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異世界アサルトライフルマン  作者: 夏松秋蝉
ジルニトラ編
13/33

13th shot

 今日も今日とてダンジョンを進む。若干むくれているシャルルの背を押しながら。

 道中は奥に行っているだけあって魔物の巣に当たることが多く、また戦闘回数も指数関数的に増えて行った。


 まず巨大蜘蛛との戦闘だ。

 やつらの体長は1mから30cmと幅が広いが、むしろ僕たちのパーティにとって手ごわいのは小さな蜘蛛だ。

 デカいのはシャルルの全力の振りが確実に当たる上、威力もしっかり伝わるので倒しやすく、また僕としても片手エイムという命中率がガバガバな状態では大きい的というのはありがたい。

 しかしながら小さいのは駄目だ。シャルルや僕の射撃は命中率が基本的に悪く、クロエの弓の腕に依存しがちだ。勿論バヨネットもあるから僕自身はそこまで苦戦している訳ではないが、シャルルは小型の蜘蛛にひたすら翻弄されている。なおドミニクは少女のような見た目に違わず蜘蛛が苦手なようで対蜘蛛戦では残念ながら戦力外通告をした。


 次にゴブリン。こいつらはこいつらで苦戦した。

 ゴブリンというのは基本的にコボルドと似たような性質を持っていて、相違点といえば肌が緑色なことと繁殖力くらいだろう。コボルドよりかは頭は働くものの、筋力では奴らに劣る、そんないわゆる雑魚である。

 奴らは基本的に背が低い為、最近鍛え始めた僕でも体幹でアドバンテージが取れる。その為シールドを構えつつ奴らに突進して弾き飛ばし、近くにいて怯んでいるゴブリンにバヨネットで串刺しにするだけで簡単に討伐が可能だ。シャルルに至っては前世で言うところの無双ゲー状態と言える。彼女がバーンと大剣を振れば、ドーンとまとめてゴブリンが死んでいく。

 しかし物事というのは中々順調にはいかない。この時、実はゴブリン共の巣が近かったので――後から分かったのだが――数が結構居た。奴らとしても引く場所はないからか数が減ったからと言って逃げる素振りはみせなかった。

 ジリジリと追い詰められてきたところで仕方なしと僕は相棒の口径を12.7mmにしてマグナム弾を一番近いゴブリンに接射した。マグナム弾とはそもそも本来の弾薬よりも火薬が多く、当然威力も凄まじい。今回はそれをショートバレル、サブレッサーなしで行ったので凄まじい爆音と爆風がゴブリンを襲った。

 勿論接射されたゴブリンは爆発四散、その奥にいたゴブリンを吹き飛ばしつつ弾は貫通し、次のゴブリン、更に次のゴブリンまでもを仕留めた。

 当然洞窟の中で耳栓やサブレッサーもなしにぶっ放したのだから僕の耳も全然聞こえないし目の前にはお星様しか見えないが、それは相手のゴブリン共も同じ。初めて聞く爆音と、そして銃口から飛び出す凄まじい光が彼らの耳目を焼き、お互いに行動が不可能な状態になったところで普段から銃声を聞いていたシャルルとクロエがいち早く復帰、その後抵抗できないゴブリンを彼女らがなます切りにしていくことによってようやく戦闘が終了した。


 そんな血油と汗の舞う戦闘をドミニクの水で洗い流しながらせっせと進み、また野営をしてから少し進んだその時、僕らの前には高さ5m程の大きな門が現れた。

 扉には過度な装飾は見られず、ふちどられた後ふちの内側を赤く塗った程度の最低限の意匠が、経年劣化で煤けているだけだった。

 すると僕は何となく嫌な予感がしたのでシャルルの方を向くと、キラキラした目をしていた。まずいぞ。これはまずい。


「お、オイ、シャルル。

 僕たちは地図を作りにきたンダ。ダンジョン攻略はあくまでもその為の手段デあっテ――」


 だが僕の説得も彼女の耳には入っていないようだった。


「これはここのダンジョンのボスが奥にいるかもしれない!

 皆、気を引き締めて行こう!」


「マテマテマテマテ!

 だかラ、僕たちはボスなんて倒す必要はナイんだヨ!

 そんなの攻略隊に任せりゃいイ!」


「いやっ! そんなことはないぞライフルマン!

 このダンジョンを踏破するチャンスかもしれないではないか!」


「ハ?

 いやだから踏破は必要ナイんだっテ!」


 ――味方はいる筈だ。

 そう思って振り返ってみると、両目をキラキラさせたお嬢が二人。


「まさ、カ?」


「私も行ってみたいな~なんて。

 ほら、野営してから戦闘してないし、コンディションは完璧だし?」


「私もです。

 どうせならいってみましょうよ!」


「えっちょっえっえぇ・・・」


「・・・フッフッフ。ライフルマン。

 今度は私の意見の方が賛同されているようだな。

 どうだ。観念して私達とダンジョン攻略者にならないか?」


「ウググ」


 確かにシャルルの言う通り、もしこの奥がボスならば、ダンジョン攻略者になれるというリターンはとても大きい。

 しかしながら僕らに手に負えないものだった場合は非常にマズい。最悪怪物を解き放つことにすらなるだろう。


 結局、僕が折れて扉を開くこととなった。


 かなり分厚い皮鎧に、要所要所を金属で補強してある頑丈でこなれた鎧を着た、破壊力バツグンの重戦士。

 鷹のような目で素早く動く敵も即座に射止めて見せる弓の名手でありながら、その並外れた反射神経から近接戦闘もこなすオールラウンダーな弓手。

 回復魔法と付与魔法を使いこなす技量と生まれ持った魔力量の両方を兼ね備えた魔術士。


 そしてこれまた前衛向きの防具を着込み、カイトシールドとレイピアで堅実に攻めるガーディアン兼シューター。


 メンツとしてはそれほど悪くはなかった。



「よしっ!

 じゃあいくぞ!」


「へーへー」


 シャルルが扉を押し開くと、目の前に広がっていたのは光る結晶だった。

 それらが点々と生えている大広間に、僕たちは足を踏み入れたのだ。

 僕たち四人が広間に入り陣形を組むと、その結晶達は更に光を強めた気がする。

 そして広間の中央近くまで来て周りを見渡し始めたところで異変が起こった。

 輝く鉱石に囲まれたいただけだったのに、大広間の床には巨大な魔法陣が浮かび上がり、そして僕らの背後からはバタンッと大きな物音がした。

 まさかと思って振り向くと、シャルルによって開かれたままのハズである扉がしっかりと閉められている。更に魔法陣から伸びる印が扉にまで延びていることから魔術的に施錠までされていることだろう。

 入ってきた扉の反対側にも全く同じ扉があったが、やはりこちらも同様に施錠されている。


 その状態のまま更に地鳴りが始まり、僕たちの正面にある、人の腰ほどの高さの鉱石の周りの床、つまりは岩がそれを囲うように隆起した。そのまま岩は団子状に固まる。すると地鳴り自体は止まったが、ガンガンと岩をぶつけ合うような音がまたなり始めた。

 ――また嫌な予感がしやがる。

 僕の勘というのは危険時においてはよくあたる。冒険者であることを積み重ねた結果なのだろうか。

 とにかく、気付けば僕は叫んでいた。


「全員、伏せろ!!」


 そして僕は叫ぶと同時に正面にカイトシールドを掲げ、全身を隠すように半身になって腰を落とした。

 瞬間岩団子が破裂する。岩の破片が様々な場所に飛び散り、また着弾点を破壊していく。

 幸いにもこちらには飛んでこなかったようだが、それでも土煙がもうもうと立ち上がり、視界はほぼ0だ。


「全員返事!」


「ああ!」

「うん!」

「はい!」


 とりあえず三人も生きてはいるようだ。

 そう確認して一息ついたところでようやく土煙も収まってくる。

 すると大広間の中央には大きな影が見えることに気が付いた。さっきまでは岩団子があったところに、だ。


 ――ズガンッ!!


 大きな音が響き、僕は後方へと吹っ飛ばされた。

 カイトシールドを掲げていたので無傷ですんだが、受けた全身が痺れる。


「ハァ、マジかヨ」


 残った土煙を肩で切って僕を攻撃してきたのはとても大きな――あの扉さえくぐるには手間取りそうなくらいのサイズの――人型のゴーレムだった。


 岩の塊は不格好な頭部分から不可思議な叫び声をあげる。


「ypaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!」

口径:5.56

銃身:ショート

銃口:サイレンサ

銃倉:複列

照準:1.6倍サイト

その他:反動軽減


口径:12.7

銃身:ショート

   レイピア系バヨネット(50cm)

銃口:

銃倉:複々列

照準:1.6倍サイト

その他:反動軽減

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