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おわりとはじまり
「いやはや、どうしてこんな事になってしまったのだか……」
心做しか打ち付ける雨がいつにも増して冷たい。
そして体温が奪われているのか震えも止まらない。
どこかで雨宿りができればいいが、生憎そんな力も残っちゃいない。
チェスや将棋で言うところの所謂詰みにハマってしまったようだ。
そもそもどうしてこうなったと、事の顛末を端的に語ればそれはついさっき数時間前、味方からの集団リンチにあった、という訳だ。
……今この事を考えるのはよそう、段々心が辛くなって来て、泣きそうだ。
さて、そろそろ僕の意識も薄くなってきた。
「ご主人!」
「どうしてそんな所で君は寝てるんだい!?」
ご主人……?僕の使い魔は随分と昔に逝ってしまった筈だけどなぁ……
でも、もう……おやすみだ。
「寝るにはもっといい所があるじゃないか!」
ちょっと静かにしててくれ。