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まさかの!

2010年1月と2月のイギリスは、寒波に襲われ大雪が降った。


カナルの水は完全に凍ってしまい、その氷の上をカモやリスなどが歩いていた。

辺りは白一面で空気が澄み、毎日「おとぎ話の中にいるというのは、こんな気分なのか」と思うぐらいに美しい景色を見ることができた。


その反面で、わたしたちのボートはどこにも移動できなくなり、トイレの汲み取りや水の補給に行けなくなった。でもラッキーなことに、働いている施設にシャワー室があったので、そこでしのぐことができた。


わたしは出勤数が週3日に減り、少し自分の時間ができた。

そう思った途端、すごいことに気がついた。


毎月、周期的に来るはずのものが来ていないのではないか?

一体何日遅れてるのだろう...... ?


妊婦のことなど忘れようと年越しに誓ってから、本当にどうでもいいぐらいに忘れていて、手帳にもカレンダーにも何も書いてなかったのだ。

でも、明らかに2ヶ月近くは遅れている。


わたしは焦った。

どうしよう!どうしよう!


慌てて旦那に言った。

「あたし、40代に入る前に生理上がっちゃったみたい!」

旦那が「まさか!」と言う顔をしながら、「妊娠検査薬で見てみたのか?」と聞くので、わたしは「そんなものは持っていない」と答えた。

しかも、翌日購入しようという旦那に、わたしは「お金の無駄使いだからやめよう」とまで言った。


それでも、そう言われると気になる。


翌日、旦那が仕事に出かけるのと一緒に、わたしはスーパーに出向いて検査薬を買った。


その後すぐに職場から旦那が電話をかけてきて「検査したのか?」と聞くので、わたしは旦那が帰って来るまで待つと言った。

一旦電話は切ったものの、5分後に旦那がまた電話をかけてきて、「仕事が手につかないから、やっぱり今のうちに検査してみてくれ」と言う。


「仕事が手につくもつかないも、毎日暇でスタッフとお茶しながら喋ってばっかりじゃん」と思ったが、よっぽど気になるのだろう。

わたしは検査薬を使うことにした。


すると、なんと!

わっ!でた!陽性!


わたしはあまりにも驚いて、「で、出たー!!」と、一人で悲鳴をあげてしまった。

そして何度も説明書を読み直す。

間違えはなさそうだ。


急いで旦那に電話して「陽性だった」と言うと、旦那も「うわ、うわ、あう、あう...... 」などと呪文のような言葉を発して、「早めに帰る!」と言って電話を切った。


その頃旦那は、ちょうど自分とスタッフ用にコーヒーを入れていて、その途中でわたしから電話がかかってきて陽性反応が出たと聞かされたので、心底同様し手が震え、トレーに入れて運んでいたコーヒーがスタッフの前に出された時には半分以上溢れていたそうな......


と言うことで、結婚5年目にしてわたしは妊娠した。


はたと気がつくと、タバコを吸い始め、葉酸を飲むのを止め、正月3日間好きなだけ飲んでジャンクフードばかり食べて過ごした。まさかこんなタイミングで妊娠するとは......


後悔するより行動だと、また健康的な生活に戻った。

今からでも間に合う。

間に合うのか?

嬉しさと、動揺と、不安と、そして、喜びが一気にやってきた。

今でも忘れられない特別な1日だった。


ちなみに、旦那はその日仕事を早めに終わらせて急いで帰宅する途中で、ポンコツ車が突然止まり、ロードサービスを呼んで結構な金額を請求され、夜中近くに帰って来た。

そしてお祝いだとワインを買って来たのに、「妊娠中だから飲まない」とわたしに断られ、しょんぼりとしていた。


物事はいつも思うように進まないものだ。

また色々なハプニングが起きてドタバタしそうな予感がした。

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