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プロローグ



10歳の夏。

わたしは思いだした。


「っ、ちょ、ちょっと待ってこれって…」


鏡に映る己の姿を見ながら、震える口で必死に言葉を紡ぎだそうとした。


……あり得ない。

あり得るはずがない。


わたしはどこにでもいる、28歳独身OL。

―…否。()()()、はずだった。


その「わたし」は、会社帰りに不慮の事故でトラックに衝突し命を落としたのだ。体に鉛がぶつかったかのような激しい痛みが走って、フワリと宙に浮いた感覚。自分の今までの人生が目の前にサァッと流れて行った。ああ、これが世に言う走馬灯ってやつなのかな。まるで他人事のようにそんなことを心の中で、呟いて、それからの意識は全くない。


…それだというのにこれは一体どういうことなのだろうか。


縁に豪華絢爛な黄金の装飾が施された鏡に映る少女の姿は、本来の自分の姿とは全く異なっていた。水色の緩くウェーブのかかった髪に、宝石のような緑色の眼。驚愕の表情を浮かべてはいるが、少し勝気そうな瞳をした少女の姿が確かにそこにはあった。背中を変な汗が伝う。窓の外は暑さのせいか、陽炎のようにユラユラと揺れているように見える。ごくり。唾を飲み込んだ。そして―…何より驚くべきことに、わたしはこの鏡に映る少女のことをとてもよく知っている。


「シャ…シャルロット、ランヴィア…公爵、令、嬢……?」


口にした瞬間、肺からヒュ、と変な音が鳴った気がする。


―……わたしは、どこにでもいる28歳のOLだった。

でも、でもこれって、もしかしてもしかしなくても。


「あ…う、わあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」


鏡に映る少女(わたし)は、あろうことか、生前プレイしていた大好きな乙女ゲームの登場人物。

しかも主人公のライバルの悪役公爵令嬢、シャルロット・ランヴィアその人だったのだから。







【死亡フラグの悪役令嬢は今日も今日とて大忙し!】

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