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異世界アサルトライフルマン  作者: 夏松秋蝉
ジルニトラ編
15/33

15th shot

 ゴーレムを倒し、最奥の扉を開いてから数分後、シャルルが戻ってきた。その彼女はというと満面の笑みで、そして手には指輪が握られていた。


 僕の近くで懸命に杖を振って回復魔法を連続詠唱してくれているドミニクをよそめに、彼女は僕にその指輪を渡してくる。


「なあ、これってダンジョンクリアの報酬だよな?

 ダンジョンを攻略した者には踏破した証が授けられると聞いたことがあるんだが」


 ドミニクの必死の回復によってなんとか立ち上がれた僕はその指輪を受け取ってからよく観察してみるが、特にこれといって禍々しさとか、或いは豪奢さとかは感じられず、それは少し古くちょっといい値のする程度の指輪にしか見えない。が、大抵こういったアイテムは特殊効果がついていることも多い。これは帰ってギルドで鑑定してからのお楽しみだな。鑑定せずに装備して呪いの品だったりしたら悲しすぎる。


「そうだナ。

 まあ取り敢えずは、帰るカ」


 そしてそこからがダンジョンの本当の恐ろしいところなのだった。

 襲い掛かる大蜘蛛、ゴブリン、コボルド。対するは手負いのガーディアンなのである。行きはよいよい帰りは恐い、とはよく言ったもので、やはりというか陣形すら組めないままシャルルとクロエの地力とドミニクの回復魔法のゴリ押しでダンジョンを脱出したのだが、その現場は酷いものとなっていた。特にゴブリンにタックルをしたらはじき返された時は本気で絶望したし、ドミニクが蜘蛛に襲われて「み˝ゃぁぁぁーー!!!」という奇声を発しながら失神した時はパーティの全滅も覚悟した。


 そんなこんなで冒険者ギルド内部の酒場にて、ボロボロの冒険者四人、つまり僕たちは綺麗に全員机に突っ伏していた。


「それにしてモ流石に悪運も尽きたかト思っタ・・・」


「クロエが苗床としてゴブリンに攫われそうになった時は滅茶苦茶焦ったしな」


「緑色の肌とか絶対無理になっちゃった。もうゴブリンもオークもトロールも全員死ねッ!」


「もう蜘蛛はこりごりです~」


 疲れからか既に若干会話がかみ合わなくなってきている。が、ここで休息してしまってはここまで苦労して作ったマップの売り時に困ってしまうかもしれない。今からするのは同業者に噂話を聞きまわった後の情報統合会なのだ。


「さて、早速だが、私が聞くに、すでにベテランの冒険者はもうこの街についているらしい。その冒険者が何人かの商人をスポンサーに本格的なダンジョン攻略を始めるのも秒読みとなっているかもしれない」


「はいはーい。同じくベテランが何人か来てるって聞いた。でも、パーティを組んでいる中先行して来たらしいから本格的に動くのはまだなんじゃないかって」


「それより商人の一部が既にお抱えの冒険者にそういう動きが無いか尋ね始めてるらしいことの方が重要かと思います。

 その噂が本当ならもうプロジェクトが始まっていてもおかしくありません」


 会議は進んでいくが、決定的な話にはいきつかない。

 ここでようやく僕の土下座が役にたつのだ。


「じゃあ明日にでも商人に話を付けに行こうカ。何、ツテはあル」


「えっ何であるの」


「そりゃ僕は鍛冶屋にコネがあるからサ。そこに鉱石を卸している商人を紹介してもらうんダヨ」


「ああなるほど」


 会議は白熱しながらも、しかしどこか疲れで間の抜けたゆるふわさを兼ね備えていた。

 そんななか、ふとクロエが愚痴をこぼすように口を開く。


「しっかし攻略隊は楽でいいよねぇ~楽で。

 私達がボス倒したんだからあとは細かいとこ詰めるだけじゃない」


 それに反応してドミニクが急に声を上げた。


「そういえば私思ったんですけど」


 皆の視線が彼女に集まる中、ドミニクは恐る恐るといった風にある事実を言った。


「あのゴーレムって光る鉱石を原料に造られてましたよね?

 あの鉱石、まだいっぱいあったと思うんですけど」


 そう、つまりあのゴーレムは復活する恐れがある、ということだ。


「そういやそうダ。そもそもあの広間が一つだけとも限らネェ」


 全員がその可能性に思い当たり、少し青ざめた。

 思わず僕も呟くと、ドミニクはまた声を上げる。


「攻略隊も中々、苦労しそうだナ」


「というか、私達も攻略隊に入れられる可能性もあるのでは?」


「「「「・・・」」」」


 今度は沈黙が四人を覆う。それも無理はない。前回のゴーレム討伐だって僕の火力があるからこそどうにかなっていただけで、僕レベルの火力を持つ魔術師を何人も用意してこそようやくあれは安定して倒せるのだ。そんな難敵をもう一度相手するなど、僕としては絶対に御免だし、他の皆だってそうだろうからこそ沈黙が続くのだ。


「・・・死ぬ」


 徐にクロエが愚痴を吐くと共にまた全員がへたり込む。正に全員の意思を代弁しているからだ。


 しかし確かにあのゴーレムは問題だ。しかも気になる点もある。

 まず、守護者として立ちはだかったゴーレムは人型だったが、ゴーレムが人型を為すには人の思念が必要になる。勿論最初から形成すれば話は別だが、人型のゴーレムが湧く、となるとあの状況には少々疑問が残る。仮説としては二つで、まずダンジョンの地形が守護者を生み出すのに適したものだった、というのと、生み出すのに適した構造ヘと人為的にダンジョンが作られた、というものだ。

 前者は例えば守護者の直上が偶々偶然奇跡的に人の死にやすい構造の場所だったり、何かしら人の思念を呼び寄せる性質があの光る鉱石にあったりなどが挙げられる。

 後者は前者であることを人為的にやったり、あるいはダンジョン中に魔力の脈を通して、そこから思念を回収、守護者の部屋へ流し込んでいたりとそんなものだろう。

 さて問題は、このダンジョンが人為的に作られたものかどうか、という点だ。もうゴーレムが守護者という点でほぼ人の手が入っているのは確実だろうが、ではなぜこんなところにダンジョンを設ける必要があったか。


 めんどくさそうなことが起こるかもしれないな。


口径:5.56

銃身:ショート

銃口:サブレッサ

銃倉:複列

照準:1.6倍サイト

その他:反動軽減

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