邂逅
「ふぅ…処置は終わらせたから後は目覚めるのを待つのみ、かな」
「それにしても誰がご主人をあんな目に合わせたのか、気になるねぇ…」
「必ずぼくが探し出して始末しなきゃね…」
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眩しいし、暖かい、風の音も聞こえる。
どうやら俺はまだ生きているようだ。
目を開けて周囲の状況を確認する。
真っ先に目に入ってきたのは、長い黒髪で少しタレ目気味な、紫色の瞳をした美少女だった。
「おはよう、ご主人」
微笑みながら彼女は話しかけてくる。味方なのだろうか。
「君のような子にご主人と呼ばれる心当たりはないんだが…」
「そうかな?もっと深く考えてみなよ、心当たりはきっとあるはずだ」
心当たりと言われても思いつかない。ご主人と呼ばれるとしたら、昔俺を庇って死んでしまった使い魔ぐらい……いや、まさかな…。
「君、名前は?」
「ガロア、ご主人が付けてくれた名前だね」
ガロア…確かにその使い魔の名前と同じだし、俺が付けた名だが……仮に本物だとしたら何故生きているんだ…?
「おや?信じかけてきてるようだね」
「ならもう一押し、君のために『生き返った原因』を簡単に教えようじゃないか」
自分が死んだ事を認識している……?
まさか、まさか本当に奴だって言うのか?
「僕が死神デザイアに倒されて、天界に行って修行したら、生と死の境目を容易に乗り越えられるほど強くなっちゃいましたーって感じだね」
「……わかった、ツッコミどころ満載なのはこの際どうでもいい」
「おおっ!ご主人ついに分かってくれたのかい!?」
「ああ、お前は俺の死んだはずの使い魔『ガロア』なんだろ?」
「正解正解大正解!さっすがぼくのご主人!理解が早いね!よしよし褒めてあげよう」
ガロアは僕を抱き寄せ、頭をわしゃわしゃと撫でてくる。正直この年だと恥ずかしいからやめて欲しい。あと柔らかいしいいにほひ。
「だが、俺の知ってるガロアはもう少し小さな、ワーウルフみたいな感じだったんだが……それについてはどう説明するんだ?」
「んーっとねぇ、強くなるためと君の子を産むため、かな」
「魔力はたっぷりあるからこの程度は魔術で一瞬だよぉ…」
正直、頭が追いついてこない。味方に集団リンチを受けてからが急展開過ぎて追いついてこない。
まあでも、今は頼れるものがない。
藁にすら縋らなければ、ダメだろう。
あまりにも現実的ではないがこんな事もあると、自分を納得させよう。そうしよう。
「なるほどあいわかった、つまりお前はガロア…なんだな」
「そうだね、また君と逢う事が出来て本当に嬉しいよ」
「次は僕からの質問いいかな?」
「何だ?」
「ご主人ボロボロだったけど、何かあったの?」