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無駄遣いしない工夫

コミュニティに落ち着いてからボート生活のリズムも整ってきた。


わたしは郵便のことが気がかりだったので、そろそろなんとかする時期だろうと思った。


実はその時、住所はまだ前のフラットに置いたままだったのだ。

ラッキーなことに、管理人がいい人だったので、しばらく郵便物を預かってもらって、週に一度のペースで回収しに行っていた。

でも、ボートから電車で1時間半ほど離れた場所だったので、回収しに行くのも大変になってきたし、大家がいくらいい人でも、いつまでもそこに住所を置いておくわけにはいかなかった。


ボート仲間たちに聞くと、両親や兄弟の家が近い人は、郵便物がそこに届くようになっていたり、彼女の家だったり、職場を使っていたりした。


その中で何人かは、メールボックスなるものを使っていた。

私書箱だ。

半年払い、1年、3年払いがある。

利用期間が長いとその分割引がつく。いつも思うことだが、貧乏人が損をするシステムだ。


旦那は、ボートがあるところから一番近い街にある私書箱を借りる、と言ったが、わたしは旦那かわたしの職場に近い方がいいと提案した。

ロンドンのカナルに移動したら、そっちの方が便利がいいからだ。

でも、旦那は大きい郵便物が届いたら、運んで来るのが大変なので、ボートから近い方がいいと言った。

確かに、これから購入予定に入っているものは、発電機やバッテリーなど、電車とバスを乗り継いで持って来るのにはムリがあるものばかりだ。


考えた末、ボートから一番近い私書箱を借り、半年コースを利用することにした。

これで自動的にカナルに移動する夢は、半年遠のいたと思われた。


半年分と言っても、それなりの利用料金なので、銀行をマイナス以下にしてしまった旦那は払いきれず、わたしが払うことになった。

旦那は次の半年分を払うと言う。

半年分ではなく、1年分払うと言って欲しかった......


旦那は、銀行残高マイナスの状況から抜け出せないので、ついにわたしに彼のキャッシュカードを託した。

無駄使いしない彼なりの方法だと言うが、あまり意味がないように思えた。

彼が必要なときだけ、わたしからカードを受け取ってお金を下ろしに行くのだが、必要なときが多すぎるのだ。

理由も、昨日Wがビール代を出したので、今日は自分が買う番だとか、Wが前回発電機の灯油代を出したから、次は自分たちの番だとか......


はっきり言ってわたし、全然旦那の金銭管理者になっていない......

旦那が仲間たちに迷惑をかけてはいけないと思い、ついつい彼にカードを渡してしまうのだから......


ということで、昔ある雑誌で見た方法を思い出した。

その月に使う分だけを下ろして、封筒に分けて使うのだ。

食費代の封筒。生活用品の封筒。ガスや灯油代の封筒。交通費の封筒。コインランドリーの封筒。

そして娯楽、交際費の封筒。

使ってしまったらそれまで。次の月まで待つしかない。

残ったら、それを少しだが貯金に回す。

これで金銭感覚が、少しはマシになりそうだ。


旦那も、なんだか言われた通りに封筒から必要な分を取り出して、お釣りはちゃんと戻してくれていた。

どれぐらい続くかは微妙だが......


少しでも貯金しておかないと、これから必要なものはたくさんあるのだ。

私書箱を借りる分だって、わたしたちの計算外だったが、必要なのだからどうしようもない。


いつになったら、次の出費の心配をしないで暮らすことができるのだろう。


食費代、生活用品などと書かれた封筒を見ながら、わたしはため息をついた。

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