表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/96

水 節約術

ボート生活が始まってから、金銭面もそうだが、陸で暮らしていた時は気が付きもしなかった問題に直面した。


1番の問題は水。

ボート生活では水がとても貴重なものだ。

たとえば、パーマネントモーリングと言って、土地付きでボートに住んでいる人達は、陸に水道の蛇口や電気のプラグがあったりして、それをボートに繋いで、家にいるように水も電気も使える。

でも、この土地付きボート生活は、わたしたちにとっては非常に高貴なボート生活だ。

場所を借りるか買うかすると、陸に住むのと同じで自動的に地方税がついてくる。

ボートを所有するとライセンスは絶対に払わなければいけない。

それにもちろん電気、水道代も払う。

場所にもよるのだが、この停滞スペースは、購入したら家を買うぐらいの値段のところもあるし、借りてもアパートを借りるのと変わらない値段だったりする。

もちろんピンキリだが、安い場所だと、田舎だったり不便だったり危険な場所だったりする。

そして何より、ボートの数にたいして、このスペースが非常に少ないのだ。


ボートを買ってすぐ、わたしはこのスペースを探し回った。

ほとんどが土地をボート付きで売りに出していて、絶対に手が出ないというか、ローンも組めないような値段だった。

水道や電気のシステムが付いてないような場所は、ほとんどボートのみを停滞させることはできるが、人が住んではいけないという条件のものばかり。

電話しまくって、ほとんどの場所で10年、20年待ちだろうと言われた。


なので、わたしたちはいつも移動し続ける生活を送らなければならないのだ。


ほとんどは水の補給場所から離れた場所だった。

というか、水を補給したりトイレを汲み取る場所が少ないというか、異常に離れていて、すごく不便なのだ。


わたしたちのボートはタンクが比較的大きくて、5ガロン水を入れることができる。

5ガロンと言ったら22,700リットル、って言ってもわかりづらい......

だいたい大人二人で普通に食器を洗ったり毎日シャワーを浴びたら、1週間ぐらいでなくなってしまう量だ。

それを1ヶ月で使うのには、かなりの節約技が必要さった。


わたしは日本人として生まれ、日本で平凡に育ち、友達関係や恋愛、仕事などで悩んだりしたが、水が無くて辛い思いをしたことは一度もなかった。

今までの苦悩など、大人が子供の悩みを笑うようなものだ。


とりあえず、これから先、特に役にも立たないかもしれない水の節約術を学んだ。


まず、旦那は週に1、2回、わたしは2日おきに流し洗い厳禁でシャワーを浴びる。


食器は流し洗いなど絶対にできないので、食器についた泡を流すたびに一回一回水を止める。

右手で蛇口を押さえながら、左手に持っている食器をさっと流して、すぐに止めるという早業だ。

イギリスにいると、一般家庭でイギリス式食器の洗い方を目にする。

シンクに食器用洗剤を垂らして熱湯を注ぎ、食器用泡風呂を作る。

それに食器を全部浸して、その中で食器を一枚づつスポンジやらで擦って、流さないままラックに上げる。

もちろん食器に、泡はたっぷりついたままだ。

それを乾いたクロスで拭いて棚に戻すのだ。

確かに水は節約できるが、泡がついたままとか、なんとなく嫌なので、わたしは水道蛇口早止めの技を使っていた。


水節約術、それから、手はできるだけまとめて洗うようにする。

帰って来たら手を洗わずまずトイレ掃除、床掃除など、できることをやってしまってから手を洗う。


料理もできるだけ鍋一つとか、フライパン使い回しなどする。


 

そして、洗濯機がないので洗濯はもちろんコインランドリー。

今までシーツやタオル類はマメに洗っていたのに、それすらできない。

コインランドリーも結構高いのだ。

なので、まとめ洗いできるように洋服は黒やグレーなど、同じような色の服を着る。


ちなみにシャワーなどのお湯はガスを使っていた。

まずはサーモスタットとボイラーのスイッチを入れる。

わたし、この仕組みがよく分からなくて、旦那もナゼだろうと言うのだが、とにかくこのスイッチを全部作動させないとお湯はできない。

もしも、一つでも付け忘れたら、ムダに時間と電力またはガスを消費させることになるのだ。


ついでにエンジンでもお湯が作れる。

そのときは、エンジンを付ける作業だけでいい。


シャワー室は、大人が一人立ってギリギリという狭さだ。

旦那は、わたしよりも一回り大きい。

彼は七年間のボート生活で、毎回シャワーを浴びるたびに、肘や膝、頭などをぶつけていた。

いつも「あおっ!あおっ!」と言う声がシャワー室から聞こえてくるたびに、「いい加減、慣れたらいいのに...... 」と、わたしは思っていた。


ちなみに、お湯の温度も、急に冷たくなったり熱くなったりするので、そんなときは、わたしも 「あちー!!」と、騒いでいたが......


ボートによってはもちろん、バスタブがあったりマンション並みのシャワー室があったりする。

うちのボートは庶民価格のボート ( 庶民以下? ) だったので、自慢できるようなものではなかったが、それでもシャワーがあっただけ良かったのだと思う。


水、節約術......

はっきり言って、これを伝授されたからと言って、誰の役にも立たないと思うが......



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ