アホ神」に与えられたチート能力の一つだが、物凄く燃費が悪い。


 使用したモードによっては、その後身動きできなくなることだってある。しかも精神的にも疲弊するようで、まるで終電に揺られながら帰宅している社畜時代の気分に浸ることができるというおまけまでついてくる。

 

 移動した先の周囲の風景を確認したエレナが、ニコリと微笑んだ。


「あらぁ、いい場所ね♡」


 エレナは笑みを浮かべたまま「ストレージ」と呟くと、空間に空いた黒い裂け目から、ぬっと巨大なメイスを取り出した。


 ストレージは時空魔法の中級魔法だ。自分の体重分、という制限はあるがあらゆるものを異空間に収納できるという便利な魔法だ。


「んふふふ♡これで、トールちゃんをメロメロにしてあげる♡」


 凶悪な刺付きメイス(モーニングスター)に頬ずりしてペロリと舐めるエレナ。


 勘弁してくれ。このマジキチサイコパス。







「ええぃ!♡」


 ドオン!


 エレナから振り下ろされたメイスの一撃が大地を叩き、土埃を巻き上げる。


 いきなりの先制攻撃。まとも食らえば即死は免れないだろう。


 こいつ、神官のくせに、後衛というよりも恐ろしいほどの膂力を武器にした前衛よりの戦い方をする。


 一度、この細腕でオーガキングの頭を握り潰していたのを見たことがある。恍惚の表情で。


 そんな脳筋ゴリラとまともに打ち合いたくない。


 俺は土埃に紛れて距離を取るが、それを突き抜けるように満面に笑みを浮かべたエレナがこちらに突撃してきて横殴りにメイスを振るってくる。


 鼻先ギリギリで辛うじてそれを躱すと、身体を低くしてエレナに足蹴りを放つが、彼女は素早くて後ろに軽やかに跳躍して難なくそれを躱す。


 エレナは地に降り立つと、ヒュンヒュンとメイスを軽く素振りしてニコリと笑った。


「ねぇトールちゃん。ストレージ使えるよね?武器はないのぉ?」


「女子供に武器なんか使えるかよ」


「やぁん紳士♡と、いうか自信過剰ねぇ。そんなこと言ってるとぉ……メタメタにしちゃう、ぞ♡」


 ドン!と地を蹴ってこちらに突進してくるエレナ。


 さあ、どうするか。


 女を殴るのは趣味じゃない。


 いっそ時空魔法でどこかに飛ばしてしまうか。


 でもこいつ、ここである程度ちゃんと相手しないと、欲求不満でまたすぐに襲い掛かってくる可能性が高いからなあ。


 欲求不満女の相手するのに、こんな命懸けで色気のないシチュエーションってあるか?


 とりあえずしばらく適当に攻撃をいなしながら対策を、などと考えていると、こちらへと迫ってくるエレナがポソリと何かを呟いたかと思うと、ふっとその姿が消え失せてしまった。


「!?」


 あ、まずい!


 俺はとっさに「モード4」に引き上げる。


 その瞬間、俺の背中にドンッと熱い衝撃が走った。


「ぐえっ!!!」


 衝撃と激痛に、思わず潰されたカエルのような声をもらしてしまう。


 そのまま弾き飛ばされ、勢いよく地面に激突してからゴロゴロと派手に転がるナイスミドル。


 体が止まった後も視界がぐるぐると回転して視点が定まらない。


「ウフフぅ♡まるで竜種の鱗を叩いたみたいな感覚♡いいわぁ、やっぱりトールちゃんはいいわぁ!」


 ふらふらになって倒れ込む俺の頭上から、変態神官の興奮した声が聞こえる。そして、そのまま俺のケツをぐりぐりと踏みつけてきて俺の動きを封じる。


「このまま、ね?一緒にイキましょう?♡」


 ドカン!と遠慮なく俺の背中に打ち付けられるメイス。


 痛てえ!


 俺は体を丸め、衝撃に耐える。


 これはダメだ。モード4では追いつかない。ダメージがデカすぎる。


「……モード5ッ!」


 俺は小さく呟く。


 ドン!ドカン!ドゴン!と派手なメイスの打撃音が荒野に響き渡る。


「……あらぁ?なんだか段々……」


 ボゴン!ボコ!ボコッ!


「……モード6」


 ドフッ!ドッ!


「ああ……♡トールちゃんがどんどん堅く……!?♡」


「モード7」


 ガッ!ガキン!ガキン!


「ああん!!!こんなに堅くて逞しいの……初めてッ!♡」


 嬉々として俺の背中を叩くマジキチ女のメイスの打撃音が硬質なものに変化していく。モード変換によって俺の防御力が増し、単純に硬度が増しているためだ。


 エレナの攻撃は凄まじいが、モードを7にまで引き上げた俺にはまるで通用しない。ここまでくると、衝撃は感じるが痛さは全く感じない。


「ほいっ、と」


 亀のように丸まっていた俺は、無造作に立ち上がる。


 エレナの方を振り返って、振り下ろされるメイスを片手で鷲掴みにした。


「あ、あらん?」


 得物を掴まれたエレナは慌てて「テレポート」と小さく呟く。すると、メイスを残してエレナの体が消え失せ、少し離れた場所に瞬時に移動した。


 テレポート。近距離の瞬間移動を実現する時空魔法における中級魔法だ。近接戦闘でも有用な魔法だが、魔力の消費がわりと激しいので、頻繁に使用できる魔法ではない。


「さっきのもやっぱりテレポートか。お前、派手な神聖魔法使って魔力はすっからかんになったんじゃなかったのかよ」


「わりと面倒なお仕事だったからぁ、ちょっと嘘ついちゃった♡」


 ペロリと舌を出すエレナ。さよけ。


……神聖魔法は強力な分、消費魔力が半端ない。


 あれだけの神聖魔法を使ってまだ余裕があるというのだから、やっぱりこの女は化け物だ。


 まあ、それはともかく。


「さあ、エレナ」


 俺はメイスをへし曲げ、無造作に地面に捨てた。それを見たエレナはびくっと体をすくませる。


「と、トールちゃん?」


「……モード7まで使っちまった。筋肉痛で体中バッキバキになるのは確定だ……それに見ろ、この姿。ボロボロじゃねーか。この落とし前どうつけてくれる?」


 俺はニヤリといやらしい笑みをわざと浮かべる。


「――さあ、次は俺の番だな」





トールの次の行動は?



①大人の度量で許してあげる

②エレナのお尻におしおきスパンキング

③エレナの服を溶かして荒野に放置

④おっさん、服を脱ぐ


以上の選択肢の中から一つを、作者のTwitter

https://twitter.com/ecchin_LN


のアンケート機能によって投票して下さい。

※YouTube投票は行いません


この選択肢の締め切りは2019年10月2日20時頃の予定です。


この時点で一番得票数が多い選択肢を「選定の神々」の意思であるとさせていただきます。

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