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仮題名:スラム街の英雄  作者: 初任者
第1章ー青い旗ー
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第1章第1話ーその青年ー

友達に『王道が読みたい』と言われたので書いてみました。続くかは不明ですがよろしくお願い致します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

第1章

ー青い旗ー

第1話

ーその青年ー

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ーーー赤子の頃より以前の記憶がある。

ーーーそれは世に言うところの前世の記憶だった。

ーーー幸せな、平和な国日本で生きていた記憶。

ーーー毎日が平和というぬるま湯に浸かっていた。

ーーー学生として勉学に勤しんでいた"俺"という記憶。

ーーー戻れるなら戻りたいあの場所。

ーーーもう今は、戻ることのできない場所だ。



*********

○【緑陽公王国りょくようこうおうこく】○

○【辺境都市:ノヴァーヴァ】○



辺境の都市ノヴァーヴァは、別名【見捨てられた土地】とも呼ばれる場所だ。


かつて起きた大戦で周辺国から流れ込んだ難民や犯罪者、無法者、反社会的勢力、戦争孤児などが流れ着いたそこは、今や無法地帯と化していた。


暴力と金が物を言う世界。それが今のノヴァーヴァであった。



「(本当に最悪な街だ)」



ゴミが散乱した道を、ボロボロの服を着た俺は歩きながら心の中で呟く。



「(前世の祖国(日本)とはまるで似ても似つかない)」



いや、もしかしたら俺が知らないだけだったかもしれないが、ここまで酷くは無かったろう。というよりも、下手すれば前世の世界(地球)で世界一治安の悪いと言われている国よりも治安が悪いかもしれない。



「(クソ、なんて場所に生まれ変わっちまったんだ)」



ーーー俺こと孤児の【ベック(苗字なんてものはない)】12歳青年は、生まれる前の記憶を持って新たな生を受けた。そう、世に言うところの"転生者"と言うやつだ。


前の人生で死んだのはまあテンプレ乙とでも言うべきか、トラックに轢かれたのだが、別に神の御前に立った訳でも、加護を得た訳でもない。気付いたらこの世界に転生していたのだ。



「(せめて、貴族とか………普通の平民にしてくれればよかったのに)」



記憶を持ってなかった方が幸せに暮らせたかもしれないが、持っているものは仕方なかった。



「お、ベックじゃないか」



ドン‼︎と背中を叩かれる。



「………【レイフ】か」



少しよろけながら背後を見ると、この街の人間にしては綺麗な、そして上質な服を着た金髪の若い女が右手を挙げていた。



「どうしたんだ?こんな所で?」

「いや、帰る途中だ」



ーーー【ミュウ・レイフ】。この街の3分の1を実質的に支配しているマフィア組織【レイフ・ファミリア】の若き頭領だ。



「ならこの後食事(パスト)でもどうだい?是非その綺麗な赤髪と黒髪を眺めながらワインでも飲みたいところなんだが?」

「っ………‼︎」



レイフが俺の髪の毛右半分の赤髪の部分を愛おしそうに撫でる。


俺の髪は左右で色が違う。片方はまるで血に濡れたようだと言いそうになるほど赤い赤髪髪、片方は日本人のように漆黒の黒髪だ。


なお、この世界においてもこのような髪の毛が地毛なのは珍しいらしい。



「………触らないでくれ」

「おっと、これは失礼。私の愛らしい少年(バンビーノ)



レイフが手を離しながらもニヤニヤと笑みを浮かべる。



「それで、どうだい?私のお誘いには答えてくれるかな?」

「答えは嫌だだ」

「おやおや、私の少年(バンビーノ)は本日はご機嫌斜めのようだ」



俺はその場を離れるために歩き始める。



「まあ、待ってよ少年(バンビーノ)。この前の話の続きも聞きたいんだよ」

「………なんでそんな話を」



俺は足を止めて振り返る。



「君には是非僕らレイフ・ファミリアに入って欲しいんだ。幹部待遇は流石に無理だけど、小頭くらいにはできるよ?」

「俺はただの孤児のガキだぞ」

「まさか‼︎その計算能力は評価に値するよ‼︎」



思わずチッと舌打ちしてしまう。こいつの目の前で暗算で計算してしまったのが運の尽きだった。気付いたらこうやって付きまとわれる羽目に陥った。正しく俺の失策だ。


この都市じゃあ、暗算で掛け算割り算などの計算できる人間は限られている。ってか、俺は見たことがない。つまり、俺のような人間はこの都市では中々稀で有益な人材であるのだ。



「それに私の元に来れば君の妹もひもじい思いをしなくて済むよ?」

「っーーー⁉︎」



俺は思わず下を向く。確かに、俺の双子の妹には自由に生きて欲しい。


すでに俺は前世の分生きているし、あの平和な世界(日本)で十分娯楽を楽しんだが、妹はこのくそったれな世界に生まれて幸せや楽しみなんぞに触れる暇なく、生きることに精一杯だ。


ーーーしかし、こいつが何故妹の事を知っている?



「君の事はしっかりと、じっくりと調べたからね?さあ、頭のいい私の少年(バンビーノ)なら、どうすればいいか分かるね?」



レイフが両肩に手を置く。



「………分かった」

「頭のいい子は大好きだよ。私の愛しい少年(バンビーノ)?」



レイフが指を鳴らすと人ごみの奥から何人かのガタイのいい女性が現れる。



「君の妹の迎えは向かわせてるから、あとは君が来るだけだよ?」

「準備万端って訳、か」

「私は事前準備は手を抜かないんだよ」



レイフがふふんと鼻を鳴らす。



「じゃ、最初の命令だ。私と食事(パスト)に行こう。もちろん君の妹同席で構わないよ」

「………了解」



こうして、俺は不承不承ながらマフィアの一員となった。



☆☆☆☆☆☆☆☆

○とある歴史教師side○

☆☆☆☆☆☆☆☆



今日は蒼暦(そうれき)1258年に没した【青い革命者】の異名を持ち、壮絶な人生を送った【ベック・フォン・ツィーア】について話していきたいと思う。


彼は1194年に生まれ、早くに父親を失い。スラム街で双子の妹と共に生きていた。


そして1206年頃に当時スラム街で大きな勢力を誇っていたマフィア組織レイフ・ファミリアに所属した。


レイフ・ファミリアは当時かなりの勢力を誇っていたと思われるが、スラム街でありその頃の記録は2028年現在まで確認できていない。何とか資料となっているのは破損が激しかったレイフ・ファミリアのボスであるミュウ・レイフの日記だけであった。


さて、話を戻すが………レイフ・ファミリアに所属したベックはその才能を発揮したとされている。


当時、ベックはこう呼ばれていたという。



ーーー【レイフの少年(バンビーノ)】と。


☆☆☆☆☆☆☆☆

○とある歴史教師sideEND○

☆☆☆☆☆☆☆☆


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エンド

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