「っ!?」って変だよね?
キャラクターが何かに驚いたシーンでよく見る台詞。
「っ!?」
うん、なるほど。焦っていることがなんとなく分かる文章だなと思う。
しかし、私はこれが嫌いだ。以下にその理由を挙げていこうと思う。
①曖昧な表現だ
私は焦っていることが伝わってくると上で書いた。
けれど、実際にこの「っ」は焦っているのだろうか?
実際は言葉に詰まっているのでは?
驚愕に目を見開いて動けないのでは?
焦燥に駆られているのか、苦々しそうに言葉に詰まっているのか、それとも驚愕して動けないのか。
とてもとても曖昧で、もやっとした表現である。
もちろん、実際には前後の文章を読めばなんとなくは理解できるだろう。
だがそれは『なんとなく』であり、曖昧な情景しか浮かんでこないことに変わりはないのだ。
それならば、思わず声を上げてしまうとか、喉を鳴らすとか、呼吸を止めてしまったとか。もっと適切で、ありありと情景が浮かんでくる表現はあるだろうと思う。
②そんなリアクションしない
人間というのは、驚いたときや焦っているときにどういうリアクションをとるだろうか。
普通は声が漏れたり、舌打ちをしたりしないだろうか?
少なくとも、私は今までの人生の中で「っ!」などという言葉にならない声の様な何かを口にしたことは無いように思う。
するとすれば、それは何かを言い返すのを我慢するような状況しか考えられないのだ。
何故なら人間は驚いたとき、思わず息を吸ってしまう生き物だろう。
息を止めるのはその後の段階でなければおかしいと思うのだ。
③格好付けてる暇あるの?
要するに、「っ」というのは人間が普段取り得ることのない挙動である。
それでいてスピーディーで、なんとなく格好いい息づかいに見えるだろう。
しかしよく考えて欲しい。
敵が襲ってきたり、味方に被害が出そうな状況において、そんな格好付けた奴を見たいだろうか。
これは好き嫌いの話になってしまうが、そんな人物を、私はどうしても格好いいとは思えない。
優先事項をほっぽり投げて格好付けてる奴ほど信用ならない人物はいないと思うのだ。
もちろん、それが火急の事態でなければ許容範囲内ではあろう。
だが、だいたい「っ」を使う場面は忙しい場面、というか戦闘中である。
それはそれは忙しい場面であり、そんなシーンで「っ」とか言うキャラクターを見るたびに、思うのだ。
もっと真面目にやれ、と。
④しょっちゅう息を詰まらせて、逆に格好悪い
これはとても簡単な理屈である。
小説内で使いすぎている場合、そのキャラクターは何かあれば息を詰まらせるのだ。
想像してみて欲しい。主人公で強くて女の子にもててるキャラクターが、しょっちゅう息を詰まらせて体をこわばらせているのを。
ギャグシーン以外の何物でもないだろう。
⑤表現の逃げ
詰まるところ、この「っ」という表現は安易なのだ。
①で書いたように曖昧で読者にそれっぽく見せることが出来、様々なシーンで使用することが出来る。
困ったときの幅広表現という訳だ。
この表現方法に疑問を持たない読者は雰囲気に飲まれているから勝手に解釈をしてくれる。
なんと便利極まりなく、卑怯な表現方法なのかと私は常々思う。
⑥簡略化の可能性
最後は与太話だ。
「っ」というのは「くっ」とか「ちっ」とか、そういったものを簡略化したものであるという可能性も考えられる。
どちらも口から小さな音を発生させる行為であるし、使用する場面はおおよそ一緒だ。
困ることと言えば、息を詰まらせた時の表現方法と同じになってしまうと言うことだが、まぁ状況に合わせて前後の文章で説明すればいいのだから、些細な問題であろう。
ぶっちゃけた話、読者がなんとなく納得してくれれば、読み続けてはくれる。
こんな一つの表現方法なんて、時代の流れでどうでもよくなっていくんじゃないかという希望的観測が、この表現方法を流行らせたんじゃないかと私は思う。
息を詰まらせる方の「っ」からすれば、なんて迷惑な話なんだ。
簡略化した奴らのせいで、本来わかりやすかった表現方法がわかりにくくなってしまったではないか、許すまじ!
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さて、まぁ色々と書きはしたが、要するに私はこの表現方法が嫌いなのだ。
こうしてエッセイを書いていて、それを再確認できた。
だって変だもの。
変に見える。
変に違いない。
変だ。
変。
変 だ よ ね ?
以上、「っ!?」否定派の意見でした。
ずーーーーっとモヤモヤしていたので、書いてみました。
ある種のストレス発散と言えなくもないです。
尚、異論は認める。
2018/04/27:文章の修正と、感想をログイン制限無しに変更しました。
またやってしまった……;