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第1章 第9話 変態の荒野行動

前回の選択肢は

③エレナの服を溶かして荒野に放置

が選択されましたので、この選択に基づいてストーリーを進めます

 ほっほう?


 なかなか面白い神の意思じゃあないか。


 俺は自分の頭を指でトントンと叩きながら、エレナに向かってニヤリと笑いかける。


「お前も頭に浮かんだだろ?世界の選択肢と、神さんがそれにどういう決定をしたかってことをさ」


「……まあねぇ♡」


 エレナは足を擦り合わせるようにモジモジしながら、俺の事を上目使いで見てきた。


「ねぇ……こんなところで裸にされてポイってされるのはさすがにイヤだからぁ……無駄な抵抗、しちゃってもいい?」


「ああ、別にいいぞ」


 俺もこいつも、それが無駄なことはよく知っている。でも、抗いたくなるのも分かるぞ。


 神の意思ってやつにはな。


「じゃあ……ごめんねトールちゃん♡わたしぃ――」


 エレナがニコリと笑う。


「本気で逃げるわねぇーーーーー!!」


 ダダダーッと、目にも止まらぬ勢いで、エレナが脱兎の如くこの場から逃走した。


「まあ、無駄だろうけどな」


 俺はあっという間に姿が見えなくなったエレナが逃げた方角へと、のんびりと歩き始めた。


 しばらく歩くと、前の方から激しい音が聞こえてくる。そのあたりでやたらと土煙が巻き上がっているのが見えた。


 近づくと、そこには群れをなしたエビルオックスの大群がいた。エビルオックスはウシ型の巨大な体躯と角を持ったモンスターだ。ここまでの規模の群れで見ることは珍しい。


 ちなみにあのウシ、硬くて食えたものじゃない、らしい。


 ブモォー!と鼻息荒く一様に興奮して暴れているのは、群れの真ん中で獅子奮迅の勢いで暴れまくっている一人のサイコパス神官のせいだ。


「うふふふふふふ♡こーんなにモンスターちゃんがいっぱい……♡もう最高ぉ!!♡」


 ハァハァと興奮したサイコパスは、手当たりしだいにエビルオックスを殴り飛ばしていた。


 文字通り、ちぎっては投げちぎっては投げ、といった様子で、あのエビルオックスの巨体が空中に何度も放り投げられている。


 デビルオックスは、凶暴で厄介なモンスターではあるんだが、これを見てると思わず同情したくなる。


 えらい奴に出くわしたな、と。


 さすがのエビルオックスも、凶悪なまでの変態神官の強さと、死屍累々といった状況になるにつけて、その闘争本能よりも生存本能を優先させて、やがて蜘蛛の子を散らすように一匹残らず逃げてしまった。


 後には白い神官服を血に染めた、興奮した様子のエレナ一人が残された。


血まみれ処女神官(ブラッディーメイデン)」の面目躍如だな。


「ふぅふぅ……あら?♡」


 頬を紅潮させたエレナが俺に気が付いて、ペロリと舌を出した。


「いけないわぁ!ついモンスターちゃんたちを見たら我慢できなくなって……♡じゃあねー!」


 踵を返して性懲りもなくまた逃走を始めるエレナだったが、しばらく走ったところで突然地面がボコリと陥没して彼女の姿が見えなくなってしまった。


 あ。あれ、グランドワームの罠じゃねえかな?


 グランドワームは地下に住むドラゴンの亜種で、こういった普通の地面を陥没しやすく掘っておいてそこに獲物を落とし込んで狩りをすることがある。


「やれやれ、と」


 俺はどっこらせと地面に座り込んだ。


 俺はパイプを取り出して葉を詰め、着火(イグニッション)の魔法で火をつける。


 紫煙をくゆらせながら、ぼんやりと空を見上げた。


 澄み渡る青い空の中を、綿菓子のような雲がゆっくりと流れていく。


「平和だねぇ~」


 のんびりとそのまま空を眺めていると、空に何か居ることに気が付いた。


 おや?雲の間を何か飛んでるな。あれは……。


 その時、ドオン!と大きな音がして、大量の土煙と共に地面から巨大な黄土色の蛇のようなモンスターが飛び出してきた。


 しかし、そのモンスターは暴れることなく地面の上にダラリと横たわってしまった。そいつは、案の定グランドワームだった。瀕死のようでピクピクと痙攣している。


 その巨体の下からモゾモゾと這い出して来るエレナ。


「ハァハァ……♡もうすっごい♡こんなの初めてぇ♡」


 変態神官長はグランドワームをボコボコにしてどうやらご満悦のようだ。


「おーい、エレナ。もっと楽しめるやつが来たぞー。がんばれよー」


「え?」


 俺の言葉にキョトンと呆けた顔をするエレナの全身に、大きな影が重なる。


「グオオオオオオオオオン!」


 エレナの頭上に、大きな両翼を広げた巨大モンスターが咆哮を上げた。


 ワイバーンだ。


 竜種でも中型で空中に特化したドラゴン。基本弱い個体しかいないダンジョン外のモンスターの中では、特に強い部類だといえるだろうな。もちろん、こんなところで出会うのは稀だ。


 翼と前脚が一体となっており、その尻尾は矢じりのように尖っていて、攻撃などに使われると非常に危険だ。


 さて、もうちょっと離れとくか。


「グオオオオオン!」


 さっそくワイバーンさん、その口から灼熱のブレスを放ってくれる。


 ああ、エレナの服、あいつのブレスで焼けなきゃいいなー。


 なんたって神の意思は「服を溶かす」ことなんだからな。


 それにしても、エレナのやつ、見た目だけはいいから、【変態エロ神官がワイバーンと戦ってみた】みたいなタイトルで動画作ったら動画サイトで結構再生数稼ぐんじゃねーかな。


 そんな取り留めのないことを考えてる中、目の前の怪獣大決戦は激しさを増していく。


 エレナはワイバーンの後ろ脚の鋭い爪や尻尾、それにブレスの攻撃を掻い潜りながら、いつの間にか手にしていた刺付きメイス(モーニングスター)で着実にワイバーンに傷を与えていった。


 そして、ワイバーンがブレスを放とうとする一瞬の膠着を見計らって、その背中へとテレポート。


 ドカン!


 そんな大きな打撃音がした後、ワイバーンはもんどりうつように空中でもがくと、ドシンと大きな音を立てて地面に落下してしまった。


 もうそれからはエレナの独壇場。


「あああああああああ♡!もう最高♡!!!」


 嬉々としてメイスをワイバーンに振るうマジキチ神官。そしてワイバーンがピクリともしなくなってから、顔をツヤツヤさせながらその背中から降りてきた。


「ハァハァ♡ねえトールちゃん。このプレイいいわぁ♡もっと続けましょう?♡」


 プレイじゃねーよ。


 エレナが俺から逃げようとしても、このように運命の強制力が働いて如何なる形であれ確実に足止めを食らう。神の意思からは逃れられない。まったく忌々しい。それを楽しむこいつもこいつだが。


「十分堪能しただろ。もうめんどくせえから、そろそろ終わらせるぞ」


 俺はその辺の石を拾い上げて、それに魔法を込める。


「バインドケージ」


 魔法名を唱えてから、その石をエレナの足元に放り投げた。


 その石はすぐにウゾウゾと蠢き、そこから黒い触手が一斉に飛び出してエレナの周囲を覆うように伸びていく。


 すぐに、その黒い触手はお互いに連結し合って、エレナを囲うような檻を形成した。


 変容魔法の上級魔法だ。この檻の中に閉じ込められた者は、一定時間の間、その能力を著しく減衰させる。もちろん魔法の類も使えない。


 この魔法の弱点は、外部からの強い衝撃には非常に弱いという点だ。だが……「水鉄砲」ぐらいならどうってことはないだろう。


「どうするつもりぃ?」


 訝しげなエレナに俺はニヤリと笑うと、「ストレージ」と呟いて、空間の切れ目から木製の道具を取り出す。


 筒と、その筒の中の液体を押し出すための棒がついた、いわゆるシリンジ式の水鉄砲だ。


「そ、それはぁ?」


「ただの水鉄砲だ。だが、中身がちょっとしたパーティー仕様でな」


 俺は、少しだけ棒を押し込み、中身の液体をぴゅっとエレナの神官服にかけた。


「あん♡」


 すると、服の液体が付いた部分から、シューっと白い煙を出しながら次第に溶け始めた。


「……ほら、いるだろう、鎧を溶かすなんとかってスライム。あれを薄めて加工して布製の服だけを溶かす溶液を開発したアホがいてな。それがタップリこの中に入っている」


 俺はぴゅぴゅっと四方八方から溶液をエレナの服にかけていく。立ち昇る白い煙。服が解けて白い肌が露わになっていく。


 ……いや、楽しんでない。俺は別に楽しんでないぞぉ……!


「っ、いやん♡」


 トロトロの溶液がエレナの全身を濡らす。


 やがて、その白い肌を隠す布地は綺麗さっぱり無くなってしまっていた。


 脚をぴたりと閉じて、両腕で掻き抱くように胸を隠そうとするエレナだったが、その大きな胸は隠しきれるものじゃない。


 その豊かな双丘が腕に押し上げられて返って煽情的だ。俺は伸びそうになる鼻の下をキュッと引き締める。


「……トールちゃんのエッチ」


「俺じゃない。神さんがスケベなんだ」


 俺はパイプを咥えなおし、その場を立ち去ろうと歩き始める。


「ど、どこにいくのぉ?」


「何言ってんだ。帰るに決まってんだろ」


「……本当に放置だけするのねぇ」


「じゃあなー」


「もうっ!トールちゃんのイジワルぅーーー!!」


 俺は鼻歌を歌いながら、ゆっくり歩いていく。


「……まあ、心配すんな。神さんの指示はここまでだ。助けは呼んでやるさ」


 俺は独りつぶやき、ファナトリア第9未踏破領域の入り口へと足を向けた。


 憐れなマジキチ処女神官は、紳士たるイカレ冒険者の皆様にレスキューしていただくとしよう。


 しばらく歩き続けて俺の職場であるダンジョン案内所まで辿り着くと、中の相談窓口や案内掲示板のあたりでたむろしている大勢の冒険者たちに大声で声をかけた。


「おーい、お前ら!あっちの方角に檻に閉じ込められた裸の金髪美女がいるぞー。助けてやれー」





   ◆◇◇◆





「トール!いつまで寝てんだい!あんたに客だよ!」


 朝っぱらから口やかましいババアの声が俺の寝起きの脳髄に突き刺さる。


 俺の布団を乱暴にめくり上げるお節介ババアは、俺が間借りしている酒場の隠居のココロ婆さんだ。何かと世話になってはいるが、とにかく口うるさい。


「客~?誰だよこんな朝っぱらから」


 昨日の激しいモード変換のあおりで全身が筋肉痛状態の俺は起き上がるのも億劫だ。適当に用件だけ聞いて帰ってもらってくれ、と言う俺の頭をココロ婆さんが引っぱたく。


「もう皆働きに出る頃だよ!ここ数日仕事もせずダラダラダラダラ過ごしてまったく!客の相手ぐらいしっかりしな!」


 と言って、俺をベッドから引きずり下ろすココロ婆さん。今日はマジでつらいんだよ……勘弁してくれよ。


「あの、都合が悪ければもう少し後ででも」


 落ち着いた調子の女の声が部屋の入り口から聞こえてきた。客ってのは女か。


「いいよいいよ。ほら、トール。しゃんとしな!」


 バンッと背中を叩かれた俺は、部屋の床に胡坐をかきながら、入り口に立つ客を見上げた。


 そこにはアミルの神官服を着たショートボブの黒髪の女が立っていた。童顔だが、キリリと引き締まった表情をした真面目そうな娘だ。


「トール様。私はアミル神殿に仕えておりますニナと申します」


 そう言って、慇懃に頭を下げるニナ。


「本日は、エレナ様よりの伝言を仰せつかってまいりました。まずはこちらを」


 そう言ってニナは俺に一通の封書を手渡してくる。大仰に封蝋までしてやがる。


 俺は封蝋を割り、中の手紙を取り出して目を通す。


 ――愛しのトールちゃんへ♡


 例のアランさんの「七光の雫」のクエストの件、詳細をここに書いておくわね♡


 クエストの内容は、希少アイテム『七光の雫』の採取。


 クエストの発注者は金融業者のガスト・ウィロック。


 クエストの代表請負人はケティ・バークレー。


 ダンジョン攻略パーティーの人員はトールちゃんを含めて6名。全員が戦の神ファーレの認定レベル25以上。


 七光の雫の採取場所に関する情報は、7層で採れるということ以外はケティ・バークレーにしか伝えられていない秘匿事項だそうよ。


 成功報酬として、ガストに対する借金の現在の利息の免除と、元金の三分の一を減免することが書面で契約されているわ♡


 さらに詳しい情報は、直接代表請負人のケティ・バークレーさんに聞いてねぇ。


 追伸♡


 昨日はたくさんの素敵な冒険者の人たちを助けに呼んでくれてありがとう♡


 ……このお礼は必ずさせてもらうわねぇ。


 じゃあ、またね♡――


 ……手紙の最後にはキスマークが。


 ハァ。


「……大体は分かった。ニナ、とかいったか。出発日時が書いてないようだが、何か聞いているか?」


「はい。本日です」


「……は?」


「だから、本日、ただ今、これからです」


「……」


 ふざけんな。


「……いきなりすぎて何の準備もしてないんだが?」


「すぐにご準備を。私も採取には同行いたしますので、お手伝いが必要ならばなんなりと」


「……なんでお前さんが付いてくる」


「無論、私もパーティーの一員だからですが」


 お前も借金してるのかよ。


「そして、エレナ様よりの伝言です。『強制クエスト楽しんでね♡プププ』だそうです」


 あのやろう!


「こっちは代理で何の報酬もねえんだぞ……!絶対見返り要求してやるからな……!」


 ……ホントに死ぬほどめんどくさいが……どうせ抗ってもダンジョンに潜る羽目になる。


 とりあえず、どうするか――




①ニナと真面目に準備する

②とりあえず二度寝する

③ニナに目覚めのビンタを要求

④おっさん、服を脱ぐ




以上の選択肢の中から一つを、作者のTwitter

https://twitter.com/ecchin_LN

の、当該話数のアンケート機能によって投票して下さい。


↓↓↓下のリンクから作者Twitterに飛ぶことができます↓↓↓


この選択肢の締め切りは2019年10月7日20時頃を予定しております。


この時点で一番得票数が多い選択肢を「選定の神々」の意思であるとさせていただきます。

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