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異世界アサルトライフルマン  作者: 夏松秋蝉
ドラゴニュート編
19/33

19th shot

前回のあらすじ

キャラバンを護衛していたライフルマン達だったが、突然盗賊が来襲。追い払うついでに盗賊二人を捕縛し目的等を尋問した。

情報を吐いた二人の盗賊の後始末に困ったライフルマンは、シャルルとクロエに経験を積む為と盗賊を殺すよう命じ、二人は罪悪感を感じながらもそれを遂行した。

 竜人は基本的に大木の枝々に家を建て、それぞれを橋で結ぶ。つまり彼らの生活は樹上で行われているのだ。

 これを逆説的に捉えると、彼らの集落は大木が何本もそびえ立つような森林地帯に存在するとも言える。ここで生命体というのは生活する以上水が必要不可欠である為、川が近隣にあることが大前提である。ここで、この二つを備え持つ自然環境とは、つまるところ山々の間に広がる悠遠な樹海だとされるだろう。

 つまるところこの事実が表すことはたとえ竜人の集落から最寄りの町からだったとしても、そこを目指すには山間、林間を歩かなければならないのは必定であるということであり、それは彼女の咆哮を生み出す原因ともなり得る。


「あーもー疲れたぁああああ!!!!!」


「うるさイクロエ嬢」

「少し黙れ」

「うるさいです」


 猛反撃にあうクロエである。

 しかしながら、中々に厳しい旅であったのは事実である。


 谷を歩いていたら崖から崩れて降ってきた岩。

 植生が変化することで役に立たなかった古地図。

 体力切れでシャルルに背負われたドミニク。

 坂で勢いづいて転がってきた倒木。

 前世のターザンが如く木々の間を振り子の要領で飛んできた巨大蜘蛛の群れ。

 蜘蛛を間近でみて「みぎゃあ」と奇声を発し気絶するドミニク。

 目をキラキラさせたシャルルにほっぽたを彼女の気ままにぷにぷにされるドミニク。

 気が付くと頬が赤くなってヒリヒリしていることに驚くドミニク。


「いやァ大変な旅だっタ」


「それほどまででもなかったような気がするんだが」


 しかしながら、僕を指名して出された依頼に記載された場所には到達した。見える山の標高の相互関係、持ってきたコンパス、そして昔に訪れた時の感覚。全ての情報が、こここそが集落への道であると僕に語る。


「さてト」


 僕は相棒からサブレッサを外すと、その爆音を抑えることのないまま空に向けて放った。


 瞬間周囲からは枝や草を掻き分ける音が鳴りだし、そして草むらから二足歩行の竜が飛び出した。


「「「「「グゥルルルアアアアアアアアアアアア!!!!!!」」」」」


 僕たち4人を囲うように5体の竜が飛び出した。それぞれ毛色やうろこの色は違うが、皆一様に白地の、前世の改造学ランでいうドカン型のズボンを履いていた。面白いのは大きさも様々で、ドミニクほどの背丈のもいれば、4人の中で最も身長の高いシャルルよりも大きい者もいる。


「なっ!?

 こいつら、まさか狂化しているのか!?」


「いいヤ」


 僕は得物に手を掛けるシャルルを手で制し、5体のうち最も大きい者に声を掛けた。


「グゥルルルググガァ」

『随分な挨拶だナ』


「ゴルグァ!? グルグガルァズィ!?」

『何ィ!? 何故人間如きが我等の言葉を話せる!?』


「えっちょっと、ライフルマン?」


 声を掛けてくるクロエだが、僕に彼女へ返事をする余裕はない。ドラゴニュート語は喉にクるんだ。


「ガルギズィーズズゼガルガゲルガ。

 グル、ズガァーガギルゲライフルマンルールルガルルグルズィーズ」

『ひと昔前に友人に教えて貰っテナ。

 それより冒険者ギルドより依頼を受けたライフルマンだガ、上に話を通してもらってきていいカ?』


「ガ、ギルズィーズルールルザ。

 グィグルースルズィース」

『あ、ああ。分かったが。

 それにしても変な訛りだな』


「スズィ」

『ほっとケ』


 最も大きい竜はのっしのっしとこちらに背を向けると、背中から生える翼を羽ばたかせて木々の影へ入って行った。


 するととなりに立っていた竜人がたどたどしく話しかけてくる。


「さっき、すまない。

 俺ら、ヒト、言葉、使わない。

 まず、怖がらせる。次、俺、少し、ヒト、言葉、話す。これ、ヒト、よく効く」


 その言葉は片言ではあったが、意味は何となく分かる。つまりこの対応はテンプレだったからやっただけと。まあ柔軟な交渉役と通訳が居ないんじゃこれが最適手かもしれないな。


「なぁに、気にするな。少しばかり焦ったがな」


 対話が可能と分かってシャルルも殺気立つことを止めたようだ。


「ガァグルルガスィース、サザグルルースヅェグガ」

『ところデ、今は何が問題なんダ? もしや同族カ?』


「ギィガルスィースザァールガ、グルルガリスズス」

『お察しの通り、人族の大規模な奴隷商が俺達を襲ってるんだよ』


「ん? ライフルマン?

 今のはどんな意味の会話だったんだ?」


「ああ、それはナ。

 今、何がヤバいのかって聞いたら――」


 はぁ。全くもって予想通り。こいつらが戦力として期待できるかは五分五分といったところだろうか。

 ま、人殺しに慣れてもらって甘さを捨ててもらうにはもってこいなんだがな。それでも全部実戦で、なんて荒っぽいことはしたくなかったんだが。


「――人さらいと盗賊団と奴隷商の三連コンボだとヨ。

 また人を殺ってもらうゾ」


 僕がそういうと、シャルルとクロエの瞳には揃って影が差し、そして一番つらそうだったのはかつて教える側だったドミニクだった。

口径:5.56

弾薬:NATO弾

銃身:ショート

銃口:

銃倉:複列

照準:1.6倍サイト

その他:反動軽減

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