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異世界アサルトライフルマン  作者: 夏松秋蝉
ジルニトラ編
11/33

11th shot

「皆、準備はいいな?

 では、出発だ!」


 シャルルの合図と共に、小さなドミニクの案内を受けてかのダンジョンへと僕たち四人は歩き出した。


 昨日の晩、シャルルと一戦交えて前衛としてのスキルを認めてもらったところで、情報の統合を行った。

 結果として分かったことは、ダンジョンは洞窟型、壁の表面に鉱脈の一端が点々と現れており、それらを採掘するのが現在この町――今更だがジルニトラという――にいる冒険者の稼ぎとなっているらしいことだ。浅い層では普通の力自慢の工夫もつるはしを担いで稼ぎに出ているらしいが、少しでも奥に行くとゴブリンやコボルド――獣頭族や蜘蛛系の魔物に襲われるリスクが高まる為、冒険者が採掘する部分と工夫が採掘する部分がハッキリ分かれているようだ。無論奥に行けば行くほど価値があったり純度の高い鉱石が手に入るのだが、むやみやたらに掘ると道に迷うこともある上、常に周囲を警戒する必要があるのでこれまた工夫と同じくらいの稼ぎしか出ていないパーティも多いらしい。

 また極稀にだが、鉱物と死体やダンジョン自体から発生する瘴気が反応して野生のゴーレムができたりもするらしい。野生のゴーレムも奥が深く、強さはピンキリだが、人の念が多いところでは人型を取りやすい為その場所の死人の出やすさとゴーレムの強さ、湧く頻度は比例する、という面白い性質を持つ。


 僕が情報のおさらいをしている間にダンジョンの入口に付いたようだ。

 外見は普通の洞窟か洞穴といった感じだが、あちこちに人の出入りがしやすくなる工夫――例えば手を掛ける杭が打たれていたり、もし魔物が湧き出してもいいように近くに衛兵の詰所が作られたり――と人為的な、いわゆる自然とは違う雑味が感じられた。

 無論その雑味を利用して、僕らもダンジョンに潜っていく。


 火を灯した松明を持って先頭を歩くシャルルや彼女に続く僕らに向かって、ドミニクはここでの経験談を、笑いどころを上手く作りつつ話してみせた。しかしながら彼女は見かけは正に少女のそれなのに、行う動作全てがむしろ恐いくらいに大人びている。年下と感じさせない気遣いの上手さがそう彼女を演出しているのだろう。


「――――それで私は前のパーティに居た時にゴブリンの巣を偶々掘り当てちゃって。もう緑の肌がわらわらわら。その時皆なりふり構わず全力で逃げたものですから仲間意識が少し薄れてしまって。

 だって足の遅い私を置いてリーダーが先に逃げちゃうんですよ。結局そのパーティは辞めちゃって、今このパーティに参加したんです」


 一方シャルルは彼女の話の最後を聞いてご立腹だ。


「少女を置いて逃げ出すとは冒険者としての矜持はないのかまったく!

 その点ライフルマンなら多分大丈夫なんじゃないか? 前のオークみたいにズバンッてやれば」


「え? ライフルマンさんオークを倒したことがあるんですか!?」


「ああ。奴の魔道具は少し特殊でな。

 使用者に負担を掛ける代わりにかなり強力な射撃ができるんだ。

 閉所で敵も多ければ狙いを付けるのも簡単だろうし、むしろ相手を全滅させられるかもな」


 今まで大人然としていたドミニクが大げさなシャルルの話を聞いた途端、急に少女らしいキラキラした目で僕を見てくる。


「そう持ち上げるのは止めてクレ。

 確かに出来ないこともないかもしれんガ、それをすると宿代が払えなくなル」


「ああ、そういえばお前の魔道具は維持費がかかるんだったな」


「ついでダ。一度見せておこうカ」


 僕はバヨネッタを外した相棒を召喚し、手近な右手の壁に銃口を張り付けそのまま接射した。サブレッサ付きなので音は大して出ていないハズ、というのもコイツは使用者と非使用者で発砲音が違う風に聞こえるようだからなのだが、それでも僕にとっては眉を顰める程度の音量を出しながらも相棒は壁に穴を空けた。穴の深さは大体3cmくらいだろう。


「この穴を通った後の目印にしよウ。

 引き返すときはもう少し威力の高い弾で更に穴を広げてやればマッピングする時にも役にタツ」


 ヘラヘラしながら僕がそういうと、感心したように、面白そうにドミニクが相棒を見ているのに気が付いた。魔術師なだけあってそういった未知な魔道具にも興味が湧くのだろうか。


 だがその空気は後ろにいたクロエの殺気でかき消されることになる。

 クロエは素早く小弓に矢を番えると、シャルルの持つ松明も照らせない洞窟の暗闇、奥に向けて放った。

 瞬間ギャッと小さく鳴き声がした後、ギャーギャーと洞窟内で反響する嫌な声が僕たちの鼓膜を揺らす。


「なるほど、暗闇に乗じようとしていた訳か」


 即座に松明を落とし抜刀したシャルルが後ろにステップを踏むと、元いた場所にこん棒が振り下ろされた。

 その武器の持ち主は転がる松明に照らされていて、相手がコボルドであることはすぐに分かった。

 コボルド達は奇襲がバレるのが分かるや否や、奥からぞろぞろと顔を出し、僕たちに襲い掛かってくる。

 戦闘を行う場所となる通路は大人三人が横に並べるほどのスペースだったが、種族柄体格があまりよくないコボルド達は5人ほど横に並んでいた。


 シャルルは一歩前に踏み込み重心を移すと、グレートソードを横薙ぎにし5人いっぺんに吹っ飛ばした。

 その内踏みとどまった一人を即座にクロエが射殺したが、彼女曰くまだ戦闘は続くそうだ。


「息づかいから推測だけど、10匹は居る」


「ほウ。それじゃあヨット!!」


 僕はシャルルの斜め後ろから前に躍り出ると、カイトシールドを前面に掲げつつ、今度は着剣した相棒で5.56mm弾をフルオートで10発ほど奥に放つ。片手撃ちなので精度はまあしれたものだが、この狭い空間ではシャルルが言っていたように狙いなど付ける必要はない。シャルル宜しくなぎら払うように放たれた弾丸は光を放ちながら奥へ奥へと直進してゆき、その殆どがコボルドの体に命中したようだ。

 その際にマズルフラッシュや弾丸の光条で見えたのだが、確かに片手では足りない程度の数のコボルドがいた。が、すでに戦意は喪失しており、奥へ逃げ帰り始めていた。


「フム。このパーティ初戦闘は無事勝利で終わったようダネ」


「ホントか!? やったな!」


 僕の言葉を聞いて納刀したシャルルがこちらにハイタッチを求めるように右手を掲げてきたので、先程落とされた松明を拾ってその掌に押し付けた。当然彼女は不満気な顔をするが、リーダーなのだから戦闘が終われば現状把握を急いで貰いたいものだ。


 次にクロエは呆れた表情、そしてドミニクはポカンと口を開けていた。


「もうなんだか今更だけど、うちのパーティって雑魚を蹴散らすのに向きすぎよね」


「え!? いつもこんな感じなんですか!?

 前のとは大違いなんですけど・・・」


「あー。

 お姉ちゃんとライフルマンの範囲火力が半端ないのよ。

 だから野生動物とかと当たってもいつもこんな風に戦闘が直ぐ終わるの」


「え。いや。えー・・・」


 そうして狩れたコボルドは7人。身包み剥いでもうまみは大してないので正直鉱石を掘ってる方が気も楽だ。

 しかしながら僕たちには鉱石を掘っている時間などない。それほどまでに僕の考えている流れは早いものだった。

口径:5.56

銃身:ショート

銃口:サイレンサ

銃倉:複列

照準:1.6倍サイト

その他:反動軽減


口径:5.56

銃身:ショート

   レイピア系バヨネット(50cm)

銃口:サイレンサ

銃倉:複列

照準:1.6倍サイト

その他:反動軽減

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