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異世界アサルトライフルマン  作者: 夏松秋蝉
ドラゴニュート編
26/33

26th shot

『んんん、大戦果ですな!

 エルフという術者がいなくなったことで結界が無くなり、我輩も遠視でそちらを確認できるようになりましたぞ!』


『こちらザクトラス、いいから報告を』


『それならエルフとシェルカインドのお嬢さんのお二人は、現在探索から若干マッピングへ路線変更していますぞ』


『ほう』


『滅茶苦茶に探すより、他の皆さんが突撃すべき場所を探した方が効率的との判断ですぞ。

 いや、風魔法の探査を使ってまで見つからないのですから恐らく魔法的な阻害措置が取られているのかと』


『つまり俺たちの物理的な突破力がいるってか』


『その通りですぞ。

 で、恐らくドラゴニュート殿達が捕まっている場所ないしは重要な場所を見つけましたぞ。

 今ですら厳重な警備が敷かれているのですからな。とっても不自然ですぞ』


『そこを吹っ飛ばせば、とりあえずはこのクソ共にダメージが行く、か』


『ええ、ドラゴキャプチャに気を付けつつ、全力で突撃してくれますかな』


『勿論、我が一族の誇りにかけて』


「さあお前ら、聞いてたろ!

 行くぞォ!!」


「いヤ、ちょっと待テ」


「は?」


 テレパスで焚きつけられてからの静止にすっとんきょうな声を上げるザクトラスだったが、こちらにも事情がある。

 今僕は地に臥している。そう、20mmを撃ったからだ。あの衝撃は馬鹿すぎる。まともに受けきれる人間なんていないだろう。前世の軍人は皆バケモノか。


「シャルル嬢、おぶッテ」


 その一言でなんとなく察したのだろう。溜息を吐きながら彼女は僕の体を慣れた手つきで背負っていく。

 前もしてもらっていたからか安定感は以前よりはマシだ。


「お前も無茶がすぎるな」


 そのシャルルの呆れた声に僕も同調しようとするがが未だ衝撃で上手く喋られない。

 結果として低く唸るしかなかった。



「ライフルマン、お前新兵器とやらに副作用があるならそう言えよ……」


 しまいにはザクトラスにまで呆れられる始末だ。


 そうしてドミニクにヒールを連続詠唱してもらってようやく動けるようになってから、僕たちはクォーツニュートの指示通りに厳重な場所へ一直線へ向かった。

 度々賊に遭遇したが、見つけてすぐにザクトラスが処理する為僕らにする仕事はない。

 そうやって進んでいくと賊の拠点に到達した為門をザクトラスに蹴破らせた、が、すぐに僕たちは地面に伏せる。

 開けた瞬間大量の矢やボルトが飛んできたからだ。


「チッ。

 こっちが襲ってくるのも承知の上ってか!」


「やるしかないダロウ」


 ザクトラスは己の鱗を盾にしつつ軽々と進んでいく。

 負けていられない。

 僕もゾーンに入り、全ての矢を把握し、絶対に当たらないルートを選んで矢を回避しながら、5.56mmに口径を戻した相棒で敵の集まりに弾丸を放って行く。

 シャルルももう人殺しに迷いは無く、その剣筋は見事なものだ。

 クロエも矢を返して応戦している。

 ドミニクも――というところで彼女が何か叫んでいることを察知した。

 瞬間敵の塊の方をみやると、奥の方にかなり過剰に装飾された籠手を持つ男がいた。その籠手先には筒が付いており、何の用途に接続されているかはすぐに分かった。


『ザクトラス、伏セロ!』


 テレパスで迅速に一言だけ叫ぶと、僕はそのギンギラと輝く籠手めがけて弾丸を発射した。同時に相手も筒から光線を発射していたようで、その標的はザクトラスのようだった。


 やっぱりあれがドラゴキャプチャか。


 僕の放った弾丸はその光線と交差するように直進していき、そして籠手に直撃した。瞬間ダメージを受けたからなのか、籠手に乗せられていた宝石が全て割れ、次に籠手自体が粉々になった。

 そしてそれを視認した盗賊たちはこちらを青ざめた顔で、壊れたおもちゃのようにギギギッと見やる。


 そして、重要拠点の奥と思われる場所から、ドラゴニュート語で雄叫びが上がった。


「グゥォォオオオルルルルアアアアアアアアア!!!!」

『自由だぁああああああああああああああ!!!!!!』


 そして同時に凄まじい破砕音が向こうから聞こえてくる。

 そうして賊の更に向こう側の壁を蹴破ってきたのは、ボロボロの服を纏った未だ若い、人の面影が残るドラゴニュート達だった。


「グルルァァゥゥゥウウウ! ズィスグィィイルルル!」

『ザクトラスの兄貴、やって下さったんですね!?』


「ギルズゥゥィズウィーガィ!!!」

『私達も、加勢します!!』


 その後ろには、なんと別行動してたハズのエルフとシェルカインドが飛び出してきた。


「あっはっは。ごめーん。

 君達は囮で、俺たちは裏から回って人質を救出する作戦だったんだ~」


「ごめん、ザクトラス!

 クォーツニュートがどうしても言うなって!」


『黒いの殿が敵のドラゴキャプチャを破壊するとは思ってませんでしたがな。

 おかげで予備のドラゴキャプチャも破壊完了。作戦はほぼ完遂ですぞ!』


『ああ。クォーツニュート、人質だったドラゴニュートにもテレパスを繋げてくれるか?』


『了解ですぞ。

 【ソンダウォーリー=【マークポイント】】【テレパスリンク】』


『親分!有難う御座います!』


『アニキ、貴方の功績は計り知れません!』


『ザクトラスの旦那に一生ついていきやす!』


『あーあーお前ら、一旦落ち着け』


「ああそうだ。ザクトラス。

 意外とドラゴニュートいたから、まだ増えるわよ」


「お、おう」


 さて、多数のドラゴニュートと僕たちに囲まれた賊たち。彼らの中にはへたり込んでしまう者もいた。


『お前ら!

 こいつらを血祭に上げて仕舞いだァ!!!』


『『『うぉぉぉおおおおおおおおお!!!!』』』


 その半狂乱と化した戦闘民族の前では、僕たちの出番は回って来そうにはなかった。


 だと、思っていたんだが。


 ドラゴニュート達が蹴破ってきた壁の奥から、巨大な人影がのっそりとやってくる。

 顔はフルフェイスの兜(グレートヘルム)をかぶっているため人相は分からないが、その全身の筋肉は隆々としていて、身の丈は3mを超えるザクトラスをもなお超える。4mはあるだろう。

 その男はグレートヘルムを被っている割には胴体には鎖を多少巻き付けただけだったり、しかし腰回りはプレートスカートで頑丈に防御されていたりした。例えるのならば剣闘士、それが奴にピッタリと当てはまる言葉だと思える。同時に男はやつらの奴隷なのだろうとも思う。


 恐らくこの混乱に乗じて奴隷からの解放を願って動いたのだ。そう僕は考えていた。奴の赤く輝く目を見るまでは。


『前線の全員に次グ!

 あのバカデカい奴は人間じゃネェ!

 おそらくトロールやオーク、フォモールと人の混血ダ!』


『あ!?

 オークは分かるが、トロールとかフォモールってのはなんだ!!』


 テレパスでザクトラスが大声で問うてくる。しかし、僕にはその問いに答えるより前に言うべきことがある。


『いいから全員一歩下ガレ!!

 アレハ――』


 周りの物を一瞬浮かせるほどに息を思いきり吸うと、奴は雄叫びを上げた。

 地を揺らし、神々へさえも手を伸ばす、ある意味悪魔や魔神と並べて恐れられる種族の血が、その声の質にはまざまざと表されている。


『巨人族の末裔って言ヤァ分カルカ!!』

口径:5.56

弾薬:NATO弾

銃身:ロング

   バヨネット

銃口:

銃倉:複列

照準:可変倍率サイト

その他:反動軽減

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