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異世界アサルトライフルマン  作者: 夏松秋蝉
ジルニトラ編
9/33

9th shot

凄まじく間が開いてしまって申し訳ありません。

実を言うとストックもあまりないのでまだまだ更新には時間がかかるやも。

 目の前にはある程度の防御力が保障された防壁が存在する。

 そう、僕らはようやく目的地についたのだ。

 その歪な輪を描く壁からはある程度の綻びも見て取れ、多少補修の必要があるようにも見えるが、野営を続けてきた人間からすれば随分頼もしく思えるのだろう。

 僕が野営でもいいと考えてしまうのは職業病なのか。


「いやったぁぁぁ!!」

「はぁ、つかれた」


 姉妹は思い思いの言葉を連ねているが、そんなことを言っている暇はない。

 二人を引っ張って町の検閲を待つ列に並ぶ。近くにダンジョンが出来たと言うだけあって中々の数が並んでいる。

 そこから僕は彼女らに話を始めた。


「おイ、条件を確認するゾ。

 一つ、お前らは僕に迷惑をかけなイ。

 二つ、お前らを足手まといと感じたら即座に切り捨てる。

 三つ、――――」


 それから僕は幾つか確認と軽い質問をしつつ、このパーティの取り決めをハッキリさせた。

 その中でも一番大事なのは、パーティリーダーがシャルルであるということだ。


「これは何故か分かるカ?」


「んー、お姉ちゃんの容姿で色んなことを滞りなく進ませる?」


「おいクロエ、真面目に考えろ。

 ふむ、チームワークがもっとも取りやすいからだろうか」


 当たり前だがクロエの案は論外として、シャルルの結論も甘い。やはりこの子は頭が固いな。想像力に欠如してる。


「まずもって何日も風呂入らない上、男より臭いやつに容姿もなにもあるカ。

 シャルルはもっと思考回路を山賊にしロ」


 容姿の部分でルートビア姉妹が若干肩を落としたが、次の山賊で二人とも首を傾げる。


「領主からっていう若干出どころが危うい金を貰う、荒事が得意な人種ってのが冒険者だゾ。

 ほぼほぼ山賊か海賊みたいなものだろうガ」


 そのヒントを与えても二人から芳しい反応はない。

 村長の娘だけあっていい子ちゃんなんだな。


「もういイ、正解を言おウ。

 僕がリーダーでお前らを連れていると、僕がお前らを抱くために連れ回してるように見られル」


「「はぁ!?」」


 ルートビア姉妹が驚愕の声を僕の鼓膜が壊れるレベルの大声で上げた。

 うるさい。


「そうなるとお前らはしょっちゅう相手しろって言われ続けるハメになル。

 その上お前らに実力はなく体で上がってきたって思われるのヨ」


「なっなにそれ・・・」


「冒険者とはそんな野蛮な奴らだったのか」


「まあ上位に行けば少なくなってはくるけどあらかたそうだネ。

 だからシャルルがリーダーになル。そうすりゃまだマシなんだヨ。わかっタ?」


 そこまで説明してようやく二人も納得したようだ。

 しかしこの説明だけでかなり時間を食うとは、冒険者に慣れるのも時間が必要そうだな。


「次!そこの冒険者!」


「ふぅ、ようやく私達か。リーダーの私が出るのか?」


「いいヤ、僕にまかせロ」


 検閲の順番が僕たちに回ってきた。だがこの辺は辺境だから兵たちの士気も低く、当然のように賄賂を要求してくるだろう。

 なんだったらシャルルとクロエを要求してくることもあるかもしれない。

 ただ、僕は今まで各国を回ってきた旅人だ。こういうときの対処法もしっかり分かっている。


 僕が門番の前に立つとその男は口元を愉快そうに歪めた。


「ほう。お前がリーダーか」


 そうきたか。なるほど、やはり予想通りのようだな。

 では僕も小物モードをオンにしよう。


「ちょいとダンナ、お耳をお貸しくんなまし」


「あ?」


 そういう僕はこそこそっと門番に告げる。

 ガキのころから鍛えた口先八丁には自信があるんだ。


「いえね、あの金髪の女、あいつがリーダーなんですが、ホントに乱暴な女でしテ。

 いっつもせっつかれてはいびられてるんでス。

 しかも気に入らないことがあったら大剣で脅してくるんですヨ。

 ホラ、担いでいる得物が見えるでしょウ?」


「な、なるほど」


 門番の声と表情が引きつってきた。

 この調子で最後までいこう。


「手を出そうモンなら即座に血祭リ!

 かくいう僕も引っ掛かった口でしテ、ダンナは手を出さないことをオススメしまス」


「そうだな。じゃあ黒髪の女は?」


「奴はヤバいでス。なんてったって水浴びしてた僕に対して、気に入らないからって股間を思いっきり蹴り上げて来たんですヨ」


「さっさすがにそれは・・・」


「本当のことでス。

 僕はあの二人の下僕みたいな感じでしテ、同時に何かあったときのとりもちもやってるんでス。

 犯罪歴も無いし危険なアイテムも持ってないですかラ問題はないんですガ、いつトラブルを起こすか分かりませン」


「むぅ」


「それでですネ、何かいさかいがあったら門番さんのお名前を使わせて頂きたいんでス。

 そうすれば門番さんが場を治めたことになりますからお手柄になるんじゃないですカ?」


 今の今までこの不審者達をどうしようかという顔をしていた門番だったが、僕が取引を持ち掛けた途端ニヤケ面になった。コイツはポーカーフェイスというものを知らないのだろうか。


「ほほう。なかなか分かってるじゃないか」


「ですかラ良くして頂けませんカ?」


「フフ、いいだろう。

 この町だと入ってすぐの情報屋は盗賊と裏でつるんで一見を狩りまくってる。

 聞くなら奥の方だ。

 あと宿は最低でも普通程度の値段のをとんな。安いのは鍵を開けて宿主が堂々と盗みを働く」


「ヘェ。ありがとうごぜえまス」


「ほら、お前たち!通れ!」


 小物モードオフ。

 中々いいことを聞けた。これで町でポカをすることはなくなったな。

 しかしあの門番。僕が門番の名前を知らないことに気付いていないのだろうか。間抜けなやつだ。


 しばらく歩いてから後ろのを見やると、なんだか汚物を見るような目でシャルルとクロエがこちらを見ていた。

 まさか、聞かれていたか。


「なんか、幻滅した」


「そういうのはちょっとな・・・」


 お前らな。


「さっきかラ甘ちゃんが過ぎるゾ。

 ホラ、まずは宿探しダ」


 そう促し、僕はを入れて街を観察していく。

 地面には砂利が敷かれているものの、建物は木製と石製の混在。家屋は高くとも2階建て程度なので建築技術はまだあまり伝わってないことが分かる。

 行きかう人々に笑顔はあまり見られなかったが、それは単純にダンジョンが出来てすぐで忙しすぎるのだろう、活気はしっかりと見て取れた。

 またかなりの頻度で物々しい雰囲気の人間たちも目に入る。初心者から中級者ぐらいだろうか。悪くはないが歴戦というにはまだまだな段階の奴ばかりだ。


 これは一般論だが、金が流れ込んだり人が移動すると確実に建物が変貌する。

 別の文化の流入や、技術者の雇用、資本の拡大などがその変化の要因だと言えるが、この町にはまだそれが来ていない。


 これらから言えることは、まだあまり町に金が入っていない、あるいは使う暇がないほど忙しいかのどちらかだ。

 恐らくは後者なのだろうが、集まっている人材が新人から中堅であることを考えると大した金は使われていないことも考えられる。

 しかも、ダンジョンからは物々交換に使いにくいものしかでないことも言える。宝石や金、薬の材料などがでるなら交易で即座に利益が出るだろう。となれば植物系のダンジョンや上級の洞窟系ダンジョンは有り得ない。

 戦利品になるのは恐らく、鉱石類、それも鉄、銅、スズといったところか。

 武器が出るダンジョンならばコレクターが集まっていることだろうし、そもそも先程の冒険者が初心者らしい装備をしているハズがないのもある。


 となれば製錬所を兼ねる工房が儲かるハズだ。鉱石が安く手に入る上、頻繁に武具を壊す冒険者という需要は間近にある。一貫生産だからコストも落とせる。

 そうなれば顔も知らない冒険者の依頼なんてすぐ受け付けなくなるに違いない。


 つまり今すべきなのは宿屋探しと工房とのコネ作り。

 僕だって投げナイフやランタンみたいな寿命が短い金物は欲しいからな。できるなら近接用にレイピア当たりの軽い武器も欲しいところだ。


 この状況、本来なら三人で分担するのが最良だろう。が、このおっちょこちょいの世間知らずのバカ二人に用事を頼むほどの勇気は僕にはない。

 まあベストが無理ならベターを行うだけだ。


「・・・辺りを睨んだかと思えば黙り込んで、一体どうしたのよ」


 ずっと頭の中で情報を整理していたからか、周りをもの珍しそうに眺めていた二人も僕に違和感を感じていたようだ。クロエが怪訝そうに話しかけてくる。


「ああ。気にするナ。

 そんなことより、これから冒険者ギルドにいくゾ」


「おおおお!

 ようやく私達も公式な冒険者デビューか!!

 胸が躍るな!」


「お姉ちゃん、ちょっとうるさいよ」


 叫ぶ姉にたしなめる妹。一緒に旅をすればもう見飽きもする展開だが、それでも僕にはこいつらの面倒を見なくちゃならない。下手な約束はするものじゃないな。


「君達二人はギルドで追加のパーティメンバーを探しておいてくレ」


「それは何故だ?」


「一つ、ダンジョンに回復役は必須。

 二つ、前衛が盾を使わないのは不安ダ。

 三つ、ついでにダンジョンや宿の情報も聞けるだろウ。以上ダ」


「なるほど、しかし私では前衛は務まらないのか?」


「ぼかぁアタッカーよりガーディアンにいて欲しイ。オーケー?」


 僕が会話を打ち切るようにスパッと回答すると、シャルルはふむ、と考え込み始めた。

 まあ彼女は情報さえ与えればファジーな任務もこなせる頭がある。そこそこの結果は期待できるだろう。


「じゃあアナタはどうするのよ」


「ボクは鍛冶屋にコネを作りに行く。

 馴染みの店、というのは結構大事なんだヨ」


「なるほどね~。

 じゃあまあ、私達は私達なりに頑張っとくから、そっちもよろしくね!」


 クロエの声に手をひらひらとさせて返すと僕は近隣住民にここらで規模の大きい工房の聞き込みに入るのだった。

 ちなみに良さげな工房を見つけた途端、土下座入店からの靴ペロでコネを作ったのは彼女たちには内緒なのだ。

口径:5.56

銃身:ショート

銃口:サイレンサ

銃倉:複列

照準:1.6倍サイト

その他:反動軽減

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