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第三十話 能力《ステータス》に関する考察

6月26日誤字脱字等修正しました。

「は? それって――」


 どういうことだよ、と怒鳴る前にユミスが思わせぶりに、はぁと溜息を吐いた。


「狙いが私っていうのはすぐ分かった。だって皆、カルミネで最初の会合に居合わせた貴族たちと同じ目をしてたから」

「いいっ?!」

「今更、何を驚いてるの? カトル。連邦が私を監視、あわよくば人質に取りたいって思うのは当然の事だよ。だけどまさか魔法の先生だなんて思わなかった。本当にカルミネへ天魔(モンスター)討伐の為に兵を派遣してくれるなら、魔力を上げる手伝いくらい全然問題ない」


 俺が感情的になっているのを見透かしたようにユミスは涼しい顔で微笑む。そんなユミスに唖然としていると、ナーサの方が早く口を開く。


「あんたねえ。教えるだけ教えて結局兵の派遣が取りやめになったり、万が一侵攻なんてことになったらどうするのよ?」

「あは、何でナーサがカルミネの心配してくれるの?」

「そうやって茶化さない! 私だって一年半も居たんだから愛着くらい湧くわよ」

「ん……ありがと。でも、大丈夫。元々、武闘大会がアルヴヘイムへ行くチャンスだと分かって、このアグリッピナでどうやって安全に過ごすか考えてたから、皇子の誘いは好都合だったの。それに魔力を上げた人たちが仮にカルミネへ侵攻したとしても、天魔(モンスター)に駆逐されるかカルミネの冒険者に返り討ちに遭うかどっちかだと思うし」

「返り討ち……って」


 ユミスのあまりの言い草にナーサは二の句が告げず口をポカンとさせてしまう。

 てか、事も無げに言ってるけど、連邦の強者ってくらいだし、いくら何でも甘く見過ぎじゃないか?

 そんな思いが顔に出ていたのか、ユミスが少し憮然とした表情でスッと一枚の紙を出してくる。


「何、これ?」

「ん、ターニャの報告の写し」



 名前:【エジル=アッリエッタ】

 年齢:【33】

 種族:【人族】

 性別:【男】

 出身:【シェラン】

 レベル:【34】

 体力:【324】

 魔力:【138】

 魔法:【水属12】【風属13】【特殊9】

 スキル:【剣術14】【弓術29】【特殊9】

 カルマ:【なし】



「……っ、はぁ?! これ、門隊長のエジルの能力(ステータス)か!?」

「どう? 凄い魔力の伸びでしょ。まだ一か月も経ってないのに魔力が百以上も上がってるし、魔力を乗せた特別な弓術も編み出したって」

「何っ?! それは本当かっ!!」


 ユミスの言葉に俺より先にマリーが物凄い勢いで食いついてきた。そして穴があくほどエジルの能力(ステータス)を見やった後、うめき声をあげる。


「ううむ。魔力が百上がった、ということは元は50以下の者か。それがひと月もせずこれほどとは……。にわかには信じられんが、この魔力の伸びが全員に起こっているならば返り討ちというのも頷けるな」

「私がひと月指導したところで、こんなに魔力を伸ばすのは絶対ムリ。だから国のメンツみたいな()()()()は無視して、一年後に起こるかもしれない厄災の為に少しでも対抗手段を講じるべきだと思う」

「ユミス……」

「それに妖精族(エルフ)の写本も読めるしね」


 冗談めかしてニコッと笑うユミスに、俺は肩の力がへなへなと抜けていく。

 ……まあ、ユミスが良いって言うならそれでいっか。俺には政治的な駆け引きなんて良く分からないしな。ユミスを信じよう。


「それにしても、この能力(ステータス)の伸びは本当に凄いな。許されるのなら私も今すぐカルミネへ飛んでいきたいくらいだ」

「あのな、マリー。修行の一環みたいに言ってるけど、カルミネの地下の封印が解けたら大変な事になるんだぞ」

「それなら尚更ではないか。来るべき災厄に備えて己を鍛えないでどうする?」

「いや、わざわざカルミネに行かなくても、ツィオ爺なら効率的に魔力を伸ばしてくれるんじゃないの?」

「う……む。じじ様に魔法を習うのは、ちょっとな」


 あれ? 何だか突然歯切れが悪くなったな。

 そう思って隣を見れば、ナーサが苦笑いを浮かべている。


「あのね、カトル。一応スティーア家は連邦内の貴族なの。カルミネの天魔(モンスター)みたいな目に見えて特殊な状況があるわけでもないのに、うちの家系だけ魔力が伸びたら、何か情報を隠しているって勘繰られるでしょう? ……姉さんの場合はそれだけじゃないけれど」


 途中まではなるほど、と思っていたのに最後にオチが付く。


「ああ、そういやマリーは魔法苦手だもんな。ツィオ爺は修業だと容赦なさそうだし」

「ぐ……。わ、私だってリスドでは乾燥魔法が使えるくらいには頑張ったんだぞ。それなのにナーサだけたくさん魔力が上がっているなんて、ずるいじゃないか」

「本音はそれか」


 ったく、マリーは能力(ステータス)や戦いの事になると途端に負けず嫌いになるからな。

 あ、でも。


「ナーサの魔力って、カルミネのギルドで調べた時160くらいだったよな? なんで240まで突然上がってたの?」


 俺が急に問いかけたせいか、ナーサはビクッと身体を震わせて、たはは、と引きつった笑いを浮かべる。


「あれ? 何か、聞いちゃまずかったか?」

「あー、その……」

「大丈夫だ、ナーサ。カトルにならば知っている事の全てを伝えても良いとじじ様が許可している」

「そ、そういえばそうでした。ふぅ……」

「ん、そんなに焦ること? どうせツィオお爺さんの魔法でしょ?」


 ユミスの言葉に安堵の息を吐いていたナーサがコクリと頷く。


「そうよ。ツィオ爺が修行だと言って能力制限魔法ステータスリミテーション能力(ステータス)を半減したの」

能力制限魔法ステータスリミテーション?」

「見せかけじゃなくて本当に能力(ステータス)が下がる魔法よ。解除すると減っていた分の能力(ステータス)が元に戻るの」

「あ、だからいきなり増えたのか。凄い魔法だね」

「凄い魔法なのかもしれないけれど、大変過ぎよ! カルミネへ向かう道中、毎日必死で鍛錬したのに全然しっくりこなかったし……」

「ああ、それで最初は依頼を達成出来なかったのか」

「ぐ……、あんたねえ。今、それをほじくり返す?!」


 やばっ、藪蛇だった。

 そういや、なぜか得意な曲剣ではなく直剣を買って使ってたんだよな。誰かに煽られたような事を言ってたけど、そうそう簡単に馴染んだ武器を変えるなんておかしいとは思ってたんだ。

 ……そういう事情なら理解できる。曲剣は癖があるし、直剣の方が断然使いやすいもんな。

 俺がナーサの剣幕にまごつきながら頭を下げていると、隣でうんうんと頷きながらマリーが感慨深げに思い出話を語り出す。


「気持ちはわかるぞ、ナーサ。私もリスドに着いた当初は大変だったんだ。ただでさえ慣れない土地で、身体がいつも通りでないというのはなんとも心細くてな」

「マリーも能力(ステータス)が半減してたの?」

「いや半減ではない。私は四分の一だ」

「なぁっ!?」

「四分の一?!」

「だから、ナーサのように依頼に困らなかったのは幸いだった。ギルドマスターも親切にしてくれたしな。それにスキルレベルは変わらなかったから、感覚が鈍らないよう地道に鍛えたので、半年ほどでそれなりに満足できる程度に戻ったんだ」


 マリーは昔を懐かしむように目を細めるが、隣で半分呆れ顔で姉を見ているナーサの表情は、それがいかに困難なことなのか雄弁に物語っている。


「姉さんは簡単そうに言ってるけど、実際はもうほんっっっとうに大変なんだからね。特にあんたは百分の一になっているんだから絶対に甘く見ちゃだめよ」

「いや、これだけ身体ガタガタなんだしそんな余裕、欠片もないって」


 ユミスに能力供与(ステータスドナー)してもらって、やっとこさ立ってる状態だ。とてもじゃないけど楽観視出来るはずがない。この一か月地道にリハビリを続けて、それなりに動けるようになれれば御の字だろう。


「ん……でも、マリーはその四分の一の能力(ステータス)でカトルと互角に戦ったったって聞いたけど」

「む、何の話だ?」

「マリーがリスドから旅立つ前の晩にレヴィアのせいで戦う羽目になったじゃん。まさか忘れたの?」

「忘れるものか。だが、どこが互角の戦いだ? 私が終焉なき(アンリミテッド)強化(ブースト)を使って返り討ちにされただけだろう?」

「いや、全然返り討ちじゃないって! 二人とも剣が砕けたんだから」


 俺が反論するとマリーは驚いて目を丸くする。


「何を言う。カトルは終焉なき(アンリミテッド)強化(ブースト)での決死の一撃を防いだ上に、壁に叩き付けられる所だった私を庇ってくれたではないか。しかもあの時、私にはレヴィの強化魔法(エンチャント)重力削(リデュース)減魔法グラヴィティ精神高(スピリチュアル)揚魔法アップリフトの重ね掛けが施されていたんだぞ。それなのにあっさり攻撃を受け止められた私の身にもなってくれ」

「いや、攻撃を受け止めたんじゃなくて、武器がレヴィアの魔法に耐え切れなくなったんだって。だいたいマリーの勢いを止められず壁に激突して俺めっちゃ痛かったんだけど」

「ふん。後でレヴィから、カトルは全然大丈夫そうだったと聞いてるんだぞ。私はレヴィの魔法でそれこそ今の能力(ステータス)の数倍強くしてもらったのに敵わなかったんだ。これが返り討ちでなくていったい何だと言うんだ?」


 マリーが半分本気の目で少々拗ね気味に文句を言って来る。俺的には紙一重だと思ってたんだけど、マリーは意外と結果を気にしてたんだな。


「ん、マリーがコテンパンにやられたってのはわかった」

「うぐっ、確かにその通りなのだが……その言い方はひどいぞ、ユミス」

「カトルに一対一で敵う人族が居ないとわかってホッとしただけ。私もあっさり魔力の能力(ステータス)を抜かれてショックだったし」

「ああ、その気持ちはわかる。私も最初は落ち込んだからな」


 ……あれ?

 いがみ合ってたのに何か急に意気投合し出したんだけど。


「だが、厚く高い壁であってこそ挑みがいがあるというものだ。だからカトル! 次の武闘大会も出場する以上は優勝してくれ」

「出来るかっ! 歩くことさえままならないのに」

「ならばさっそくリハビリを始めるとしよう。近いうちに学区へ向かうのだから、最低限歩けたり、初級魔法を使えるくらいにはなっておかねばなるまい」


 マリーは高らかに宣言すると、脇に置いてあった平行棒を指さす。


「これを手すり替わりにして歩く練習からだな」

「ん……じゃあ能力供与(ステータスドナー)を解除する」

「えっ?! ちょ、待っ――」


 俺が口を挟む間もなくユミスは魔法を解いてしまった。あっという間に身体から力が抜け、今にも倒れそうな所で何とか棒にしがみつく。


「あ、あ、危ないっての!」

「ん……大丈夫だよ。カトルはまだ力の加減が出来ないだけ」

「力の加減?」

「もっと目一杯足で踏ん張れば、今のカトルの筋力でもそこまでよろけないはず」


 ユミスが確信めいてそう告げるが、どうして俺自身でさえ分からない事が分かるんだろう?

 半信半疑のまま俺は両手で棒を掴みながらグッと足に力を込める。


「……ほんとだ。立てる」

「でしょ?」


 驚いたことにそこまで違和感もなく立つことが出来た。昨日は足がガクガクして立つどころか起き上がることさえ出来なかったのに凄い進歩だ。


「でも、何で? 体力12って、6歳くらいの力しかないんでしょ? 今の俺の体重を支えることなんか出来るわけないのに……」

「ん、だから能力供与(ステータスドナー)で慣らしたの。能力(ステータス)が百分の一になってるのに、身体の筋肉は極端に衰えていなかったから」

「慣らす、って……」

「カトルの能力(ステータス)上の【筋力】値は確かに百分の一になったけど、でもそれは決してゼロじゃないの。それがどういうことか分かる?」


 俺はユミスの質問の意図が分からず眉を寄せる。

 能力(ステータス)が6歳児並みに落ちたのに実際の筋肉は衰えてないって、訳が分からない。あ、でも身長、体重が変わらないって事は、骨や筋肉も同じなのか。

 確かにユミスの言う通り、能力供与(ステータスドナー)を掛けてもらった後から、ちょっと不思議なふわふわする感覚があるのも事実だ。

 なんだか自分の身体なのに、自分じゃないみたいで戸惑ってしまう。


「気付いた? 今のカトルは大人の身体に無理やり子供が入り込んだみたいな感じなの。もちろん子供の力じゃ大人の体重を支えるのは大変だけど、物理的に筋肉が消えたわけじゃない。だから立つ事だけに集中すれば今の能力(ステータス)的には問題なく立てるし、慣れてくれば普段あまり運動をしないような人族の大人と同じ筋力くらいにはすぐ戻るよ」

「立つ事だけに集中、ね」

「普段、立つ為だけに全力なんて出さないでしょ? 心の何処かでセーブしてる楔を外しちゃって」

「……っ」


 俺はユミスに言われた通りもっと意識して()()()()に全力を傾けた。


「……おお!」


 すると自分でも驚くほどあっさり棒から手を離すことが出来た。すでに筋肉がプルプル震え出しているけれど、間違いなく自分の両足で立っている。

 だが感慨に浸っていられたのはごくわずかであった。全力で立つというのはかなりの負荷が掛かるようで、足全体が攣りそうになり慌てて俺は手すりに摑まる。

 どうやらこれを続けるのはかなり難しそうだ。


「うーん……確かに立てたけど、これじゃ歩けないや」

「さもありなん。元の感覚と今の感覚が入り混じって、身体が鉛のように重たいだろう?」

「鉛、っていうか、そもそも力が入らない」

「むむ、そうか。百分の一ともなると私の時とは少し違うのだな」


 マリーが慰めてくれるが、惑わされてはいけない。

 彼女の事だ。何のかんのと理由をつけて武闘大会の話に結び付けてきそうで警戒が必要である。


「ん……でも、今の動作だけでカトルの【筋力】値が少し上がったよ。後は繰り返すうちに歩けるようになると思うけど」


 は? ……今の動きだけで筋力が上がったの? なんで?

 俺がポカーンとしてたのがよほどおかしかったのだろう、ユミスが口を押えて笑いを堪えている。


「言ったでしょ? 慣れてくればある程度能力(ステータス)は戻るって」

「いや、言われたけどさ」

「元の筋肉はあるんだもん。歩くくらいならすぐだよ」

「はぁ、そんなもんかね」

 

 確かにこの程度で筋力が上がるなら反復練習をしているうちに歩けるようになるかもしれない。


 ……って、あれ?

 今、ユミスは俺の能力(ステータス)を調べたんだよな?

 全然魔力を感じなかったんだけど。


「ん……どうかしたの? カトル」

「いや、今魔力を全然感じなかったんだけど、どうやって俺の能力(ステータス)を調べたの?」

「え……? もちろん魔法だよ」


 何言ってるの? といった感じでユミスは訝しげな目を向けてくる。


「いや、いくら今の俺でも鑑定魔法の魔力を受ければさすがに気付く――」

「鑑定魔法じゃないよ。能力判定魔法(ジャッジメント)

「は……? 能力判定魔法(ジャッジメント)……って何?」

「ん、能力分析魔法(アナリシス)の上位魔法」

「だから能力分析魔法(アナリシス)って何?! 聞いたことないんだけど」

「……おじい様の授業でやったはずだけど、細かく説明していい?」

「ならいいや」


 ユミスの瞳が怪しく光った気がして、俺は反射的に断りを入れる。

 ジトッとした視線が俺を捉えるが、この時間からユミスに魔法を語らせたら間違いなく睡眠時間が削られるので仕方がない。

 だが、思わぬところから伏兵が舞い降りる。


「待って、カトル。私も気になるから聞きたいんだけど」

「ん、どうする、カトル?」

「……簡潔にお願いします」


 悪戯っぽく笑顔を向けるユミスに、ナーサの援護射撃が加わっては為すすべもない。せめてもの抵抗に短く、と念押ししたが、嬉しそうに微笑むユミスを見てもはや諦めの境地だ。

 いざとなったらナーサに押し付けよう。

 責任は取ってもらわないとな。


「んん……しょうがないなぁ。出来るだけわかりやすく説明するね。えーと、まず相手の能力を調べる魔法は本来上位魔法に区分されるんだけど、その中でも鑑定魔法だけは異質と捉えられ――」

「うわぁ、待った待った! 系統の話は今関係ないだろ?」

「なんで?! 関係あるもん!」

「お願いだから、魔法の効果に絞って話して」

「むぅ……」


 まさかのっけから脱線するとは思わなかった。魔法系統なんて魔法学の初歩の話だ。このまま放っといたら、じいちゃんの授業の総復習をさせられてしまう。


「ん……鑑定魔法は相手にバレバレ。能力分析魔法(アナリシス)は相手に気付かれないけど予測だから微妙。能力判定魔法(ジャッジメント)は戦いに関する能力(ステータス)を相手に気付かれずに探る。そんな感じ」

「いや、そんな感じって……」


 いきなりアバウトになった。

 絶対に当て擦りだ。


「なあ、マリーは本当にこんなんでユミスが魔法の先生なんて務まると思うか?」

「むっ、それは……。博学で素晴らしいと思うぞ」

「そんなことを言ってると、本当に魔法のうんちくだけで授業時間全部潰れるからね」


 俺の言葉にマリーの顔がヒクッと引きつる。実践は興味があっても、魔法理論の講釈を延々とされてはたまらないだろう。

 そう思っていたら、隣から剣呑な声が耳をつんざいてくる。


「ちょっと、カトルは黙ってて!」

「いぃ?! あ、うん……」


 どうやらナーサはユミスの話を聞く気満々だったようで、思いっきり睨まれてしまった。慌てて口を閉ざすと、もはや俺の事など目もくれず、ナーサはユミスの方へと向き直る。


「待って、ユミス。そもそも魔法を使えば魔力を相手に感知されてしまうでしょう?」

「ん、魔力の感知と魔法への反応は別の話だよ。例えば、受けた魔法に反応する反射魔法(リフレクション)跳ね返し魔法(バウンスバック)があるけど、鑑定魔法は魔力をそのまま相手にぶつけるから、跳ね返し魔法(バウンスバック)で直接精神にダメージを受ける危険がある。でも、能力分析魔法(アナリシス)能力判定魔法(ジャッジメント)は相手に魔力をぶつけるわけじゃないからその危険はないの。もちろん魔力を使うから感知魔法には引っかかるし、使いこなす事自体はるかに難しいけど、相手に干渉しないから便利ね」

「……」


 いや、便利とか、そういう次元の話じゃなくね? 

 てか、どうやって相手に干渉せず能力(ステータス)を知り得るんだ?


「だって、カトルは生きてるでしょ? だから世界はカトルを知っている。そして生きとし生けるものはすべて皆世界と繋がりを持ってる。これは何も能力判定魔法(ジャッジメント)に限った話じゃない。突き詰めれば魔法は全て世界との繋がりを強固にする、とても神秘的で心の奥底に居る神様みたいな存在なの」

次回は3月31日までに更新予定です。

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